ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

120 太陽は23歳!? 日江井榮二郎

2010-06-27 16:03:48 | は行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。副題は皆既日食と太陽の科学。

 副題通り、皆既日食の研究を軸に、最新の知見を含め太陽の概観を紹介する。
 黒点、コロナといった誰でも知っているものから、フレア、太陽風、プロミネンス、白斑、CME(いい和訳が欲しいね)まで、易しい文章で書かれている。
 「ひのとり」「ひので」「ようこう」など人工衛星も脇役で登場します。

#自然界について、深く深く熟考し、常に常に考えを巡らせていると、自然界の女神がちらとその姿を見せてくれると、朝永振一郎が本に書いています。自然のままの地球に学び、太陽の声を素直に聴き、自然界を統べる「きまり」の根源を深めたいと私は願っています。

119 新・貧困なる精神 本多勝一

2010-06-27 15:32:26 | は行
 図書館より。講談社。

 この大物ジャーナリストの本を読むのは久しぶりだ。
 「(一人称)俺」「NHK受信料は払えない」「信州あるいは信濃県」「マーク=トゥヱーン」など、相変わらずでうれしくなる。
 また山岳部出身の山男らしく、自然保護や無謀な登山への批判は厳しい。ディズニーランドへの攻撃もいちゃもんであるが楽しい。金大中へのインタビューは、流し読みした。

 わかっていないのはカバーの紹介文を書いた人だ。筆者のローマ字表記を、奥付では「ちゃんと」Honda Katuitiとしている。カバーではKatsuichi Hondaとしている。二つも「誤り」がある。こんな基本的なこともわかっていないようでは失格と言えよう。

118 花粉症のワクチンをつくる! 石井保之

2010-06-27 15:19:30 | あ行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。

 ひどい花粉症の私にとって、ついつい手に取った一冊。
 前半では、スギ植林の国策、衛生環境の変化、寄生虫、外来植物など原因が語られる。ここまではいい。
 後半では、Cry j1、IgE、インターロイキン、コマンダーiNKT細胞、T細胞エピトープ連結ポリペプチドなど専門用語が頻出して私の理解を越えてしまった。比喩を多用するなど(抗体を映画アルマゲドンにたとえるなど)筆者はわかりやすく書こうとしているのだが。すみません。文字を目で追っているのだが、内容は頭に入ってこない状態。

 現在花粉症療法の世界は、理論はできているので実際の開発が待たれる状態である、ということはわかった。応援しています!

*抗ヒスタミン剤は眠くなる。

117 落語入門 渡邉寧久

2010-06-27 15:07:55 | やらわ
 図書館より。成美堂出版。

 題名とポップなイラストから、手軽に作った本と思いきや、役不足(誤用でない)とも言える解説が濃い。

#(船徳は)言わずと知れた八代目桂文楽の十八番。「四万六千日、お暑い盛りでございます」の一言だけで、「盛夏の江戸」を浮かび上がらせるのは、まさに昭和の名人の真骨頂だ。

 立川志の輔師のインタビュー、主な噺のあらすじ、その噺に関連する江戸の風俗、古今の名人たち、そして落語「名作百選」と余すところなく落語のよさを伝える本。上方落語にも逐一言及している。上方四天王や枝雀師も大きく紹介されている。
 これはお勧めである。

 付録は五代目志ん生師の「火炎太鼓」と「文七元結」のCD。

116 任天堂 井上理

2010-06-24 22:45:15 | あ行
 図書館より。日本経済新聞出版社。副題、”驚き”を生む方程式。

 お世辞抜きで、すばらしい本。ゲーム好きでなくても、一度読むべきだ。
 「水平思考」「枯れた技術」「任天堂らしさ」……。こんなキーワードが何度も出てくる。繰り返されるということは、任天堂の方針がぶれていないことを意味する。
 ゲームウォッチの誕生、ハル研究所と任天堂との関係、64やゲームキューブの失敗。セガとの対比(私はセガが好きなのだが)。
 カルタ伝来以来の(戦国時代だ!)歴史が厚みを増す。繰り返すが、名著だ。

#「我々は声が大きくてゲームをいっぱい買ってくれる人の姿をつい見てしまう。そこに合わせたモノづくりをどんどんした結果、ゲームをやる人が減っているのではないか」

#「寝ている間は、絶対にファンを止めなきゃダメですよ。ファンの音がしたらお母さんが電源を抜いちゃうから」

#《ゴルフ》《ピンボール》《F1レース》
(ハル研の開発ソフト。そうだったのか!)

#宮本は、ポパイの代わりに「マリオ」を、オリーブの代わりに「ピーチ姫」を、ブルートの代わりに「ドンキーコング」の絵を描き、(略)

#これからゲームに引き込もう、という人を相手に作っているので、今、ゲームに夢中になっている人の意見は当てにならないところがある

*修理を頼んだら新品に交換され、子供が貼ったシールが丁寧に新品に貼り直しされていた

*女の子の手を握りたいからラブテスターを作った

 名言ばかりできりがない。

115 愛と日本語の惑乱 清水義範

2010-06-23 20:17:27 | さ行
 図書館より。KKベストセラーズ。

 日本語ブームと言われる。その気になる日本語イシューを絡めつつ、愛人との破局を迎える物語。
 ストーリーはさほどでもないし、日本語イシューも聞いたことのあるものばかりだが、引っ張り方が上手で読んでしまう。
 中国の地名のイシューは勉強になる。