おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ツィメルマン ピアノリサイタル 2023/12/16

2023年12月17日 | コンサート情報

所沢ミューズでツィメルマンを聴いてきました。

プログラムは、

ショパン
ノクターン Op.9-2、Op,15-2、Op55-2、Op62-2
ピアノソナタ 第2番 Op.35

ドビュッシー 版画
シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲 ロ短調 Op.10


何度聴いてもツィメルマンの音に私はうっとりしてしまいます。

ノクターンのOp.9-2がプログラムにあるとは、少々驚きました。
どのように演奏されるのだろうと、何か特別な意図があるのかな、と思いながら聴きました。

思いの外、メロディーはシンプルであっさり。
メロディーはショパン自身が美しく仕立てているので、あとは音色だけあればもう十分と思わせる演奏でした。

ちょうどOp.62-2(第18番)を弾いている生徒さんがいらして、私は弾いたことのない曲ですが、ツィメルマンはどう弾くのだろうと楽しみにしておりました。

やはりメロディーで聴かせるのではなく、左手のハーモニーの音色の変化で作られている感じで、左手16分音符の柔らかな波のような部分は信じられないほどの音。流石すぎる。しかもソフトペダルを使わずあの音とは・・


葬送ソナタは以前にも聴いたことがあり、その時も忘れられないほど感動しましたが、今回は私自身もその頃より耳が鍛えられている気がするので、こんなに声部を異なる音色で弾き分けているのかと、ノクターンからあったその予兆がここでクッキリ。

第3楽章の葬送行進曲の最後の方はソフトペダルをずっと使っていて、人生が終わる時はこんな感じなのかな、と思っていたら、すぐに終楽章に突入。

死んだあとは有無を言わさず忘却の川に揉みくちゃにされるのかと、厳しい川だなと思いながら、時折聴こえるメロディーの断片のようなものが、そこだけ意識があるようで、死後の世界の入り口を垣間見た気がしました。


ドビュッシーの版画は、オーケストラに編曲されたものを聴いているのかと思うほど、各声部が違う音。ツィメルマンの腕は何本あるのか・・

ドビュッシーはただ弾いても、時間軸が多層になっているのに、音色も変えていて、タッチも違うものを組み合わせているという、しかもその音が美しい。


ツィメちゃん、健在


最後のシマノフスキ。
この曲が始まった途端、この曲のために全ての情感をしまっておいたのかと思うほどでした。

ツィメルマンだからこそ、超絶技巧のこの曲を奥深く聴かせてもらえたと思います。


今日は、ツィメルマンがステージに出てきた時に、よくは見えなかったのですが、首元を閉めず開けていたので蝶ネクタイはしていらっしゃらなかったのではないかと思います。

そして、お腹のあたりも緩めている感じで、おや?と思いました。

演奏前に鼻を何度もハンカチで拭いていらしたので、風邪ひいたのかな?と思って見ていました。

アンコールは無しでした。
体調が万全ではなかったのかもしれませんが、今日できる最善の演奏を聴かせて下さったのだろうと、私は満足でした。


今年のコンサートはこれが最後です。

ツィメルマンの音と音楽を堪能でき、良き締めくくり

コメント
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