ナラの木 岐阜県美濃地方版 武藤修さん訳 2012.3.29
どえれえ強え風が吹いたんやて
昼まも晩も吹いとって
ナラの木の葉っぱをぜんぶ飛ばいてまって
枝をびゅんびゅん揺らいて
木の皮をはがいてまって
ナラの木はまっぱだかになってまったんやけど
そんでもぢべたにしっかりと立っとったんやて
ほかの木はみーんな倒れてまったのにやよ
くたびれてまった風は
まああかんと思って言ったんやて
「ナラの木、なんでまんだ立っとれるの?」
ナラの木は言いんさったんやと
「あんたはわっちの枝を折ってまうことも
葉っぱぜーんぶを吹き飛ばいてまうことも
枝を揺すぶることも
わっちをゆさゆさ揺すぶることもできんさる
ほんでもわっちにはぢべたに広がる
根っこがあるんやて
これはなあ わっちが生まれたときから
ちょびっとずつ強おなってったもんなんやて
おまはんはこの根っこにはぜってえにさわれえへん
わかるやら
根っこは
わっちのいっちばん深えとこなんやて
ほんとをいうと 今の今まで
わっちにもよおわかっとらんかったんやて
わっちがどんだけ
えらてかなわんことをがまんできるか
ほんでも、今、おかげさんでよおわかったんや
わっちが自分で知っとったよりも
わっちはまっとまっと強おなっとったんやて
どえれえ強え風が吹いたんやて
昼まも晩も吹いとって
ナラの木の葉っぱをぜんぶ飛ばいてまって
枝をびゅんびゅん揺らいて
木の皮をはがいてまって
ナラの木はまっぱだかになってまったんやけど
そんでもぢべたにしっかりと立っとったんやて
ほかの木はみーんな倒れてまったのにやよ
くたびれてまった風は
まああかんと思って言ったんやて
「ナラの木、なんでまんだ立っとれるの?」
ナラの木は言いんさったんやと
「あんたはわっちの枝を折ってまうことも
葉っぱぜーんぶを吹き飛ばいてまうことも
枝を揺すぶることも
わっちをゆさゆさ揺すぶることもできんさる
ほんでもわっちにはぢべたに広がる
根っこがあるんやて
これはなあ わっちが生まれたときから
ちょびっとずつ強おなってったもんなんやて
おまはんはこの根っこにはぜってえにさわれえへん
わかるやら
根っこは
わっちのいっちばん深えとこなんやて
ほんとをいうと 今の今まで
わっちにもよおわかっとらんかったんやて
わっちがどんだけ
えらてかなわんことをがまんできるか
ほんでも、今、おかげさんでよおわかったんや
わっちが自分で知っとったよりも
わっちはまっとまっと強おなっとったんやて