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VOICE / 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト Feat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス

2011-04-17 23:58:13 | Music
JAZZ

日本を代表するジャズ・ピアニスト、上原ひろみのニュー・アルバムがリリースされた。
上原ひろみといえば、今年 2月のグラミー賞で、『スタンリー・クラーク・バンド feat. 上原ひろみ』名義のアルバムが最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞を受賞したことで話題となった。
昨年はスタンリー・クラーク・トリオ、また自らのツアー等で世界を駆け巡り、なんと167本!のライブを行った。
また、東京スカパラダイスオーケストラへのゲスト参加もしたりしていた。
まさに超多忙な毎日を過ごしていたことになる。
こんな異常とも言えるスケジュールの合間を縫って製作されたのこのアルバム『VOICE』だ。

メンバーにはアンソニー・ジャクソン (b)とサイモン・フィリップス (ds)が参加しており、トリオ編成のアルバムとなっている。
アンソニー・ジャクソンはスーパー・セッション・ベーシストで、彼女のファースト、セカンドアルバムに参加していた。
一方、サイモン・フィリップスはジェフ・ポーカロが亡くなった後のロックバンド TOTO のドラマーとして活躍している。

上原ひろみは今までトニー・グレイ(b)、マーティン・ヴァリホラ(ds)とのトリオを中心に活動してきた。
新たに始めた新生トリオ・プロジェクトは、果たしてどんなサウンドになるのだろうか?

しかし、聴いてみて感じたのはこのトリオ、最強だということだ。
そして上原ひろみは更に進化を遂げている。
今まで彼女のアルバムを数多く聴いてきたが、このアルバム、その中でも一番のお気に入りとなりそうだ。
正直に言うとトニー、マーティンとのトリオにはチック・コリアのエレクトリック・バンド的な雰囲気を感じていた。
素晴らしいアルバムであることに間違いはないが、なんとなくチック・コリアっぽいなぁなんて思った。
しかし、新生トリオのサウンドは全くオリジナルな上原ひろみサウンドだ。
リリカルでドラマティック、時にブルージー、そして情熱的。
テクニックに裏打ちされた変則的なリズムの多用。
耳の肥えたジャズ愛好家を感動させられる素晴らしい作品となっている。

このトリオで非常に驚いたのはサイモン・フィリップスのプレイだ。
ロック好きならこの人の名前に聞き覚えがある人も多いだろう。
先に述べたように現在のTOTOのドラマーであり、かつてはマイケル・シェンカー・グループやホワイト・スネイク、ジューダス・プリースト等でも活躍したプレイヤーだ。
一流のセッション・プレイヤーなので、ジャズも器用にこなすんだろうなぁ、でもどうなんだろう?なんて思っていた。
ところが非常にキレがあり、違和感が無いどころか気持ちいい裏リズムを刻んでいた。
ツイン・バスがなぜかしっくりとマッチしていて、メチャ、カッコいい。
調べてみたら、実はサイモン・フィリップスは元々ジャズのバックグラウンドを持つ人だった。

アンソニー・ジャクソンは 6弦のエレクトリック・ベースであるコントラバス・ギターを使う。
自分がフュージョンにのめり込んでいた30年近い前には、第一線で活躍していたプレイヤーだ。
派手なプレイはあまりしないが、玄人好みの渋いベースを奏でる人だ。

こんな二人のスーパープレイヤーに難しかった、大変だったと言わしめる上原ひろみも凄い。
二人のスーパープレイヤー及び自分自身にも実力以上を求め、自らがそれを引っ張っていっている。
まるで自身のプレイにより二人を煽り、更に高い所へ導いているような感じすらする。

本作は間違いなく、上原ひろみの中の代表作となるアルバムになるだろう。
上原ひろみをまだ聴いたことが無い人には最初の一枚として本作をオススメしたい。
もちろんジャズ好きな人には本年最高の一枚としてもオススメできる。
今後もこのトリオでの作品発表を期待したい。


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