え~誠にこの世の中には、想像を超える様な事が起こるものでして、ハイ。
仲良くさせていただいている「あるお客様」が
「あ~ちょいとお店の番頭さんや、そうそうあんただよ、晩酌にこれを飲みたいんだが
開けてもらえるかい?」
「ヘイヘイ、おやすい御用で。旦那さん。」
ってな調子で番頭さん、ワインのエチケットを見ると、、、、?
ロ、ロ、ロマネェ~コンティ~~?しかも、、1958って書いてある、、、
...................。
1958年だぁ~?
ちょっと、待って下さいよっと。本物じゃぁあ~りませんか。
ビンテージが58の50年ものですよ、これをあたしにどうせいとおっしゃるのですかい、旦那さん。
その頃あたしゃまだ生まれてねぇんですぜ。
ちょっと持つ手が震えます、オリが舞い上がらないだろうか。
家宝のシャトーラギオールのソムリエナイフで太刀打ちできるのか?
わ~~ん、あせりぃ~、やっぱぁ~~出来ないしぃ。 等と甘えは許されそうにない状況。
すぐさま知り合いのソムリエ社長にTELする。克明に今置かれている抜き差しならない状況を伝え
さながら実況放送の様になりながら、事にあたる。
まずは、深紅のトップのアルミ部分をめくると、んん?真っ黒でボトルの口が見えない。
ナイフで削り、濡れタオルで拭き取り、ようやく口のお目見えです、、もうすでにクタクタ。
「いいか。そもそもその手のビンテージになると、貴方のナイフでは無理かもしれないが
出来なくない訳でもないと思う」ってどっちなのぉ~。
そぉ~っと差し込んでいくと、、や、や、やわらかい。コルクがやわらかい。
もうこの時点でいやぁーな予感。
「テコを使わずにゆっくり、ゆぅ~~っくり垂直にひきあげろ」
っと、社長も小声。
徐々にコルクの頭が見えてきて、『勝ったな』と思った瞬間、お れ た。
「どうしたー、だいじょうぶかーー、生きてるかー!」TELも き れ た。 ツーツーツー。
そうなんです、コルク折ってしまったんです。
しかも、残りの5ミリ位は、琥珀色の中へ、、、。茶こしで漉す?と優しいお言葉。
静かにデキャンターに移し、50年の眠りから覚めるにはちょいと騒々しくはありましたが
宴のはじまり、始まり。
寿命が3年は縮まりましたね、そして、なんとナント、頑張ったご褒美に私にも1杯。
色を眺め、香りを楽しみ、口の中で転がせて全体で味わい、
んん~ん、いったい今までの何と比べればいいのだい?