杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・次の争点は“抑止力”

2010-05-29 08:54:36 | 平和問題
昨日(2010年5月28日)の鳩山総理の行動と午後9時からの記者会見の内容については、いろんな思いもありますが、現状よりも良い状態を考えて行くためには、私たち国民に知らされた争点を明らかにしていくことだと思います。

沖縄の普天間基地の映像も説明も、辺野古のことも一部の問題意識を持った方たち以外はあまり馴染みのないことでしたが、居ながらにして情報に接することができるようになりました。沖縄の方たちの声にも触れることができました。

昨日の鳩山総理の話の中で

「普天間の問題については、地元・連立・米国、この三者の理解を得ることを目指したが、・・・ 残念ながら、現時点において、もっとも大切な沖縄県民の皆様方の御理解を得られるには至っていない。 また連立のパートナーであり、社民党党首であります福島大臣にも残念ながらご理解をいただけませんでした。結果として、福島大臣を罷免せざるを得ない事態に立ち至りました。」

という発言がありました。
つまり、地元もダメ、連立もダメで、結局米国だけが優先されたことになります。

なぜ?
国民の意思を踏みにじり、内閣の存続を聞きに曝しても優先しなければならないアメリカとの関係は。
この理由が「抑止力」ということではないでしょうか。

私たちは、これまで「抑止力」について間近に、具体的に論じる情報と機会がありませんでした。
この抑止力の問題を、分かりやすく「正しく」茶の間に持ってきてもらう所まで来ました。

これほどの国の問題を、いくつも明らかにしてきた総理大臣はなかったと思います。
スマートに解決するのでなく、一つ一つ石につまずいて、その石の存在を気づかせてくれる内閣総理大臣なら支持しても良いのではないでしょうか。

鳩山総理を批判する立場にある人の中に、これほどに、どんどん主権を国民に気づかせてしまう総理にはいてもらっては困る、という勢力もあるのではないでしょうか。

このように書いていると、テレビからは、沖縄問題からかわって朝鮮半島の緊張を伝える報道が流れています!

メディアは、こんどは腰をすえて
“抑止力”について、しっかり報道をしてほしいと思います。

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5 コメント

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そもそもは国民の知識不足 (鉄甲機)
2010-07-19 21:47:36
 ご無沙汰してました。すぐ書き込むよりも、しばらくマスコミの様子を見ていようと思ったもので。

 しかし、参院選は見事なまでに消費税に終始し、普天間は軽視されてましたな。朝日新聞には「ふって湧いたような消費税論議は、普天間問題を誤魔化すためではないか?」と陰謀論投稿が載る始末。
 福島党首を始めとする社民党や共産党は普天間問題について熱弁を振るっていましたが、結局はブレまくる菅首相のペースに乗せられて消費税問題を中心にせざるを得なかった惨状を見れば、確かに陰謀論も説得力を持とうというもの。(笑

>地元もダメ、連立もダメで、結局米国だけが優先されたことになります。
>この理由が「抑止力」ということではないでしょうか。
>この抑止力の問題を、分かりやすく「正しく」茶の間に持ってきてもらう所まで来ました。

 アメリカが優先されたというより日本の安全保障が優先されたということなんですが、マスコミではそういう論点で「抑止力」を語ることは少なく、「沖縄県民は無視された!」と情緒的に煽るような報道が多かったように思います。朝昼のワイドショーや毎晩の報道バラエティならともかく、日曜朝のお堅い報道番組さえも情緒的報道から逃れられていませんでした。

 マスコミだけではなく、報道を受け取る国民の方にも問題があるのではと。

 「本土の人間は沖縄に痛みを押し付けている!」とする沖縄差別論がいろんな方面から言われていますが、私が思うに日本人が差別しているのは沖縄ではなく軍事に関わる全て。
 「9条があれば平和が保たれる」「戦争は起きてはならないし、軍隊は存在してはならない」とする考えが蔓延しているので、軍事に関わる現実を忌避しようとする。だから青い空・白い雲・美しい海の沖縄は知っていても、基地の存在からは目を背け、深く考えようとしない。
 杉浦さんは「国民の意思を踏みにじり」とお書きですが、ほとんどの国民は基地の意味も安全保障の重要性も理解せず、ただただ同情して「沖縄がかわいそうだから、なんとかしてあげて」としか思っていないのではないでしょうか。

