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UD.orgとWCgirdの違い?

2005-04-12 13:18:33 | WCGニュース
(2005.4.12)
WCGのフォーラムに「UDとWCGで同じプロテオームホールディングのプロジェクトをやることは稼働の重複ではないか」という投稿があり、
回答は「プロジェクトを企画した研究所からはそれぞれにWU(ワークユニット)を分けて依頼し、出た結果を束ねている」とちゃんと考えてやっているとの回答が。
WUの処理には検算と保険の仕組みがあり、あえて全く同じWUを複数の人に送信しています。
一人だけだとその人が返信しないかもしれないし、演算ミスで異常値を返すかもしれないのでリスクを分散しているわけです。
2つのコミュニティで同時にやればそのぶん解析自体は早く進めるので、確かに内容は同じだけども無駄ではない、ということですね。

(2004.11)
老舗のUDと、今月生まれたWCG、
似たような趣旨&仕組みですので、やっている目的と手段は今は同じと言えます。
今は両者ともプロテオームプロジェクト、
アミノ酸タンパク質の結合の仕方(折り畳み具合:folding)を変えながらどんな結合が分子的に安定するかみたいなことをやっています(たぶん)。
従来の解析では、目的のタンパク質に結合しやすい分子をあてがうものでした(Ligand Fit)。

最初に紹介したIBM開始にあたっての発表によれば、WCGは医療貢献だけでなく、地球環境問題にも取り組むとあります。そこが今後の解析内容の違いになるのではないかと思われます。
過去の解析は年単位で行われているので、今のプロテオームもすぐには変更にはならないとは思いますが。

例えて比較するなら、
UD社はUD.EXEという解析アプリを提供する会社です。このエンジンは汎用なので医学以外でもいろいろ演算できます。
UD社は自前エンジンで化学解析するプロジェクトを開始。自社でエンジンを作って自動車も作ったわけです。
今回のWCGの運営組織は、UD社からエンジンだけ供与してもらい、サーバ環境とかはIBMが用意。他社のエンジンで自動車を作ったようなもの。
今は両者同じ乗用車ですが、WCGは今後はそのエンジンでトラックとか船もやろうとしている、という感じでしょうか。

WCGのOBBSでは
「同じプロテオームやってるなら、UDとWCGとか分けないで統合すればいいのに」との投稿がありましたが、折角の高性能演算機構を医学以外にも使う道がWCGにありますので、その意味でUDとは別組織を立ち上げた意義があるのでしょう。
しかし世界中のどれだけの人が協力するか判らないし、TV雑誌で宣伝もしないで協力をアテにするとは計画見通しが立たない不安なプロジェクトに思えますが、
実際には何万人もすぐ集まるわけで、そこが人類が人類らしくあるように見えて嬉しかったりします。