フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

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フランス語試験DALF-C2あるいは寺山修司 DALF-C2 OU SHUJI TERAYAMA

2006-10-22 20:42:40 | フランス語学習

先日受けることに決めた DALF-C2 が今日あった。今回は他のことに追われていたこともあり、全くの準備無し。これまでに貯まっているものが使えるのかどうかを見るというつもりで出かけた。

会場の教室には、男性8名、女性3名。科学を選んだ人は男性3名。受験者はおそらくこの11名だけではないかと思われる。筆記試験と口答試験があり、9時から3時間半は筆記で、午後1時半から40分間で対談を2回聞き、1時間かけてまとめてから30分間試験官との面接という手順。

筆記の方は、3つの科学雑誌の記事を読んでその共通テーマを探し、その問題に対する3名のアプローチの違いを論じ、最終的に結論を導き出す。200字くらいにそれをまとめる。さらにその問題について科学雑誌に投稿する形で自らの考えを500字にまとめる。今回のテーマは、一言で言うと 「科学とその価値」 になるのだろうか。科学の本質 (ce qui animent la science)、その伝達 (l'enseignement)、科学に内包する単純化 (la simplification, la simplicité) とその問題、科学者の誠実さ (la honnêteté et la morale) などが論じられていた。科学が単に理性の産物というだけではなく、その過程での驚き・感動 (émerveillement) や美を発見する喜びなども語られていて、自らの考えを深める意味でも参考になる視点が提示されていた。

前半の問題はぶっつけ本番で、読み返すところまでは行かなかった。また後半は半分までしか書き上げることができなかったが、その中で何とかまとまりをつけようとしていた。今回は仏仏辞書に限り持込可であったが、精神的に安定するだけで、ない場合とほとんど変わりはなかった。

去年 DALF-C1 を受験した時には、筆記試験だけで完全に参ってしまったが、今回はそれほどではなかった。DELFとDALFとの間には大きな溝があるが、DALF-C1とC2との間の差はそれほどではないということかもしれない。

1時間の昼休みの後、口頭試験に臨んだが、こちらは農業を取り巻く問題について哲学者ともうひとりが語りあっていたようだ。相変わらず、微妙なニュアンスについては掴むことが難しく、最後まで靄がかかったような状態であった。面接は5分ほどで対談の内容をまとめ、それから10分ほどで 「科学の進歩や研究にとってどのようなものが足かせになるのか」 についての私見を述べるというもの。その後、試験官 (今回はフランス人と一対一) とのディスカッションが15分ほど続いたが、その中でも対談の内容を理解していなかったことが明らかになった。 

口答試験終了直後は昨年のような脱力感はなかったが、それからじわじわと疲れが体を包みだした。帰りの本屋では 「寺山修司名言集」 に手が伸びていた。去年のモーツアルトの代わりという感じだろうか。

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 私は何でも 「捨てる」 のが好きである。少年時代には親を捨て、一人で出奔の汽車にのったし、長じては故郷を捨て、また一緒にくらしていた女との生活を捨てた。
 旅するのは、いわば風景を 「捨てる」 ことだと思うことがある。 
                     - 競馬無宿 -

 逃げつづける者の故郷は、この世の果てのどこまで行っても、存在しないものなのだ。 
                     - 勇者の故郷 -

 人には 「歴史型」 と 「地理型」 がある。歴史型は一ヶ所に定住して、反復と積みかさねの中で生を検証し、地理型は拠点をかえながら出会いの度数をふやしてゆくことによって生を検証してゆくのであった。
 従来の日本人の魂の鎖国令の中で、春夏秋冬をくりかえす反復性を重んじたが、私はそうした歴史主義を打破して、地理的、対話的に旅をしながら問い、去りながら生成したい、と思ったのである。 
                     - 旅の詩集 -

 人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ 
                     - ロング・グッドバイ -

 男の一生は、いわばその父を複製化することにほかならない。 
                     - 黄金時代 -

 出会いに期待する心とは、いわば幸福をさがす心のことだ。 
                     - 幸福論 -

 見てきた風景を捨てて、新しい風景をつくるために、
 二人は旅にでかける。
 二人の 「故郷」 を見出すために、いくつかの野を越えて、
 風をわたってゆく。    
                     - さよならの城 -

 成ろう成ろうとしながら、まだ言語になっていないものだけが、ぼくを変える。
                     - 地獄篇 -

 「見るという行為は、人間を部分的存在にしてしまう。
  もし、世界の全体を見ようとしたら目をとじなければ駄目だ」
                     - 青蛾館 -

 貧しい想像力の持ち主は貧しい世界の終わりを持ち、豊かな想像力の持ち主は豊かな世界の終わりを持つだろう。
 世界はまず、人たちの想像力の中で亡びる。そしてそれを防ぐためには、政治的手段など何の役にも立たないのである。
                     - 地平線のパロール -
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小さな出来事があると、前 avant と後 après がはっきりと現れる。その間に何かが変わっているのが見える。そう気付く時、時の流れに触れることができているような錯覚に陥る。

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2 コメント

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DALF-2 (sophie)
2006-10-24 05:38:29
DALF-2、お疲れさまでした!



良い結果が得られるといいですね。

試験の後、できなかったと思う時の方が合格しているという例が多いようですから、がっかりなさいませんように。



Bonne continiation!
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疲れました (paul-ailleurs)
2006-10-24 06:45:22
コメントありがとうございます。全体にぼんやりとした理解のうちに終わりました。ただC1を昨年受けていましたので、その中で何とかやらなければならないということは学習していたようです。高度な内容のお話を理解するためには浸りきらなければ難しいような気がしています。これからもゆっくりと続けていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。



Merci pour vos encouragements !

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