『夜の魔人といくさの国 ~さまよえるヴァンピール~』
対応ゲーム機 ―→ ニンテンドー3DS(ダウンロード専用)
配信開始日 ―→ 2012/05/30
配信価格 ―→ 700円(税込)
ジャンル ―→ バンパイアライフゲーム
プレイ人数 ―→ 1人
CERO ―→ B(12才以上対象)
■====== 簡単なご紹介 ======■
ポイソフトより配信中の、ちょっとひとクセあるスローライフゲームです。同社の作品であるWiiウェア『王だぁ!』の続編にあたる作品だそうです。
主人公のバンパイア(吸血鬼)は、住民の姿に化けて日本によく似た「いくさの国」に侵入し、目的である”おだ のぶなが”の血を目指します。
コマンド選択式で誰で簡単に進行でき、人間の血を吸う以外にもいろいろな楽しみがあります。
まずは、基本的な流れを説明。
プレイヤーは、1日の”昼”と”夜”で行動します。昼は、普通の住民として。夜はバンパイアとして行動します。
昼は、実行したい行動を選択して「夜へ」を選択すると、行動をおこなって夜になります。夜は、実行したい行動を選択した瞬間に行動をおこない、「朝へ」を選択すると次の日の朝を迎えます。
昼にできることは、ざっくりとまとめると以下の通りです。
・町を散策して住民と出会うことができます。出会った住民とは以後、一緒に遊んで好感度を深めていけます。(出会っていない住民も含め)手紙やプレゼントを送ることも出来ます。
好感度が一定以上になると家に招かれるようになり、さらに友好を深めたり、プロポーズをすることも…!
・他の地域に移動したり、引っ越したり出来ます。自宅のない場所にいる場合は、自宅に戻るという選択も出来ます。
基本的には、距離に応じて数日ほど時間がかかります。
・仕事ができます。「農作業」「漁に出る」「猟をする」「木を切る」「炭鉱を掘る」の5種類から選択し、どれも終了までに丸3日間かかります。
仕事が終わると、内容によって素材を獲得。装備しているものによっては、獲得できる素材が増えたりします。「農作業」は、自宅のある地域でしか出来ませんが、他の4種類はどこでも可能です。
・素材や道具の管理ができます。倉庫に入れて保管したり、素材1つもしくは2つを使用して新しい道具や素材を作ったりもできます。(例:米×2→ごはん、ごはん×2→おもち など)
また、素材や道具はお店で売買できます。
素材や道具の管理は1日に何度でもおこなえますが、倉庫の管理は自宅にいる時にしか出来ません。
・各地域の情報や住民の情報が見れます。自分もしくは”しもべ”がいる地域でないと、情報は一部しか見れません。
夜にできることは、以下のとおりです。
・住民の血を吸いに行きます。血を吸うと、その人物が”しもべ”となり、以後、自分の命令通りに動いてくれるようになります。
2種類の方法があります。「家に招いてくれた住民の家に行って血を吸う」のと「適当に探して血を吸う」です。前者が確実な方法で、後者は、危険にさらされる可能性が高いです。
血を吸う量も決めることができ、魔力の回復量が変わってくるほか、スキル(能力)を人間から受け継ぐこともあります。ただし、吸いすぎると死亡してしまうことも…。
・棺桶に入って眠ることができます。眠る日数は自由に選べます。
眠ることで、周りの”警戒度”を沈めることができます。基本的にはバンパイアであることがバレてはいけないので、最悪の場合この方法を使いましょう。
・魔法を使用できます。
見れない情報が見れたり、天候を変化させたり、天変地異を起こしたりと様々です。使用するには魔力が必要で、魔力は基本、血を吸うことでしか回復しません。
なお、魔力が最大の状態で住民の血を吸うと、魔力の最大値が上がります。
・”しもべ”に命令できます。
できるのは、お金や道具のやり取り、転職、睡眠です。”しもべ”であっても警戒されることはあるので、その時は睡眠をとらせましょう。
転職と睡眠には、魔力が必要です。
・素材や道具の管理・情報の確認は、夜もできます。ただしお店での売買はできません。
目的の達成を目指すもいいですし、目的を無視して自分なりの目標を楽しんでもいいです。
ただし、自分がバンパイアであることを住民にバレてはいません。
怪しまれることで、地域内での”警戒度”が上昇するので、各地域の情報には常に目を配りましょう。もちろん、うかつな行動なんかをすれば一気に警戒度が上昇します。
警戒度が高まってくると、住民が「宣教師」にバンパイア討伐の依頼をお願いしに行きます。本来は不死身なバンパイアですが、宣教師となると話は別。バンパイアを一目で見抜いて攻撃してくるので、絶対に会わないようにしましょう。
■====== partygameの評価 ======■
○=良い △=まあまあ or ちょっと気になる ×=悪い
◆=== 参考データ ===◆
プレイ時間 ―→ 約6時間半
プレイ内容 ―→ とりあえず一通りの行動は試してみた感じ(目的は達成していません)
前作にあたる『王だぁ!』のプレイ経験 ―→ なし
○ ―→ ちょっと紙芝居っぽい立体視がいいですね。
イベントでは小さなウインドウの中で2Dグラフィックのキャラクターがちょこちょこ動くのですが、小さく切り取った奥の空間で紙芝居がおこなわれていて、それを覗き込んでいるような、ちょっと不思議な感覚でした。こういう立体視の有用性も、ありだな~と思いましたね。
○ ―→ サウンドも、なかなかいいです。
これ、『ボクも世界を救いたい』行動選択時のアレンジ曲かな?なんとなく聞いたことのあるフレーズがあったので。
○ ―→ 更新版について。
7月5日に、不具合の修正や機能追加などをおこなった修正版が公開されました。それをダウンロードして試してみたところ、それとなく利便性やテンポが向上していました。
更新前は、昼から夜、もしくは夜から昼に変わる時にいちいちセリフが出てテンポが悪かったのですが、なくなったことでだいぶ改善されました。それと、倉庫の管理で、道具の出し入れに「全部入れ」「全部出し」が追加されていたりします。(元々は、一度に最大10個までしか操作できなかったです)
△ ―→ できることが色々あって、最初は混乱するかも?
