昨日久しぶりに、ロマン・ポランスキーの "The Ninth Gate" を見る。古本に纏わる映画なのだが、最近のパリ滞在の折に、古本に思い入れが生まれているせいか (1、2、3、4)、以前とは違って見えた。ある人にとっての宝物を追いかける物語として、そういう世界もあるのかと漠然と遠くから見ていたが、今回は古本の世界として、こういうことも現実に起こりうるのでは、という想いで見ていた。その中にいるような感覚を覚えながら。
古本を巡るどろどろとした、ある意味で弱肉強食の世界が横たわっていることは、92歳の本屋さん Pierre Berès の紹介記事でも感じ取られたが、おそらくこの映画はその根にあるところを捉えて、さらに想像を羽ばたかせているのだろう。そうなるのは、古本を単に利益の対象としてみるというよりは(そういう要素もあるのだろうが)、古本の持つ甘美な魔力に引き付けられた人が折りなすドラマに満ちているからではないのだろうか。そこに人間の生の欲望が出てくるからではないのだろうか。
パリの街並みが出てくる場面もあり、映画 Frantic を見た時にも感じたのだが、新旧大陸の文化の違い、感受性の違いが滲み出るポランスキーならではの視点と映像で、今回も充分に楽しませてもらった。
25 février 2005