偶然をあそぶ
寂しさをあそぶ
期待をあそぶ
限界をあそぶ
未知をあそぶ
無知をあそぶ
区切りをあそぶ
続くをあそぶ
終わるをあそぶ
はじまるをあそぶ
この世をあそぶ
その先をあそぶ
偶然をあそぶ
寂しさをあそぶ
期待をあそぶ
限界をあそぶ
未知をあそぶ
無知をあそぶ
区切りをあそぶ
続くをあそぶ
終わるをあそぶ
はじまるをあそぶ
この世をあそぶ
その先をあそぶ
窓をあけると見えるのは
つやつや実ったお月さま
あなたはずっと空にいて
変わる景色を見たけれど
それでもあなたは満ちていく
悲しみで損なわれることなく
苦しみで歪むことなく
満ちては欠けて
欠けては満ちて
雲のある夜もない夜も
地上の夜をつつみこむ
急ぎすぎだね
途中下車して
とことこ散歩して
天気が変わるまで
好きな歌を思いだしたり
ちいさなころ好きだったもの
思いだしたりして
なにかのためには動かない
でないと
目的地を通り越して
どこに行きたかったか
わからなくなっちゃうね
手紙を書いています
このなかに
嘘はありません
わたしのかけら
そして
この世のどこかで
だれかが感じた
こころのかけらが
雨粒になって降るように
わたしの手のひらに
ぽつりとおちるので
うけとったかけらを
書いているのです
手紙を書いています
わたしの手紙は
この世のかけらで
できているのです
星が降る夜
霧が湧く朝
風が遊ぶ昼
たましいひとつ
この手に抱え
地上におりて
ひとときの旅
空に戻る日
持ち帰るのは
たったひとつの
ものがたり
ふりむくと
ああこんなに歩いてきた
ずっと遠くに見える
近くに住んでたあの子
隣の犬 栗の木 鳥の声
そして目をとじて
これからできる道を思う
目のまえをよこぎる蝶
空には雲がぷかぷか
わたしがこれから
ともだちになるひと
窓をあけていつも見る景色
これから続く美しい記憶が
花のように咲いている
その道を思う
わからないことばっかり
だから
迷子になる
わからないことばっかり
だから
探し求める
わからないことばっかり
だから
泣きそうになる
わからないことばっかり
だから
生きていける
その記憶は
いまのわたしのものでなく
もっとむかしのわたしのもの
いいえもしかしたら
わたしだったひとでもなく
みずのなかでつながった
なまえもしらない
あったこともない
だれかの記憶のひとつ
わたしたちの記憶は
そらをみながら
かぜをうけながら
おなじそざいのちじょうにあり
おなじそざいでつくられており
ときもきょりもこえて
いっしょにゆれている
きょうもわたしは
だれかの記憶とともに
こうして歩いているのです
生き方なんか
語るもんか
自分だったらこうするなんて
言うもんか
おなじのはず ないだろ
なにがうれしくて
なにがかなしくて
いつはじまって
いつおわるのか
おなじのはず ないだろ
あしたも
きのうも
今も
たくさんのカードの
そのうちのひとつ
順番なんかないのです
あのひとも
このひとも
私も
たくさんの星の
そのうちのひとつ
整列なんかしないのです