意味不明な名前がついている当ブログですが、ブログ名にちなんで?今回はトンボについて書きたいと思います。
DTPを職業にしている方でもIllustratorでの「正しいトンボのつけ方」を知っている方は意外に少数派のようです。私がある印刷会社の出力業務を請け負っていた頃、Illustratorでの入稿で正しいトンボがついたものは全体の2、3割程度しかありませんでした。
「オブジェクト→トンボ→作成じゃなくて、フィルタ→クリエイト→トリムマークで作るんだろ、そのぐらい知ってるよ!」と思った方、それだけではないですから注意してください。8割近くの方が間違えていたという点はそこではなく、トンボを作成するもとのオブジェクトの線幅の状態なのです。
正しいトンボの例
間違いの例
上が正しいトンボがついた例、下はありがちな間違いの例です。トンボを選択ツールで選択するとこの寸法になっています。幅(W)と高さ(H)に注目してください。正しい例よりも約0.353mm大きくなってしまっています。なぜこうなってしまうのか?
それはトンボを作成する際にもとのオブジェクトに線幅が設定されてしまっているからです。Illustratorはもとのオブジェクトで実際に描画で使用される領域の端を基準にトンボを作成します。ですからこの間違いの例では線幅の1ポイント分だけ大きくなっているというわけです。
実際の現場では問題になることは少ないし、問題になる場合でも製版側で対応してしまうことが多いです。私も制作側にフィードバックしたことはないです。(ただでさえ文句が多いと思われているのに、ここまで細かく言うと仕事が来なくなってしまう^^;)
ただ、例えば名刺の刷り込みの仕事などではこの1ポイントのズレでも致命的な事故になる可能性はあります。やはりこうした基本的な部分には気を使ってほしいと思います。
トンボの位置もできれば正しくアートボードの中央になっているのが望ましいです。フィルム出力時代の名残なのか、アートボードが実際の制作サイズより1サイズ大きく取ってあってトンボの位置をきちんと取っていない方が多いです。これからPDFワークフローが普及していくにつれ、アートボード=実際の制作サイズにしておかないといけなくなることも多くなると考えられますから、トンボの位置は正しくアートボードの中央にするように習慣づけした方がいいかと思います。
Illustratorで1ポイント分大きいトンボの寸法の端数は「753」となります。私の狭い経験内での話ですが、この753ファイルは出力の際は要注意でした。入稿データに不備がある確率は753ファイルの方が圧倒的に多いのです。後工程に優しい、完全データの出発点はまず正しいトンボのつけ方から、なのかもしれません。