昨日の展覧会で印象に残った絵を思い出しながら余韻を味わいたい。
1. モンペリエ生れのジャン・フレデリック・バジル (Jean-Frédéric Bazille:1814 -1870)
Nu couché (横たわる裸婦): 70 x 190 cmと大きな絵で、そこに本当に横たわっているような錯覚を覚えた。美しい寝姿である。
La toilette (身づくろい): お手伝いと思われる négress の黒い肌に白い指が食い込まんばかりに触れているのが印象に残っている。
2. ジャン・バティスト・アルマン・ギヨマン (Jean-Baptiste Armand Guillaumin: 1841-1927)
Environs de Paris (パリ郊外): 印象派を思わす色彩や筆遣いで、明るい感じになる。一瞬クロード・モネの絵かと思った。手前の木の天辺が右に曲がっているのも面白い。解説には、 Le site ici représenté n'est pas identifié ; on peut le rapprocher d'un tableau de Claude Monet, « Paysage, vue de plaine à Argenteuil » (1872, Paris, Musée d'Orsay) qui représente pareillement une plaine urbane prise depuis une colline champétre. とある。「アルジャントイユ」の響きも詩情溢れていて心地よい。
3. フレデリック・アンセルム・ロッタン (Frédéric Anselme Lottin: 1867-1907)
Réminiscence (かすかな記憶): 歌手の Cher を思わせるその顔立ちが気になった。
4. アンリ・ジャン・ギヨーム・マルタン (Henri Jean Guillaume Martin: 1860-1943)
La veille maison (古びた家): それまでに展示されている絵と色彩が全く異なっていて、新しい世界に入ってきたような解放感を味わう。
5. アシル・ロジェ (Achille Laugé: 1861-1944)
La toute au lieu dit “l'Hort” (通称“ロール”の道): 点描画で、前作と同様急に明るい色が広がり無条件で気分が晴れる。
6. ジョルジュ・リブモン・デセーニュ (George Ribemont-Dessaigne: 1884-1974)
Paysage lacustre (湖畔の風景): この景色はどこかで見たことがある、と思った。
7. ジュール・ローランス (Jules Laurens: 1825-1901)
Le chemin des sables à Fontainebleau -- effet d’orage (フォンテーヌブローの砂地の道、雷雨の効果): これから嵐が来るというその時、犬も察知して私の方に急いで戻ってくる。記憶のどこかに残っている風景だ。
8. ピエール・アタナーズ・ショーヴァン (Pierre-Athanase Chauvin: 1774-1832)
Vue prise aux environs de Naples (ナポリ近辺の風景): 昼も下がったあたりだろうか、楽器を奏でる女性とそれにあわせて踊る女性が見える。遠くにヴェスヴィオの噴煙が見える。ゆったりと流れる時間。懐かしい景色。
他にも懐かしさを呼び覚ます絵が沢山あり、その中に身を沈めて静かに時の流れを味わえる展覧会であった。