呆老冷水録-Don’t be silly Grand'pa

80すぎたら横と後ろだけ見て過ごそうか!

フォートマッケンリー

2004年12月07日 | 遠近旅録-外国
米国ボルチモアには仕事で何度も行きましたが郊外のFort McHenry(マッケンリー砦)行きは1990年にやっと実現しました。あの米国国歌発祥の舞台となった有名な砦です。

米国独立戦争のさなか、チェサペック湾深く侵攻しワシントンDCを陥とした英軍の強力艦隊は引き続きボルチモア港近いこの砦の砲撃に掛かっていたが、そのとき米国の弁護士フランシス・ケイは捕虜奪還交渉のため乗り込んでいた英国艦上で一夜を過ごした。英艦隊の夜通しの猛砲撃を受けた同砦は砲煙に包まれ一晩で陥落必至と思われたが翌朝甲板に飛び出して望遠鏡で砦を見たケイの眼に、陥落したと思われた砦の上空で雨上がりの曙光に映えてヘンポンと翻っている星条旗が見えた。友軍の敢闘に感激したケイはその光景を一気に詩に表現した。
Oh say!can you see by the dawn's early light・・
で始まる、合衆国国歌となった有名な「星条旗」という詩である。

というエピソードが頭に焼き付いていて是非一度訪れてみたいと思っていたのだが、行ってみると海岸から幾分後退したところに5角形の空堀に囲まれて立っている砦はヒバリのさえずるのどかな史跡。予想以上に広大な中庭(練兵場)の周囲には大砲や砲弾が並んでおり、真ん中に高い旗竿があって星条旗が翻っていました。兵舎の中に説明のパネルが沢山あってアメリカらしく実に正直に当時の模様を詳しく書いてある。事前の印象では耳もつんざく大音響を伴った砲弾が間断なく雨霰と飛んできたように思っていたが説明を読んでみると実際は1分に1発平均程度の間隔でドスンドスンと来たようです。なにせ200年以上昔の話(江戸時代)でしかも撃つ方も防御砲の射程外いっぱいで撃ってきたから、弾道もピッチングウェッジショットみたいに高く、旗竿に砲弾が命中するようなことはまず考えられず、不謹慎ながらこれじゃあ一晩中撃たれても平気な筈だワと少々がっかりしました。
そして後になって、その旗が面積120㎡を越えるドデカイものだったと知り再び驚きました。

しかし数世代にわたる頑強なレジスタンスで自由、平等、博愛の理想を貫き、苦心惨憺英国から独立を勝ち取ったアメリカ人の独立戦争と同砦及び星条旗(国家)に対する尊敬と誇りと思い入れは絶大なもので、今でも小学校では繰り返し星条旗に対する尊敬=愛国心が教え続けられているそうです。
(04年12月記)



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