チビのおしゃべり日記

お星さまになったチビへ
どんぐり母ちゃんが語りかけます。
ねえ、チビ・・・聞こえる?

アカの子供達。(=^・^=)

2023年06月06日 | 日記
 その日の夕方、何かに気付いたようにコロが吠え始めました。
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 『やけに、コロがうるさいけどなんかあったのか?』
 祖母は、縁側に腰をかけながら庭先につないでいるコロの方に目をやりました。
 庭先に出て、辺りを見回しても別に何も変った様子もなく、ニワトリ小屋にも異変はありませんでした。
 『コロ、もう分かったから何もいないから・・・』
 祖母は、コロの頭を優しく撫でながら言い含めていました。
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 そして数日後。
 この頃、アカは随分ときれいにご飯を食べるね~。
 
 今まで大好きな煮干しだって最後まで綺麗に食べた事ないのに、今日も煮干しのお代わりくれって戸棚の前で何度も催促されたよ。
 そう言いながら、母は不思議そうにアカの茶碗をのぞき込んでいました。

(私が知ってる限りでは、ネコはよっぽどお腹が空いて無い限り、量の多い少ないは別として一度に全部食べ切ると言う事はありません。必ずと言っていいほど少し残します)
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 そして、その原因が分かる日が来ました。
 その日、父は仕事が休日だった為、上の弟を連れて釣りに出かけました。

 昼食時になり、一番下の弟は、父たちが持って出たおにぎりの残りを頬張り始めました。
 それまでアカは、弟がおにぎりを食べるのを横でじーっと見つめていました。
 別に欲しがる様子もなく、元々アカは魚以外のご飯にはあまり興味がありませんでした。

 でも、その日は違っていました。弟の手からおにぎりが転げ落ちた瞬間、それまでじっとしていたアカがあっという間におにぎりをくわえて何処かへ持ち去って行きました。
 
 今まで、この様な事は有りませんでしたので、そばにいた家族はいったい何が起こったのかと呆然とするばかり。肝心の弟はと言うと、おにぎりを持ち去ったアカの方を指さしながら鬼瓦のように真っ赤な顔で泣き始めました。

 そして、不思議に思いアカを追いかけて行った母が目にしたものは・・・
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 『物置にネコがいる。それも親子で・・・』

 え~ッ!!、そこにいた全員が物置に駆けつけたみると、危険を察した母ネコが子ネコを一匹づつくわえ何処かへ連れていこうとしていました。

 生まれてあまり時間が経っていないようで、子ネコたちはまだ目も空いておらず、へその緒も付いたままでした。

 『あ~大丈夫だよ。何もしないからそのままそこにいなさい』
 母は慌てて、母ネコをなだめると、とりあえず何でもいいから古布を持ってくるよう私と妹に言いつけました。
 そして近くに置いてあったリンゴ箱に敷き詰めると子猫を一匹づつそっと入れはじめました。
 
 その間、母ネコは子ネコを守るように『シャーシャ―』と母の手を払いのけるように威嚇しておりましたが、最後は諦めたように自分もリンゴ箱の中に入りはじめました。
 子ネコたちは、母ネコのお腹に顔を埋めるようにしてお乳を飲み始めました。
でも、母ネコだけは私たちから目を離すことなく、警戒するようにじーっと私たちを見上げていました。
 
 子ネコは、全部で三匹いました。ピンクの地肌にふぁふぁとした産毛が生えていました。ぼやっとですが毛色ははっきり確認できました。
 そしてその中にアカとそっくりな毛色の子ネコが一匹いたのです。

 そばで様子を見守っていた明治生まれの祖母は、母ネコの頭をそーっと撫でながら、たった一言『このネコは、アカの側室だな・・・間違いない』
 
 実は、アカには既に正室がおりました。
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      ※この続きは次回投稿させて頂きます。




アカのその後(=^・^=)

2023年06月02日 | 日記
 先日、初めてネコの記事を投稿させて頂きました。
 遠い昔の為、画像も無く文字だけの表現では当時の情景を感じてとっては頂けないのでは、と言う思いもありました。
 それでも、今また、文字にしてみたいと思い立ったのには当時の貧しい時代を人間以上に知恵を絞って生きぬいたアカの生涯を書いてみたいと思ったからです。

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 長旅で受けたアカの傷はほぼ完治していましたが、目の上と鼻筋には深い傷跡が残りその二か所だけはハゲたようになっていました。
 この頃になるとアカの縄張り意識も一層強くなり『この傷は男の勲章だッ!!悔しかったら付けてみろッ!!』と言わんばかりに近隣のオス猫達に目を光らせていました。
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 その朝、アカにしては珍しくニャーニャー騒ぎながら台所にいる母に駆け寄って来ました。
 そして、訴えるように母の足元に絡みついて離れようとしませんでした。
 
 アカには家族よりも先に朝ご飯をあげていたのですが、母は不思議に思いアカの茶碗の所へ行って見ると、一番下の弟が顔中にかつお節とご飯粒をくっ付け、両手で煮干しにしゃぶりついていました。
 (今では考えられないでしょうが、当時はごく普通にある光景でした)

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 アカにして見ればご飯は別としても大好物の煮干しまで盗られては、黙っているわけにはいきません。
 奪い取る事だってできたでしょうが、しゃぶった後の煮干しなど食べたくありません。

 こうなったら母に訴え新しいご飯と煮干しを用意してもらった方が得策だと考えたのでしょう。
 『かあちゃん、おいらヨダレだらけの煮干しは絶対イヤだからね。新しいのに変えてね。』
 
 新しいのを期待していたアカですが、茶碗に戻されたのは弟が散々しゃぶってヨレヨレになった煮干しでした。
 『アカ、早く食べないとまた食べられちゃうよ』母はそう言いながらヒョイと弟を背中に背負うと台所に消えていきました。
 
 最初から背負っていてくれればこんな思いしなくて済んだのに、アカの茶碗の中には無残な姿の煮干しを隠すようにパラパラとかつお節がかけてありました。

 母ちゃんとしては、かつお節で証拠隠滅を図ったつもりでしょうが、アカの目はごまかされません。
 『やだ~ッ!!絶対やだよ~ッ!!』
ニャーニャー騒ぎ立てた末、やっとのおもいで新しい煮干しに変えてもらいました。
 
 そして何事も諦めてはだめだと言う事を、アカはちっこい頭で学習しました。
 
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 コロは、ふにゃふにゃになった煮干し入りのご飯を美味しそうに食べ始めました。
 そして、茶碗がカラになると地面に落ちているご飯粒も一つ残らず食べ切りました。
 
 
     ※続きは次回投稿させて頂きます。