今日のお昼は、S書店に立ち寄る。帰りがけに手に取ったのが、宮田美乃里という乳がんで片方の乳房を摘出した歌人の歌と、彼女の存在をアラーキーこと荒木経惟が写真に収めたという 「乳房、花なり。」。
全く無防備なお昼時、強烈なブローを食らった思いであった。帰ってネットで調べるとすでに今年の3月に34歳で亡くなられている。
10分ほどの短い時間。写真にはすべて目を通した。歌も飛び飛びに読んだ。歌の良し悪しもわからない身ではあるが、何か強烈なものが伝わってきた。人間という悲しい存在の底の底から激しい声を上げているのを見、聞くことができたような気がした。
若い人間が先の見えてしまう状況に陥った時、抑えた表現などはできないだろう。人間の持っているエネルギーが予想もつかない方向に乱れ飛び、手がつけられないかのようだ。ほとんど暴力的な感情の迸りである。人間の持てるエネルギーのすべてを搾り出して逝った、という印象である。私などは、おそらくそれを小出しにして生きているのだろう、という思いも心に過ぎった。午後は、疲労感が体に漂っているようだった。