フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

バルガス・リョサ再び LA PENSEE LITTERAIRE DE VARGAS LLOSA

2005-10-27 23:22:50 | 海外の作家

マリオ・バルガス・リョサの 「若い小説家に宛てた手紙」 から再び。

第三章以降は技法から小説を眺めるという構成。例えば、「文体」、語り手を変えることにより醸し出される異なる「空間」、「時間」、メインの流れの中に別の話を組み込む「入れ子箱」(マトリョーシュカのように)の手法などなど。その上で、偉大な小説がなぜ偉大なのか、偉大でない小説がなぜそうなのかが、具体的に書かれている。取り上げられている小説はほとんど読んでいないので、理解するところまではいかないのだが。しかしこれから読んでいく時には参考になるのだろう。それ以上にこの本を頼りに、ここで取り上げられている小説を読んでみたいという気にさせられた。偉大な小説家ばかりではなく、彼の出身でもあるラテン・アメリカ文学なども。

読んでいて、はっとしたのは D.M. トマスというイギリスの作家が書いた 「ホワイト・ホテル」 が取り上げられているところ。時間的視点では、過去、現在、未来と三つの 「転移」 を持っており、さらに時間的な転移だけではなく現実から幻想的な世界にまで移行するという構造を持っているという。その時、この本を20年ほど前に買ってそのままにしていたことを思い出したのだ。探してみると見覚えのある表紙 (The Viking Press の 1981年版) が出てきた。その昔が蘇るようで少し嬉しくなる。近いうちに中身に触れてみたい。

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