杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・「宇宙開発」平和目的の限定削除へ

2012-01-14 09:38:54 | 平和問題
共同通信の配信で、「宇宙開発、平和目的限定を削除へ 機構法改正を提言」 という記事を今日の東京新聞で見ました。

 政府の宇宙開発戦略本部の専門調査会がこの1月13日に
「『平和目的に限る』としている宇宙航空研究開発機構の設置法の規定を削除し、防衛利用を可能とするよう改正すべきだ」
とする提言をまとめたということで、1月下旬に召集する通常国会に改正法案が提出されるということです。

 この目的限定が削除されれば、偵察衛星や早期警戒衛星の開発などに宇宙機構が関わることが可能になるとのこと。
 専門調査会は、宇宙の防衛利用を認めた宇宙基本法との整合性が必要だとして、
平和目的に限定した宇宙機構設置法の規定削除を求めた、ということですが

この記事では、
 安全保障分野の強化が狙いだが、宇宙の軍事利用が進むとして批判する声も上がりそうだ。
とも書かれています。
安全保障の強化と、「平和目的に限る」は背反するということになります。

また、(提言には当たれていないので)記事の文字づらだけみると
提言自体が「平和目的でない防衛利用」を認めることになりますが
本来、防衛だって、少なくとも平和のため、というはずではないのでしょうか。
これでは大義さえもない防衛利用を認めることになってしまうのではないでしょうか。


2008年5月21日に宇宙基本法が成立当時に、それを歓迎する記事がありました。

日本航空宇宙工業会の伊藤源嗣(もとつぐ)会長(IHI相談役)が法案成立の当日の定例会見で、宇宙基本法の成立について
「宇宙産業が活発化する」と歓迎の意を示した。
これまで、日本の宇宙利用は、衛星の打ち上げや観測技術などの研究目的が中心で、
経済界には「国を挙げて宇宙産業を育てる欧米と、『平和利用』という足かせのある日本とでは、
競争環境が違いすぎる」との不満があった。

同氏は「タブーだった安全保障(上の宇宙利用)が専守防衛とはいえ、視野に入ってきた。幅広い活動ができるようになる」
と期待を示したということでした。


経済界の判断優先で、一般市民がないがしろにされることは、福島原発事故によって明らかにされた原発推進の流れ
でも明白です。

下々の国民に危険な情報をそっと、拡散して示すマスコミにも問題がありますが
情報を受けとろうとしない、受けとっても放置する私たちも自戒しなければならないと思います。



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1 コメント

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防衛は平和のため (鉄甲機)
2012-01-15 02:23:56
>下々の国民に危険な情報をそっと、拡散して示すマスコミにも問題がありますが
>情報を受けとろうとしない、受けとっても放置する私たちも自戒しなければならないと思います。

 「放置する」も何も、マスコミが正しい情報・判断材料を伝えてくれないんですもの。
>宇宙の軍事利用が進むことに批判する声も上がりそうだ。
とか煽るばかりで。

 宇宙機構設置法の「平和目的」とは1969年、まだ米ソ冷戦真っ只中で自衛隊アレルギーが蔓延していたころの国会決議及び政府答弁の「非軍事」。
 2008年宇宙基本法の「平和目的」は、国際条約及び 日 本 国 憲 法 に基準をおいているもの。
 日本国憲法を遵守する限り、安全保障の強化と「平和目的に限る」が背反するわけがないんですが、このときも「『平和目的』を捨てた」「宇宙の軍事利用を可能にする」などと報道されたものです。
 マスコミの判断優先で一般市民がないがしろにされることも、福島原発事故で明らかになりました。平和だ安全だ非軍事だとかの言霊に惑わされない、冷静な思考・判断力を持つことをマスコミには望みたいものです。

 だいたいが、宇宙空間で人類史上初めての軍事行動を起こしたのは、我らが隣国中国なんですけどね。そのことについて「宇宙の軍事利用が進む」と批判したんですかね、東京新聞は。
 と思って調べてみたら、「宇宙のゴミを増やすな」なんて間抜けな社説を書いていました。(爆笑
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009021302000063.html

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