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フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

バルバラを聞く ECOUTER BARBARA POUR LA PREMIERE FOIS

2006-03-06 21:42:09 | MUSIQUE、JAZZ

先日、D氏とレオ・フェレ (Léo Férre) について話をしている時に、いろいろな歌手の名前が出てきた。ジャック・ブレル (Jacques Brel)、セルジュ・ゲンズブール (Serge Gainsbourg)、バルバラ (Barbara)、ジョルジュ・ムスタキ (Georges Moustaki)、ジュリエット・グレコ (Julliette Gréco) などなど。その中で、バルバラの名前はおそらく中学時代に初めて耳にしたように記憶している。不思議な名前だな、という印象があったくらいで、特に聞きたいとも思わなかった。

バルバラが私の前に現れたのは、その時以来である。今回初めて聞いてみた。聞いたCDはベストアルバムで、その最初に "L'aigle noir" 「黒い鷲」 が出てくる。この曲は数年前に語学学校の生徒さんに教えてもらってよく聞いていた Patricia Kaas のCDに入っていたので覚えていた。しかしパトリシア・カースの歌と比較すると(意識して比較したわけではないのだが、自然に比べていた)、声と言い、歌い方と言い、非常に癖があり、毒気がある。普通に言ってしまうと個性的 originale だ。これまでであれば受けつけない歌手である。今回も最初は抵抗があったが、聞いているうちに惹かれていった。

他にもいい曲がいくつか見つかった。例えば、

"Ma plus belle histoire d'amour (... c'est vous)" 「我が麗しき恋物語 (...それはあなた) 」
"La dame brune" 「ブルネットの婦人」 (これはジョルジュ・ムスタキとの掛け合いで、なかなかよい)
"Marienbad" 「マリエンバード」 (最初は気に留まらなかったが、お昼の散策時ハッとさせられ、その良さに気づいた)
"Nantes" 「ナントに雨が降る」 (父の死を歌った悲痛な曲) など。

彼女と父親との関係は非常に濃密だったようで、そう思って聞くと複雑な気持ちにさせられる。彼女のような歌を聞けるようになった背景には、最近やっと歌詞に注意が向くようになってきたことがあるようだ。


ところでカースの歌にも気に入っているものがある。例えば、

"Il me dit que je suis belle" 「はかない愛だとしても (←私は美しいと彼は言う)」 (盛り上がってくると思わず声が出てくる)
"Je voudrais la connaître" 「彼女のことを知りたい」 (彼女の声と決然とした歌い方によるのかもしれないが、強い意志を感じる)
"Une fille de l'Est" 「東欧の娘」 (愛らしい曲で、心が和む)、など。

こういう巡り合わせが最近多いように感じる。今回も嬉しい rencontre となった。

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9 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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バルバラ (キツネ)
2006-03-07 13:25:52
このCD、持っています

バルバラは、大学時代に知り、以来時々聴いています

思い立って1年ほど前にCDを買いました

この中の曲はどれも好きです

ところで、このごろ、ホンダのコマーシャルで、ミッシェル・デルペッシュの「青春に乾杯」や、ポルナレフの「シェリーに口づけ」など流れていますが、ご存知ですか?
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テレビにフランセ? (paul-ailleurs)
2006-03-07 19:03:24
確かに、最近テレビのCMでフランス語を耳にすることが多くなっているような気がします。ホンダのCMで流れているという歌(少なくとも題名)は残念ながら知りませんが、ポルナレフには馴染みはあります。意外な展開になることもありますので、今度注意してみようと思います。ありがとうございました。
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パルパラ (lys)
2006-03-07 22:05:57
はじめまして。仏検関連のブログを探していたときにpaul-ailleurs様のこのページを知りときどき読ませていただいております。特にpaul-ailleurs様のフランス語との出会いとその後の経過については驚嘆の念ををもって読ませていただきました。ずっと静かな読者でいるつもりでしたがバルバラのことで少しお話をしたくなりました。Nantesで歌われている父については、バルバラの死後、刊行された未完の自伝 Il etait un piano noir ...(Fayard,1998)の中で衝撃的な父親との関係が語られ話題になりました。少女のバルバラが救いを求めて警察に駆け込んだこともあったようですが、おとなは子供の話をまともに聞いてくれずに家に連れ戻されました。私は発売されてすぐにその本を読んだのですが、それ以後Nantesを聴くと、胸がしめつけられる思いがします。バルバラは父の死を歌うことによって父と和解できたのだろうか?父を許すことができたのだろうか・・・?と。
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丁寧なコメントありがとうございます (paul-ailleurs)
2006-03-07 23:06:49
Nantesを初めて聞いて時、彼女の声に鬼気が迫っていて、魂が振るえ叫んでいるように感じ、これはただものではないなと思っていました。彼女の人生が語られている本、いずれ読んでみたいと思います。ご紹介ありがとうございます。今回、ムスタキもなかなかいい、ということを発見しました。ひょんなことから素晴らしい歌い手に巡り合うことになり、喜んでおります。またお立ち寄りいただければ幸いです。
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バルバラ、ムスタキ・・・ (lys)
2006-03-08 21:48:50
バルバラとムスタキのLa dame bruneは楽しげな雰囲気がいいですね。少し古いですがムスタキ同様、自作を弾き語りするGeorges Brassensもいいと思います。若いBrassensが「詩人」の役で出演している映画「リラの門Porte des Lilas」は心に残る名作でした。それからバルバラの名前からの連想ですがJacques Prevertの詩にJoseph Kosmaが作曲したBarbaraという歌(Il pleuvait sans cesse sur Brest ce jour-la ...)も機会があればぜひお聴き下さい。
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・・・ブラッサンス (paul-ailleurs)
2006-03-08 22:39:53
ジョルジュ・ブラッサンスの名前は知っていましたが、どういう人だったのかはこれからになります。ブラッサンスが出ている「Porte des Lilas」ならびにやはり名前は聞いたことのあるジャック・プレヴェールの作のBarbaraという歌のご紹介ありがとうございます。近いうちに触れてみたいと思います。知らない遺産が山ほど埋まっていそうです。また機会がありましたら窓を開けていただければ嬉しく思います。

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lys様へ (paul-ailleurs)
2006-03-13 07:21:42
先日お勧めいただいたJacques PrevertのBarbaraをイヴ・モンタンで聞いてみました。なかなかいい曲でした。このアルバムには味の出そうな曲で溢れています。もう少し時間を掛けてみようと思っています。ありがとうございました。



http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002T20CK/qid=1142201854/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl74/249-6833621-9600330
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イヴ・モンタン (lys)
2006-03-14 22:51:54
イヴ・モンタンは晩年、俳優としてもよかったですね(特に「ギャルソン」「愛と宿命の泉」など。全く違うタイプを演じていますが)。前回のコメントをお送りした後に、実はこれまでほとんどPaul-ailleurs様の「フランス語習得過程」の部分しか読んでいなかったことに気づき、他の部分も初めの頃からパラパラと楽しませていただいております。また過去にさかのぼってコメントさせていただくかもしれません(Georg Solti, Lucien Jerphagnon, Musee Cluny,などの項、おもしろかったです)。
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Unknown (paul-ailleurs)
2006-03-15 00:13:21
イヴ・モンタンの「ギャルソン」は見ていますが、「愛と宿命の泉」はまだです。機会があれば触れてみたいと思います。昔の記事もお読みいただきありがとうございます。今の気分から言うと、「大昔」という感じですが。コメントがありましたら、よろしくお願いいたします。世界が広がるといつもうれしくなりますので。
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