杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・海渡雄一さん、日隅一雄さん出版記念会

2012-02-11 22:43:43 | 
2月8日、都内で海渡雄一さん「原発訴訟」、日隅一雄さん「検証 福島原発事故・記者会見」「『主催者』は誰か 原発事故から考える」の出版記念会が開かれました。
お二人は東京共同法律事務所の弁護士で、
海渡さんは弁護士になって30年原子力発電所の建設・運転をやめさせるために戦ってこられた原発訴訟の草分け的存在です。
今回3月11日に東日本大地震によって福島原発が正常な運転ができなくなり、大事故を起こしておびただしい放射性物質を放出し
福島に取り返しのつかない被害を与えました。
そして、現在も事故の収束を見ず、今なお大量の放射性物質を放出し続けているわけです。

「危険性があまりにも大きく、重大事故は人々の健康と環境に取り返しのつかない被害をもたらす可能性がある」として
その運転停止を求め戦ってきたことの懸念が、まさに実証されてしまったのです。
その危険性をあまりにも知らなさすぎた私を含む一般市民の愚かさを思わざるを得ません。
でも、政府は、この手に負えない状態を目の当たりにしながらも、停止中の原発の再稼働を決めたり、
海外へ原発輸出を考えたり。何がそうさせるのかが分からない思いです。
海渡さんが、これからも原発訴訟を続けなければならないというのは、あまりにもブラックユーモアです。
この「原発訴訟」(岩波新書)を読んで、もっとしっかり「やめよう」と説明できる
者を学ばなければならないと思いました。


そして、もう一人は日隅一雄弁護士です(写真)。
日隅さんは、2月5日の東京新聞朝刊の一面に写真入りで気になっていたのでご覧になった方もあると思います。
3.11語の東電の記者会見におびただしい数の参加をされて、大手マスメディアが質問しようとしない
不思議な情景の中で、ジャーナリストの木野龍逸さんと共にするどい質問をして気を吐かれた記録です。
そして、もうひとつが、東京新聞の見出しにもなった主権在官を打ち破ることを書かれたものです。

ご存じのように、日隅さんは現在末期癌で、この出版会見も非常に大きな意味を持ったものになりました。
記者会見に詰めている最中に病気がわかり、それでも会見への参加を続け、その経過と問題性を本にまとめられたわけです。
ご自分でも、病気になっていなければここまではしなかっただろう、といわれるように、まさに命がけで
この一大事を見つめ記録に残されたわけです。

会場にはあふれんばかりの参加者があつまり、皆口々に「日隅さんはすごい」といい、
「話を聞いていると、一体、おまえは何をしていたのか?」問われているような思いがする
などなど最大級の評価のことばがあちこちで聞こえていました。
本当に素晴らしい会でした。

 “これまでの日隅さんのセンスと、問題意識と、行動力は誰が代わってやっていけるんでしょうか”

追って出るという「『主権者』は誰か 原発事故から考える」
東京新聞の記事「主権在官を打ち破れ」
まさに日隅さんが言いたかったことだと思います。
私たちは、その熱い思いと行動力を受け継いでいかなければ、と思っています。

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1 コメント

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「脱原発派」から一言二言 (鉄甲機)
2012-02-12 20:31:39
>「危険性があまりにも大きく、重大事故は人々の健康と環境に取り返しのつかない被害をもたらす可能性がある」として
>その運転停止を求め戦ってきたことの懸念が、まさに実証されてしまったのです。

 その箸が転がっても運転停止を求める教条的姿勢が、結局原発関係者ならびに周辺住民を「安全神話」に走らせ、現在の惨状と相成ったんですが。

 これまで散々指摘されてきた原発ハード面ソフト面の問題点。それらが指摘されるたびに針小棒大拡大解釈我田引水捏造歪曲して、すべてを「運転停止要求」に収束させる。そんなやり口が原発関係者の耳や口を防ぎ、取られるべきだった問題点対策を遅らせたと私は思います。
 結局政府・電力会社は、きちんと反論してもまともな議論にならないと定型文を提出する。で、マスコミはそれを無批判に垂れ流すだけ。

>「話を聞いていると、一体、おまえは何をしていたのか?」

 そっくりそのままお返ししますわ。
 自分たちの「反原発」運動が実を結ばなかったのは主権在官のためだなどと中二思考を炸裂させている暇があるのなら、何故自分たちの主張が相手の耳に届かず、その結果原発事故拡大を招いたのかを反省していただきたい。
 周辺住民・日本国民の安全が第一のはず。即時全原発廃止などというスローガンを一旦置いとけば、その時取れる安全対策をきちんと取るよう要求することもできたはずですがね。
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