ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

キングと息子とキングの女

2015-11-17 00:15:37 | 日記
私が密かに“キング”と呼ぶ90代の好色じいちゃんが
久しぶりにニュースを提供してくれた。
(彼については昨年10月6日付けのブログ『キング』を参照のこと)

おとといのことである。
キングの息子が深刻な顔で事務所にやってきた。

対応したマネージャーによれば
キングは部屋に現金3000万円を所有していたが
85歳の愛人がそのうち2000万円を騙し取った。
それを知った60代の息子が怒り
「女が来たらすぐに連絡してほしい」と
頼んできたのだという。

ひょ~、こりゃ修羅場となるか!?

ニュースに乏しい昨今にいささか退屈していた私は
真顔で話を聞きながらも浮き立つ気持ちを抑えられない。

そして夕べ
来た、来た、来た!
包囲網を張り巡らせた夕食時の我が高齢者住宅に
85歳の愛人、妖しげにご登場である。

キョロキョロと辺りをうかがいながら
女はささっと合鍵を使い、キングの部屋に入っていく。
第一発見者である私は
ピッチでマネージャーに通報。
「来ました。例の愛人の方が来ました!」
それを受けたマネージャーがすかさず息子に連絡すると
近所に住む息子が巨体を揺さぶりながらやってきた。

おお、来たぞぉ。キングと愛人とキングの息子、役者は揃ったあ!!!

ドンドンドン!と激しくドアを叩く息子。
「おやじ、開けろ! おい、開けろって言ってんのが聞こえないのか!?」

キングと愛人は、施錠しただけではなく
U字ロックキーまで掛けて部屋に立てこもったらしい。

あまりのうるささに
食事中の利用者もぞろぞろと食堂から出てきて
こりゃ放っておけないと、マネージャーが事態収束に乗り出す。

「○○さん、とにかくドアを開けてください」
「息子さんと話し合いをしてください」

ようやくU字ロックが外され、息子は中に入った。

それから小一時間。
息子への連絡以外は「不介入」としながらも
野次馬根性でコトの成り行きを見守っていた私たち事務所に
息子が申し訳なさそうにやってきた。

愛人にお金を盗っただろう?と問い詰めても
盗っていないの一点張り。
これ以上押し問答をしても仕方がないので
「とにかく夜は絶対にオヤジを訪ねてくるな」を捨て台詞に
二人を残して部屋を出たのだという。

はあ? 2000万円強奪騒ぎが
「夜は来るな!」のひとことで終着したのか?
なんだそりゃ・・・

90代の男が住む高齢者住宅に80代の女が通ってくること。
部屋に3000万円もの現金が置いてあること。
2000万円が盗まれたかもしれないこと。

どれもが私からしたらスゴイことなのだが
二人の関係については「夜は訪ねてこないこと」で解決し
お金については「ま、オヤジの金なんで仕方がないです。へへへ」で片付いた。

ということは、別にたいした話ではなかったのか?
う~ん、よくわらん。

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