 主権を持っているのは国民。決定権を持っているのは政府としても、その構成員を選ぶのは国民。感情論に流されず、論理的に考えることのできる番組・紙面作りがマスコミに望まれます。とかいうことを、せっせとマスコミに意見・要望しているのですがねぇ。

 以上、相変わらずのウザい長文で申し訳ありませんでした。
マツコデラックスさんも・・・ (瞳)
2010-07-19 22:31:54
選挙直前にマツコデラックスさん(この芸名は本当にすごいですね。)が、最後は選ぶ国民)に帰ってくる、と新聞で言われていましたが、その通りですね。

でも、知りたかった「抑止力」の話は、あそこまで行ったのに終わってしまいました。
誰も関心がないのかな?
”宇宙人”の思考回路は理解できない (yasu)
2010-07-22 18:32:57
「抑止力」なんて言葉を持ちだしたけど、つまるところ、自分の思うように交渉が進まない。
それどころか、辺野古で落ち着くようにという見えない圧力に屈してしまった。

 なら、正直にそう言って、期待にこたえられなくてごめんなさいと、総理を辞めれば、少しは同情もされただろうと思います。

 もちろん、言い方次第によっては、反米感情に火をつけることになりますから、対米関係がおかしくなることはさけたいので、
「抑止力」なんて言葉で、うまくごまかしたのだろうけど、それは、問題の先送りでしかなくて、また結局、民主党政権も
アメリカと官僚にはかなわないという事を証明することに他なりません。

以上の私の意見は私自身の意見でもありますが、それはお前だけの意見だろうと言う方は、
下記のシンポも併せてご覧いただければ幸いです。
【録画版】「嵐の中の⇒嵐の中だった小鳩政権!!~ニッポンは何を守ろうとしているのか!?」より
http://opinion.infoseek.co.jp/article/883

 ちなみに菅政権にアメリカと官僚の言いなりという側面があるということが、あの消費税発言でも良くわかった。
だから、あんな大敗をしたのでしょうと思います。

ご参考までに

最近、沖縄で中国の潜水艦が公海上を浮上して、新聞にものりました。
大騒ぎしたメディアもあったそうです。
「抑止力」という言葉はこうした事もあって思いついたのかと思っています。
なにせ「言葉が軽い」という、「宇宙人」ですから。
これまでも何度もわけのわからない、理解のできない事をやからして
北海道民として大変恥ずかしく思っていました。
(一応北海道選出なので)
最近も「引退を撤回!?」することも検討したいと発言して(なぜ突然なのかと地元の突き上げがあったのだそうです。)
いましたし。

そんな宇宙人に変なヒントを与えたかもしれない、中国の潜水艦の事件について
翻訳家の池田香代子さんがブログで紹介しています。
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51409702.html

ブログで取り上げた番組もユーチューブに流れてます。
http://www.youtube.com/watch?v=Flq4LpNN5iY
http://www.youtube.com/watch?v=HkDvBCLCEs0&feature=related
またも長文で申し訳ない (鉄甲機)
2010-07-25 22:57:00
>誰も関心がないのかな?

 大体が「抑止力」というのは目にはっきり見えるものではありません。おまけに自分が感じるものはなく、相手に感じてもらうもの。
 関心があっても考えるだけの知識もスキルも想像力もないのなら、感情的に叫ぶことはできても論理的に考え続けることはできません。
 まだ、国民に関心はあります。ただ、考える材料と考える方法がなければ、沖縄問題が国民の問題として議論され続けることはないでしょうね。
 
yasuさま
>中国の潜水艦の事件について

 田岡"元帥"俊次氏のご意見ご紹介、ありがとうございます。
 田岡さんの立ち位置は「親中反米」のレッテルを貼れるほど単純じゃないんでしょうけど、中国に関しては分析があまりにも甘いとの印象を持っている私です。(笑

