十二年ほど前に父に誘われて、嫁と三人で中国北東部の長春に行った。
旧満州国の首都。
父にとっては、生まれ故郷であり、
7歳で終戦を迎えるまで育った地である。
その後、お互いに対立する国民党と共産党の弾丸が行き交う下をかいくぐって
そして家族とともに逃げ捨てた地でもあった。
半世紀ぶりに訪れる故郷。
生まれ育ったところをもう一度見て見たい。
また、私たちに自分の祖国、幻の祖国を見せたかったのかもしれない。
演出の山田洋二監督も満州生まれだ。
新橋演舞場「さらば八月の大地」
昭和19年-20年の満州国:新京(いまの長春)の映画撮影所の物語。
山田監督が作る、祖国の物語だ。
父にみせたかった。