3月13日、犯罪の被害者や遺族が裁判に出席して被告人への直接質問などができる被害者参加制度を創設する法律(刑事訴訟法)の改正案を閣議決定しました。
今国会で成立すれば、裁判員制度より半年ほど早く2008年秋ごろにはスタートすることになります。
この法案によれば、
被害者らは法廷の柵の内側に座り、
・被告人や情状証人に質問したり
例えば
被害者「あなたはなぜ、私の子どもを殺そうと考えたのですか」
「凶器を向けたときに、うちの子どもなあなたに何か言いましたか」
と質問すること
・検事と同じように事実関係について意見を述べられる
例えば「動機もあり、目撃者もいるし、犯行に使ったと見られる凶器も発見されている。・・・このようなことが明らかになったので、被告人は殺意を持って殺したもと考えられる」と犯罪の有無についての意見をいう
これらのことができるのは、殺人・強姦、業務上過失致死傷など重大犯罪に限られる。
などが中心的な内容です。
自分が被害者または遺族になったときに、裁判でこのようなことをするということを想像してみてください。
どんな感じでしょうか?
もともと、この法律改正の動きは犯罪の被害者のかたたちの運動から生まれたものです。わりと理解し易い要求と、それを受けた制度に見えるかと思います。
ところが、同じ被害者または遺族の方たちの中でも、このような改正には問題があると考える方たちもいます。その理由は、下記にご紹介すようなものです。
ひとつの問題について、当事者でないものは、分かり易い結論に納得しがちですが、そうでない考え方についても考えてみる必要があります。
なぜなら、被害者その遺族は特別な存在ではなく、私たちが明日その立場になるかも知れない、そのような立場だからです。
~~~~~~~~~~~ 記 ~~~~~~~~~~~~~
<犯罪被害者:裁判への参加制度「2次被害の恐れ」 片山隼君の父ら、考える会結成>
犯罪被害者が刑事裁判の公判に出席して被告への直接質問などができる被害者参加制度に反対する遺族、学者らが「被害者と司法を考える会」を結成し、7日、制度の見直しを求める要望書を法務省に提出されました。
「法廷で被害者が被告から攻撃されて2次被害を受ける危険がある。すべての被害者が制度導入を求めているわけではない」と訴えています。
会を結成したのは、97年に交通事故で息子の隼(しゅん)君を亡くした片山徒有(ただあり)さん(50)らです。
被害者参加制度について
(1)被害者の負担が大きい上に、法廷で被告から逆に落ち度を追及される恐れがある
(2)裁判終了後に被告から報復される危険がある、などの点を指摘。
そして、
この制度の導入よりも前に、まず、公費で被害者に弁護士を付ける仕組みを確立することや、被害者への捜査情報の説明を徹底すべきだと主張しています。
会見した片山さんは「制度ができてしまうと変えるのは難しく、裁判員制度よりも前に、性急に導入すべきではない。法務省は改めて被害者団体からヒアリングを実施してほしい」と話されました。
同制度を巡っては、同じく犯罪の被害者のかたがつくられている会である全国犯罪被害者の会(あすの会)などが創設を強く要望している一方で、日本弁護士連合会は「裁判が報復感情に支配されかねない」などと反対しています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私も、犯罪の被害者のかたたちの支援などにかかわる機会が多いのですが、被害者の方には、まずはそのサポート(法律的なことも含めて)が経済面を気にすることなく受けられることが必要です。
ですが、この法案は、そのような経済的な負担をともなく救済はせずに、「裁判の中で言いたいことを言いなさい」というお金のかからない制度の変更だけですまそうとしているように見えます。
それは、少年犯罪に対する厳罰化とか、いじめに対する加害者の出席停止とか、いろんな場面でお金をかけずに、市民の目をごまかすやり方の一環のように見えます。
そしてこのような対処は、すべて、人と人との間を(ヒステリックなやり方で)一見解決したように見せかけ、実際には社会をギスギスさせ、長い目で見たときには状況を悪化させることになるのではないかと感じます。
今国会で成立すれば、裁判員制度より半年ほど早く2008年秋ごろにはスタートすることになります。
この法案によれば、
被害者らは法廷の柵の内側に座り、
・被告人や情状証人に質問したり
例えば
被害者「あなたはなぜ、私の子どもを殺そうと考えたのですか」
「凶器を向けたときに、うちの子どもなあなたに何か言いましたか」
と質問すること
・検事と同じように事実関係について意見を述べられる
例えば「動機もあり、目撃者もいるし、犯行に使ったと見られる凶器も発見されている。・・・このようなことが明らかになったので、被告人は殺意を持って殺したもと考えられる」と犯罪の有無についての意見をいう
これらのことができるのは、殺人・強姦、業務上過失致死傷など重大犯罪に限られる。
などが中心的な内容です。
自分が被害者または遺族になったときに、裁判でこのようなことをするということを想像してみてください。
どんな感じでしょうか?
