松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆パチンコ店名公表から見る氏名公表の法的性質⑧

2020-05-07 | 氏名公表
 パチンコ店の氏名公表から、氏名公表の法的性質が見えてくる。

 こんな非常時に、密をつくって、パチンコなどとんでもないという風潮から、現在の法制度で精一杯できることとして、パチンコ店の氏名公表をすると脅し、そして、実際にも氏名公表をした。

 そうすると、パチンコファンが、あそこのパチンコ屋やっていると知って、県境を越えてやってきて、いつもより大混雑となった。結果的に、氏名公表は、プレッシャーとしては機能せず、むしろパチンコ屋の利益になった(今度は、強制的に閉めさせる制度を考えろという議論になった)。

 ちなみに、私の立場は、ニュートラルで、パチンコ屋は、本当に三密なのか、教えてほしいというものである。実際、新型コロナが発生するのか、あるいはその危険があるのかである。ゴルフ場からは、コロナが発生しているが、これとの対比はどうかというものである。ゴルフもやったことがないので、終わった後、どんな風にお風呂に入るかのか、みんなで一杯をやryのか、よくわからない。

 医療関係者が苦労しているときに、パチンコかよというのはよくわかるが、同じようにゴルフかよである。パチンコ屋に行くのは、低所得者層で、ゴルフ場へ行くのはお金持ちで、何か外見で判断しているような感じが、おもしろくない。私も、ずっと床屋さんに行っていないので、さえない外見が、ますますひどくなっているので、人ごとではない。

 さて、①行政による制裁的氏名公表は、住民に対して,行政指導の内容や不服従の者の氏名等の事実を公表するに止まる行為であるから,その法的性質は精神的作用を伴うに止まる非権力的事実行為で、法的効果を認められないと解されることから,原則として当該行為に処分性は認めらないと考えられている。

 ②そうとは言っても、制裁的氏名公表は、世間に名前をさらされる→義務の不遵守者の烙印を押される→社会的に排除されるかもしれないという心理的圧迫を使って、勧告の遵守や義務の履行を確保する仕組みとも言えるからである。村八分にされる怖さや、不服従者として氏名が公表されると,社会からパージされて、回復すべからざる損失を被る場合もある。処分と同じではないかという議論である。

 ③今回のむしろ人が集まったパチンコ屋の話は、「この制裁効果が,社会の人々の反応という行政の側でコントロールすることのできない事情に依存している」という性質を表していることになる。行政のコントロールが、効かないので、これを「処分」とするのは無理があろう。

 ④逆に言うと、この行政のコントロールが効かない仕組みを野放図に認めることは、問題であろう。したがって、政策論において議論すべきは、処分性の有無や取消訴訟の可否ではなく、制裁的氏名公表の適正手続きである。相手方に相応の準備と覚悟ができ、社会の同調圧力に翻弄されない、期間や手続きを詰めていく作業だろう。

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