以前に哲学を高校の課程に組み込んではどうかということを書いたが、そのフランス版にいつもの Ligeau 様から長いコメントが入っていた。エッセンスは以下のようなことになる。
ヨーロッパの哲学の教育事情に触れて、イタリアでは3年間、ハンガリー、チェコ、ブルガリアでは2年間、ポルトガルでは何と5年間も教えているという。哲学をまったく教えていないのがイギリス、アイルランド、ドイツとのこと。したがって、哲学を高校の3年目に教えるフランスはヨーロッパの平均以下であると言っている。ただどのように考えるかを国家が教えるのはどんなものかと警告している。いつでもプロパガンダの餌食になる可能性があるためだ。これは余談だが、私の分野にいるポルトガル出身の研究者 (知っているのは僅か数名だが) の設問の仕方にどこか哲学的な匂いを感じていたが気のせいだろうか。
この数字が本当かどうかわからないが、1996年OECDの報告によるとフランスの15歳の何と40%が文盲 illettré だという。概念を教える前に文字を教える方が先ではないかと皮肉っている。昨年暮れの暴動も何かを語っているのではないか。国家に組み込まれた教科書を読んでいるだけの公務員による哲学という目くらまし (la poudre aux yeux) では子供じみた蛮行 (des barbares infantilisés) に対して思考や意思の自立 (l'autonomie de penser et de la volonté) を与えることはできないだろう、と手厳しい。