On The Road

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2009-12-07 20:21:21 | OnTheRoad第1章
住宅街を三輪バイクで走っていると、気の早いクリスマス・イルミネーションがところどころに見える。幸せそうなフリを見せびらかされてるみたいで、体感温度がグッと下がった。
来週から僕はサンタスーツを着ることになる。もう気分は氷点下だ。サンタスーツがいやだから仕事を辞めたいと言ったら、店長はガキみたいなことを言うなと言い、ナカムラ君は理解できないと言った。店長はナカムラ君に、クリスマスの夜にサンタスーツで帰ることを特別に許可している。ナカムラ君はサンタクロースになりきって、彼女の家に行くのだそうだ。

バカじゃねーの?
何 浮かれてるんだよ
ノートに書いてよく見たら
ウラヤマシイが透けていた

グレーのノートにこっそり書き付けていたら、無口だけど朗らかなワタナベ君が出勤してきたので、クリスマス期間だけシフトを替わってくれと言ってみた。ワタナベ君はいつもの笑顔で、家族や友達とパーティをするから24、25日はムリとはっきり断った。2日間サンタになれれば、他の日だってなれるでしょ?
そうだねと僕も笑うしかなかった。

少し沈んだ気分で家に帰って、お母さんの顔を見たら、何だかホッとした。今日は何してたの?と聞いたら、掃除のこと、買い物のこと、野菜が高くなったこと、寒くなってきたことと次々とコトバが飛び出してきたので、ちょっと面倒になって僕はお風呂に入ることにした。


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