登山者の中に見る時代の移り変わり

2012-09-20 09:52:29 | 山の本 移植途中
■読了 『間違いだらけの山登り』『岩崎元朗校長の登山学』

岩崎元朗さんは、中高年のグルだと思っていたのであまり注目していませんでした。が、ネットで見かけた文章に共感したので、図書館で本を借りてきました。

間違いだらけの山登り―「知らなかった」ではすまされない62項目

岩崎元郎校長の決定版 登山学―ヤマケイ・無名山塾カルチャー教室リーダー養成講座より

の2冊です。

登山にもスタイルがあり、私は、大衆的な、雑誌『山と渓谷』よりはどちらかというとマイナーで渋めの『岳人』派。でも実際に登る山は岳人に載っているようなのはスキル不足で登れないので、『PEAKS』にむしろ載っている…という感じです。

なので、勝手にヤマケイ○○文庫系の本は、大衆迎合スタイルというイメージがあり、中高年の登山者には多少辟易気味なので、中高年ブームを作り出した超本人の岩崎さんには多少「もう、火をつけちゃって…」的な思いがありました。

しかし、岩崎元朗さんの主張はとても良いなぁと思いました。競争しない山、味わう山を主張しておられます。ご本人はアルピニストなのに。

山に競争を持ち込むと何にもいいことがありません。急いで登ってはバテるし、いくつ登ったかで競争するし、高いところに登ろうとするし…そんなことを考えていると人間はかならず老いるので、その老いの折り返し地点から山にいけなくなってしまいますよね。 下ることが許せなくて。

日本の山の良さはそうではなくて、老若男女、工夫次第で誰でも受け入れてくれる柔軟性なのだ、と思います。日帰りの山は1泊で行くともっと楽しいです。1泊2日の山は混雑で辟易しない限り2泊にしたほうがもっと楽しめる。

いや~アルピニストなのにツーリストの面倒を見てくださるありがたいお方ですね、岩崎師匠は。

特に『岩崎元朗校長の登山学』 が良いです。「連れて行ってもらう」から「連れて行く」までの心構えなど書いています。

私は登山2年目なので情報としてはあまり目新しいものがなかったのですが、例えば、日本人は「だいじょうぶ?」と聞いても、遠慮と恥ずかしさから「(ダメでも)大丈夫です」と答えてしまうので、リーダーは相手の様子から真実を把握しないといけない、とか…。 

日本人って世界的に見たら、ほんっとややこしい人種でしょうねぇ。フツーに直球で本心を言わない。思いやりやら世間体やら色々と混ぜこぜなのです。 

まぁそういうのがめんどくさいから、きっと単独行が増えるのでしょう。

■ コミュニケーションする理由

私がコミュニケーションに努めるのは…実は自分のためです。というのは、知っている人もしくはちょっと知り合いになった人から、迷惑をかけられても腹は立たないが、知らない人だと腹が立つ。

これは人間の真理だからです。今回も隣近所とは仲良くなって、いびきの猛攻撃に耐えました…(笑)

今回は、ちょっとカチン、と来たのはとなりにテントを張った東京の山岳会。山の大先輩のはずなのに、らしからぬ態度だった…。(でも期待があったからです、山岳会、山男というものに対して。やっぱり”三歩”さんを土台にしてしまうと…^^;)

・テントサイトが12時で満杯だったので、テラスに張ったのだが、できるだけスペースを占有しないように空けてあげておいた。
・ところが、3人で6人用テント。デーン。
・その上、近くのテーブル&椅子を占有。使っていないときも私物放置。
 通過の人も使えないし、私たちも使えない。使い終わって 「どうぞ」の声かけも無い。場所独り占め。
・さらに夜中の大いびき&夜中の話し声(丸聞こえ…)
・さらにテント撤収のとき、うるさい&まぶしい。こちらは奥なので撤収してくれないと撤収できない。待っているのに(そのことは前日それとなく伝えておいた)。
・さらに先発するのに「ではお先に」など挨拶なし…。(なのであえてでかい声で「いってらしゃい!」と言ってあげた)

基本的に団塊の世代の人は、”挨拶”励行が足りていないようです。大体において男性は話しかけてもらうばかりで、自分から、「こんにちは」といわない。
話しかけてもらっておいて、ほっといて欲しそうな顔をしている…(なら混んだ山に来るなよ~!!こっちだって2人だけでロマンティックな山をしたいの)

今回、この団体は山行のそもそもの目的が自分達だけの世界に入りたかったようです。が、だったら、余計挨拶して、時間とスペースを割り当てあわないと。

そういうのが出来ないのが年配の男性なんですよね…。上下関係がない関係の作り方を良く知らない。

一方、東京から来ていた熟年ご夫婦には好感が持てました。奥様の接待山行…宴会仕様(笑)ちょっと羨ましいご夫婦。テントなんて大丈夫なのってくらい石垣のギリギリに張っていたので10cmとあけず隣がはっちゃってかわいそう… でも宴会が楽しそうでした。

上には登らず、岳沢まで。そんなテント泊もいいな~と。 ただこういう場合、周囲は朝早く出発するから、どうしても周囲の音で目覚めてしまって朝のんびりできず、かわいそうですよね。でも、2人が仲良しでいい感じでした。

■ 時代

ふと考えてみると、時代の流れを反映している3グループでした。

60代。山岳会おじさん3人組は、大型テント&ずっしり荷物&グループ山行(と言っても会の衰退で3人…)のクラシックな山旅。

 ↓

50代熟年夫婦は、プライバシーと快適性重視。お食事&ウエアもリッチな山行で無理をしない。個人山行。

 ↓

新規参入40代夫婦は、ウルトラライト&ファーストな個人山行。


おじさんたちの山は女性の存在が希薄だった。妻とはまるで別の人生を歩んでいるように。

一方、おいしい柳川丼を作っていたご主人は妻を趣味の世界にご招待中だった。夫唱婦随とまでは言わないが、夫がリード。

私たちは、夫婦揃って同じ趣味を形成中…お互いに始めてまもなく、初心者同士だから、どっちかがどっちかを案内する、ということもあまりない。ウチの場合は知識の面では、婦唱夫随に近いが、それは生活時間のゆとりの差による感じだ。 

というわけで、押しなべて、世代が下ると同性同士のグループから、異性と連れ立って歩くペアへ。

これってちょっと海外みたいだな、と思う。 海外では熟年男性だけのグループなんかはほとんど見ないので。男性だと若くてもつるんでいることはあまり見ない。
せいぜい2人とかなのだ。

ま、岩崎師匠の本には、夫婦が登山のベストパートナーとは限らない、と書いてありましたが…(笑)

■ 人と登るときは人間優先

最近は私はいろんな人と歩いているので、人と歩くときは、登頂二の次と思っています。

人と歩く山は友情の山。人間のほうがどう考えたって登頂より重要。だから時間で割り切って、のんびり歩いて、時間が押せば、すんなり途中棄権です。

そんな風になった山は後からまた1人で行けばいいのだから。





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