とりあえず、たいした説明も無しにいきなり住民として放り出されるので、1つずつ確かめながら行動していくことになります。…もしかしたらチュートリアルがあったかもしれませんが、少なくとも私は覚えていません(苦笑)
まあ、とりあえず一通りの行動を試してみることをオススメします。
△ ―→ タッチ操作に、若干ながら統一性のなさを感じました。
基本的にはシンプル操作なので、そんなに迷うことはないのですが…項目をタッチすると選択したことになる場合と、項目をタッチした後決定ボタンをタッチすると選択したことになる場合があって、もうちょっとキレイに統一できなかったかな?と思いました。
△ ―→ 倉庫にある素材で新しい道具を作ることができません。
道具や素材を作るとき、基本的には手元にあるものしか素材として選択できません。しかし、手元に持てる道具の数には限りがあるので、場合によっては操作の出し入れを頻繁におこなうようになります。
いかにも昔っぽいこの一手間が、いいという人もいらっしゃるんだと思いますが…私は、ただ面倒なだけに感じましたね。自宅でない場所にいると倉庫のものが使えないというのは理解できますが、自宅にいる時くらいは倉庫のものも素材として簡便に利用したかったです。
× ―→ セリフがほとんど同じです。
初めて会った時に「はじめまして、○○さん!」と言われ、遊びに行く時は「さあ○○さん、今日は何をしましょうか?」と言われます。これ、全ての住民がみな、同じなんです。
男性であっても女性であっても、性格が違っても全員同じです。…ファミコン時代ならともかく、今の時代にこれは、機械的すぎてあまりに素っ気なく感じてしまいました。
唯一、文章で面白いと思ったのは、道具や食べ物の説明。
同じ種類でもいいものと悪いものがあり、「おいしい寿司」「寿司」「まずい寿司」で、性能や説明文が違います。その説明文が、そこはかとなくユーモアが効いていて面白かったです。妙にリアリティのあるダメ出しとか(笑)
逆にいうと、楽しいと思えた面がそこくらいしかないからこそ、より強く記憶に残ったとも言えるのですが。
× ―→ どうもピンとこないイベントが、いくつか見受けられました。
例えば、家に招かれた時に自分がバンパイアであることを明かすこともできるのです。実際にやってみたのですが、「ちょっと時間をください」と言われたので、次の日にも家に行ってみたら、また同じ選択肢が出てきて、選択すると同じセリフを言われて…何だこれ?ってなっちゃいました(笑)
色々な行動があり、なかには上記のようにドキドキするような選択肢もあるのですが、選択したことに対してズレた反応が返ってくることに、不満を感じました。
また、プロポーズして結婚。配偶者を作ってみたりもしたのですが、特に直接何かができるわけでもなく、たまにプレゼントをもらえるくらいでした。
しかもプレゼントを貰うときの様が、いかにも初めてラブレターを渡すかのような感じ。なんか、違うと思いました(笑)
■====== 得点とまとめ ======■ … 55点(100点満点)
簡単にいうと、バンパイアで楽しむシンプルな『どうぶつの森』という印象でした。
”おだ のぶなが”の血を吸うという一応の目的はありますが、それを最優先するか無視するかは人それぞれ。むしろ、自分で自分なりの目標を作って楽しむ作品だと感じました。「住民へのバレやすさ」とか「人からの好かれやすさ」のバランスをいつでも自由に変えられてしまうあたり、余計にそういう方向性の作品だと思ったわけです。
ただ、それにしてはアクセントがに少なくて…セリフは同じですし、できる行動は多いようで少ないですし、起こした行動に対してズレた反応が返ってくることもありますしで、なんかプレイしていて気持ちよくありませんでした。
良くも悪くも、ファミコン時代っぽい”ぎこちなさ”があるという感じです。レトロな時代が好きな人なんかはわりと受け入れられやすいかもしれませんが、現代のゲームに慣れてしまったからか、私には合わなかったようです。表現が乏しいぶん、色々と自分のなかで想像できる人なんかも、逆に楽しめるかもしれませんね。
『王だぁ!』経験者は、もしかしたらすんなりと溶け込んでいるのかもしれませんけど…どうなんでしょう?
まあ、ポイソフトは毎度毎度、ひとクセある作品を提供してきますからね。
今回もある種、それに恥じぬ作品だと言える気がしますが、『ひゅ~ストン』や『タケヤリマン』とは明らかに毛色の違う作品ですので。この2作品が楽しめたなら今回も…と、安直に手を出すのは禁物です。まあ、アクションとそうでないという違いがあるので「違うのは明らかに分かるだろ」とか言われそうですが(笑)
とりあえずもう少し進めてみて、何か新しい発見などがあって評価が変わるようでしたら、セカンドインプレッションを書く予定です。
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