Le Tombeau de Aga1ychnis Callidryas

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〔基礎〕EPSファイルとは?(その1)

2007年12月19日 | DTP Reference
 DTPが誕生して20年以上が経ち、現在DTPの世界の業界標準になっているひとつのファイル・フォーマットがあります。(ここでいうDTPの世界とは日本国内、プロ向けに限定しています)しかしその使われ方は現在(H19)においては、もはや技術的根拠が理由というよりは、ただそれまでの経験と慣習に盲目的に使用されているといった感があります。

 DTPのプロであれば、ここまで説明すればそれはEPSファイルのことを言いいたいのだなとわかってもらえるでしょう。日本においてEPSファイルは、例えば外注先にフィルム出力やCTP出力を依頼する際にもっとも無難なファイル形式です。かつてDTPの世界ではプラットフォームでMacintoshが独占的になっていたことがありました(もちろん現在でも主流はMacです)が、現在のEPS中心の運用の蔓延ぶりはそれを髣髴させるように私には思えます。

 EPS中心の運用が蔓延している背景には、DTPの黎明期に大活躍したPageMaker、QuarkXPressといったソフトが使われなくなり、それらのソフトが使われていた場面に高機能化したIllustratorが進出していったことが大きいと思います。QuarkXPressに取って代わったInDesignもその影響でなかなか普及していないように感じます。またIllustratorの8は出力での信頼度がその前後のバージョンより高かったことと、MacOS9での安心感もあってその後の設備更新の必要性を感じさせなくしてしまい、結果として業界全体のボトルネックとなってしまっています。
 そしてIllustratorの8においてもっとも取り扱いに便利なフォーマットがEPSなのです。

 業界全体のボトルネックになっているというのも大きな問題ではありますが、私が「蔓延」という印象の悪い言葉を使うのはもうひとつ理由があります。
 私が問題だと思う理由のひとつは、Illustratorで多くの作業をこなしているうちに、いつの間にかEPSがIllustratorのネイティブ・ファイルのように錯覚している人が多くなってしまっていることなのです。(このことがどういう弊害を生むのかについては後の回で述べます)
 この状況はDTPのプロでもIllustratorでしか出力データを作れない人が増えていることとも大きく関係していると思っています。

 さて、DTPを職業としている人で、EPSとはどういうファイル・フォーマットなのか、大体でもいいので「仕事上で重要な要点を掴んでいる」人はどれだけいるのでしょう?

  「PostScriptをベースとしてベクトルデータとビットマップデータの両方を含むことができるフォーマット」このあたりまではWikipediaあたりにも記述があるし、説明できる人も多いでしょう。しかしこの説明だけではまだ「仕事上で重要な要点を掴んでいる」とは言えません。この説明の中にあるPostScriptという言葉が持つ意味がわかっていることが、DTPの作業において重要です。CTPやフィルム・印画紙の出力機でPostScriptの技術を使わないものは実質的に存在しません。PostScriptという言葉が持つ意味を掴むことこそDTPのプロへの第一歩と言っても過言ではないでしょう。
次回に続く)


1 コメント

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Unknown (盗塁失敗)
2007-12-19 21:23:46
はっ はやくつづきを…
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