もちろん、村上春樹訳です。
とにかく面白かった…放心
特に後半、一気に読んでしまいました。(気付けばまた夜明け…
)
村上さんが訳しているからか、あるいは元々の文章がそうなのか、
まるで村上春樹の小説を読んでいるかと錯覚するような感覚でした。
ミステリーではありますが、よくあるトリックや心理描写などは一切ありません。
訳者あとがきにも書いてあるとおり、これは魂の交流の物語。
フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」と深く共通するものがあり、
何というか、そこは村上春樹とも通じる、人生に重く占める喪失感。
警察の取り調べから解放され、ぐったりと疲れきって帰宅した主人公が、
遠くに大都市の灯を見ながら酒を飲むシーンでの言葉は心に染みました。
~一部抜粋~
人々は腹を減らせ、病気を患い、退屈し、孤独や後悔や恐怖で自暴自棄になり、怒り、残酷になり、
熱に浮かされ、身を震わせてすすり泣く。
都会なんてどこも同じようなものだ。都市は豊かで、活気に満ち、誇りを抱いている。
その一方で都市は失われ、叩きのめされ、どこまでも空っぽだ。
大都会・東京に住むことをあまり好ましく思っていない私にとっては
かなり”みぞおち”にグッとくる言葉でした