 例えば4月10日の中国潜水艦沖縄沖公海浮上通過について。

 確かに国際法としては違法でもなんでもない当たり前の行為です。朝日までが(産経はわかるとしても(笑)「示威行動だ威嚇だ」と騒ぐのは軍事がわかっていない証拠だというのは、同意できるんですが、その後がひどい。
「2004年にね、石垣水道に迷い込んで、領海侵犯して通ったことあったじゃないですか。」
「今回ね、(略)日本の領海かすめちゃ大変だから、「一応浮いて旗を揚げて通れよ」ということかなぁと、私は見ますけどね。」
 なんでそこまで無条件に中国を信頼し、弁護できるのかなぁと。

 2004年の領海侵犯(田岡さんははっきり言っておられませんが、他国の領海を潜行して侵犯することは普通に敵対行為と見做され、撃沈しても違法じゃありません)について、同じく軍事評論家の小川和久氏は、こうお書きです。

>この(中国軍)高官は「あれは不可抗力の事故による領海侵犯です」と答えました。しかし、これは外交的な言い訳です。
>そこで、私は「日本を挑発しようという確信犯ではなかったのか?」と質しました。それに対する中国軍高官の答えは(略)軍の第一線が暴走したというニュアンスが込められていたのです。
(PHP「14歳からのリアル防衛論」P192・193)

 今回、中国海軍が沖縄沖を通過したというのは威嚇とは言えないまでも、示威行動には変わりはありません。じゃあ、何故この時期なのか。何を示そうとしているのか。

 中国軍はご承知の通り、文民統制によってコントロールされているものではありません。党実力者と軍実力者の力と力のせめぎあいで方針が決まります。
 沖縄から米海兵隊が全面撤退してしまうと、極東地域の軍事バランスが大きく崩れます。台湾は弾道ミサイル開発を再開しました。韓国はより一層軍拡に励むでしょうし、北朝鮮はますます強気に出るでしょう。そうなると中国政府の打つ手が非常に難しくなる。中国政府としては中国軍内部のはねっ返りを抑えておくために、当分の間米海兵隊には沖縄にいてもらいたいという意図があったんじゃないでしょうか。

 以上は、まったく私個人の見解です。(笑

 ついでに、愛川氏が「私たちに軍事的な知識がないことが罪だなんて思わないでほしい」と仰ってますが、ちょっと軍事に関心を持つだけで平和の敵だ軍国主義者だと攻撃的に責め立ててきたのは、あんたたち"平和"主義者の方々でしょうがと、少々怒りを込めて言いたいものですな。
 軍事的知識がないことは罪だと言う気は毛頭ありませんが、軍事的知識があることは罪だと言われる時代は続いているのです。
 知識がないから論理ではなく、感情に走る。今回の普天間問題が迷走したのは、歴代自民党政府の責任は大きいですが、論理的思考を放棄した"平和"主義者の方々の責任も大きいと思います。
この一冊を (鉄甲機)
2010-08-04 23:10:50
『普天間の謎 基地返還問題迷走15年の総て』(森本敏著 海竜社)

 名著です。タイトルだけ見ると一時期流行った「謎本」みたいですが。(笑

 1995年以降の日米討議の経緯・政治的な思惑・軍事的な要点、すべてきちんと押さえられています。これほど総合的な視点で詳細に、しかも分かりやすく普天間問題を解説したものは、今まで無かったのではないでしょうか。
 これを読めば普天間問題のすべてが理解できると言っても過言ではない。普天間問題を考える上で欠かすことの出来ない名著だと推薦いたします。

 森本氏はあとがきで「普天間基地とか沖縄米軍基地とか抑止力とかいう言葉がテレビを通じてお茶の間にはいり、あるいは飲み屋の話題になったのは、鳩山首相の功績だったというのはブラックジョークであってほしい。本当のところ国民が真剣に考えるべき問題であったのである。」とお書きです。
 メディアは国民に考える事実・材料を提供するのか、それとも利益優先で扇情的な報道を重ねるのか。そもそも与党野党は沖縄問題をどう考えているのか。これからも注意して見て行く必要がありますね。

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