花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

名古屋帯について

2007-12-07 | 帯の種類

presented by hanamura


花邑ブログ、花邑の帯あそびにようこそ。
花邑の帯あそびでは帯を通じてさまざまな素敵な出会いがあるように、
そのお手伝いが少しでもできれば…と思っています。
ご質問やご感想などよろこんで受け付けていきます。
どうぞよろしくお願いします。

さて、1回目は名古屋帯についてお話します。

今日、一般外出用の帯として広く用いられている名古屋帯。
その歴史は以外と浅く、大正3年(1914年)に名古屋で
杉戸重次郎、杉江ぎんを中心に考案されたのがはじまりです。

それまで帯と言えば、腹合わせ帯が中心でした。
腹合わせ帯とは表裏同寸の帯地を2枚用いて仕立てられた帯のことです。
名古屋帯が画期的だったのは、表裏同寸で仕立てなかったことです。
お太鼓からたれの部分だけが引き返しのある表裏仕立てで、
前から手先は裏を付けず、表地を半巾帯のように
2つ折りにして仕立てられています。



上の写真は名古屋帯を真上から撮影したものです。 
前の巾がお太鼓からたれ下までの巾に比べ半分になっていますね。
(前の巾を広く仕立てる巾変えの技法もあります。)

こうすることにより、それまで活用されていた腹合わせ帯より、
帯地の総丈がぐんと少なくても仕立てられるようになりました。
(腹合わせ帯の総丈が2丈1尺=795cm必要なのに対し、
名古屋帯の総丈1丈2尺5寸=474cmと8尺4寸=321cmもの違いがあります。)
また、前が2つ折りにされて仕立てあがっているので、
帯を結ぶ手間が減りました。

そういった名古屋帯のもつ利点が、
関東大震災や戦中、戦後の布不足や激動の時代の中、
人々のニーズに答え急速に普及していきました。
現在では1番ひろく用いられている名古屋帯は、
当時の人々の切実な思いにより考えだされ、活用された帯だったのです。

● 次回は名古屋帯の創案者のひとり、杉江ぎんのお話しです。

写真は和更紗の名古屋帯です。
こちらは帯のアトリエ「花邑hanamura」にて販売しています。花邑のホームページへ