フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

パングロスのパラダイム SJ GOULD -- PANGLOSSIAN PARADIGM

2007-04-30 00:41:35 | 科学、宗教+
先日読んだ 「『狂い』 のすすめ」 の中に、あれっと思う論理の展開があり、引っかかっていた。それは簡単に言ってしまうと、病気があるのは医者がいるからだ、というものである。昨日、コピーしておいたステファン・J・グールドとRC・ルウォンティンの1979年の論文に目を通す。その中で、この不思議な逆転の論理を思い出させるところがあり、一気に読み進む。

その論文は進化における適応プログラムについて論じている。その中で批判の的になっているのが、すべての形態、機能、行動などはこの最良の世界に適応するために進化したという考え方で、ヴォルテールの「カンディード」に出てくるパングロスの考えと同じところからパングロスのパラダイム "Panglossian paradigm" と名付けている。

 Voltaire (le vrai nom = François Marie Arouet; 21 novembre 1694 - 30 mai 1778)
 Candide, ou l'Optimisme (1759)
 Stephen Jay Gould (September 10, 1941 – May 20, 2002)
  The Unofficial Stephen Jay Gould Archive

カンディードの先生であったパングロスは、次のように考える。われわれは考えられる最良の世界 (le meilleur des mondes possibles) にいるので、すべては最良であるように (tout est au mieux) 創られている、その存在理由があるはずだ、と。例えば、

「われわれの鼻は眼鏡を乗せるために創られている。だから眼鏡があるのだ。脚は明らかにズボンのためにある。それでズボンをはくのだ」

という具合である。病気があるのは医者がいるためという論法と似ていないだろうか。仏教の教え、あるいは 「『狂い』 のすすめ」 でひろさちや氏が紹介していた仏教の教えは、パングロスのパラダイムに彩られていたことがわかる。

今日のお話はかなり広い領域につながる糸口になりそうである。今のところ、その扉があることに気付いたという段階に過ぎない。

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