もともと、この法律改正の動きは犯罪の被害者のかたたちの運動から生まれたものです。わりと理解し易い要求と、それを受けた制度に見えるかと思います。
ところが、同じ被害者または遺族の方たちの中でも、このような改正には問題があると考える方たちもいます。その理由は、下記にご紹介すようなものです。
ひとつの問題について、当事者でないものは、分かり易い結論に納得しがちですが、そうでない考え方についても考えてみる必要があります。
なぜなら、被害者その遺族は特別な存在ではなく、私たちが明日その立場になるかも知れない、そのような立場だからです。
~~~~~~~~~~~ 記 ~~~~~~~~~~~~~
<犯罪被害者:裁判への参加制度「2次被害の恐れ」 片山隼君の父ら、考える会結成>
犯罪被害者が刑事裁判の公判に出席して被告への直接質問などができる被害者参加制度に反対する遺族、学者らが「被害者と司法を考える会」を結成し、7日、制度の見直しを求める要望書を法務省に提出されました。
「法廷で被害者が被告から攻撃されて2次被害を受ける危険がある。すべての被害者が制度導入を求めているわけではない」と訴えています。
会を結成したのは、97年に交通事故で息子の隼(しゅん)君を亡くした片山徒有(ただあり)さん(50)らです。
被害者参加制度について
(1)被害者の負担が大きい上に、法廷で被告から逆に落ち度を追及される恐れがある
(2)裁判終了後に被告から報復される危険がある、などの点を指摘。
そして、
この制度の導入よりも前に、まず、公費で被害者に弁護士を付ける仕組みを確立することや、被害者への捜査情報の説明を徹底すべきだと主張しています。
会見した片山さんは「制度ができてしまうと変えるのは難しく、裁判員制度よりも前に、性急に導入すべきではない。法務省は改めて被害者団体からヒアリングを実施してほしい」と話されました。
同制度を巡っては、同じく犯罪の被害者のかたがつくられている会である全国犯罪被害者の会(あすの会)などが創設を強く要望している一方で、日本弁護士連合会は「裁判が報復感情に支配されかねない」などと反対しています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私も、犯罪の被害者のかたたちの支援などにかかわる機会が多いのですが、被害者の方には、まずはそのサポート(法律的なことも含めて)が経済面を気にすることなく受けられることが必要です。
ですが、この法案は、そのような経済的な負担をともなく救済はせずに、「裁判の中で言いたいことを言いなさい」というお金のかからない制度の変更だけですまそうとしているように見えます。
それは、少年犯罪に対する厳罰化とか、いじめに対する加害者の出席停止とか、いろんな場面でお金をかけずに、市民の目をごまかすやり方の一環のように見えます。
そしてこのような対処は、すべて、人と人との間を(ヒステリックなやり方で)一見解決したように見せかけ、実際には社会をギスギスさせ、長い目で見たときには状況を悪化させることになるのではないかと感じます。