江分利満氏の優雅な生活

山口瞳に関する覚え書き
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中野朗『変奇館の主人 山口瞳 評伝・書誌』

2005-01-27 | 山口瞳
 中野朗『変奇館の主人 山口瞳 評伝・書誌』(響文社)を通読。全553頁の大作。なかでも300頁を越す書誌は圧巻だ。

 書誌を見ているうちに、「男性自身シリーズ」単行本未収録作品集と銘打った『最後から二冊目の巻』『これで最後の巻』にも漏れたものがあることに気付いた。

「ホテル」(『週刊新潮』1977年6月16日号)
「管理野球是非」(同7月7日号)
「どこまで」(同8月4日号)
「野球の話」(同8月11日号)
「偉大なる王」(同9月15日号)
「がんばれ悪太郎」(同1978年6月22日号)
「わからない」(同1982年1月28日号)
「暗い日曜日」(同1982年10月28日号)

 河出書房新社に問い合わせたところ、すでにその誤りに気付いていて、今後刊行する単行本未収録エッセイ集の中に収める予定だという。『これで最後の巻』というから、もう新しい本は出ないのかと思っていたので、予想外の話に嬉しく思った。

 ※2006年2月刊行の山口瞳単行本未収録作品集『衣食足りて』(河出書房)に、「ホテル」「管理野球是非」「どこまで」「野球の話」「偉大なる王」「わからない」が収められました。しかし、「がんばれ悪太郎」「暗い日曜日」はまだ単行本未収録のままです。(2006,2,22追記)

 中野氏の本を見ていると、かなり多くの単行本未収録作品があることがわかる。気になるものを挙げておこう。

「むし虫いたします!」『婦人画報』1961年7月号
「泣いている」『週刊女性』1963年10月30日号
「極付国定忠治」『漫画読本』1963年10月号
(文・山口瞳、絵・柳原良平)
「江分利満氏の一日社員」(『オール読物』1964年1月号~12月号)
連載小説「俺は十九歳」(『カトレア』)
報知新聞連載「日曜歳時記」

などなど。1995年8月に山口瞳が亡くなって、もう新しい作品を読むことが出来ないと慨嘆していたが、まだまだ未読作品があるではないか、と嬉しくなった。今後、これらの作品が刊行されることを河出書房新社に期待している。中野氏監修で行えば、より完璧に近いものができるだろう。

 河出書房新社には、できれば、『山口瞳全集』の刊行をめざしてほしいと思う。

 数年前までは、本屋から山口瞳の本がほとんどない状態であったので、昨今の山口瞳ブームは嬉しい限りだ。

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