デイリー句会入賞発表

選者 高橋正子
水煙発行所

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2008-09-14 09:34:28 | ご案内
●デイリー句会の入賞発表は、<9月1日(月)~9月13日(土)>の句をもって終了させていただきます。各種ネット句会の入賞発表は、オンライン月例句会のみとなります。

デイリー句会投句箱
デイリー句会その10年の歴史
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入賞発表/9月1日(月)~9月13日(土)

2008-09-14 09:33:35 | 入賞発表
■9月1日(月)~9月13日(土)
□高橋正子選

【最優秀】
★秋潮へ舳先を定め朝の船/藤田洋子
この句の良さは、「舳先を定め」にあり、観察の確かさが伺えます。(高橋正子)

【特選/5句】
★雲の峰ところどころの空っぽ田/大給圭江子
「雲の峰」と「空っぽ田」との取り合わせには、意表をついたところがあるが、無理のない絵がある。私の好きな句だ。(高橋信之)

★水澄むや森の緑の朗らかに/河野啓一
「水澄む」があって、緑の「朗らかに」が生きた言葉となった。生きいきとした詩がある。(高橋信之)

★ざっくりと包んでくれし新しょうが/前川音次
新しょうがは、新涼の季節に収穫できる。「ざっくりと」は、この季節にふさわしい感覚だ。 (高橋正子)

★新涼のあたらしき坂あたらしき朝/尾 弦
夏ならば、「涼し」である。秋になるとまた再びあらたな涼しさが訪れる。坂を上るにも、この朝も、さわやかにあたらしい。(高橋正子)

★信濃路は四方に山の爽かなり/大山正子
信濃路の四方は山。どの山も、その高さも、その色も、爽か。(高橋正子)
※もとの句の「莢」は、豌豆などの「さや」です。

【入選/12句】
★ねこじゃらし振っては児童駆けてくる/祝 恵子
どこにでも見かける学童の風景だが、読み手の心に入って楽しい句だ。子どもが元気であれば、未来が明るい。(高橋信之)

★吹かれ来し木の葉を沈め水澄みぬ/竹内小代美
★純白の花より生(あ)れし赤林檎/奥田 稔
★菜を洗う新涼の水やわらかき/吉川豊子
★秋の野へ声下ろしたる渡し舟/小口泰與
★葛の花子ら通う道に匂い立つ/飯島治朗
★稲光夜の窓枠真っ白に/多田有花
★さわやかに髪カットして旅支度/黒谷光子
★潮の香を纏いて登校休暇明け/池田多津子
★秋めくや野辺の仏の影長し/國武光雄
★朝礼の空いっぱいに赤とんぼ/小西 宏
★コスモスの風の中より車椅子/宮本和美
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入賞発表/7月20日(日)~7月31日(木)

2008-08-01 00:08:45 | 入賞発表
■7月20日(日)~7月31日(木)
□高橋正子選

【最優秀】
★初蝉の朝一瞬を鳴き出せり/藤田裕子
蝉が鳴き出すのも、ある朝の一瞬のことである。その一瞬よりはじまる、蝉の鳴く夏。「一瞬」の切り込みがいい。(高橋正子)

【特選/5句】
★大寺の階白し炎暑来る/藤田荘二
大寺へ続く階段が、白く灼けている。そこにまさに炎暑を見た。大寺の構えが炎暑を際立たせている。(高橋正子)

★種零し零し向日葵刈り取らる/宮本和美
向日葵の咲き終わりは、数え切れないほどの種ができる。刈り取ると、その種がぼろぼろと零れるが、それにかまってはおれないほど。充実であり、終わりの姿である。(高橋正子)

★前篭も後ろも夏菊あふれさせ/黒谷光子
前籠にも後ろの荷台にも夏菊をあふれるほど乗せている。清々しい夏菊があふれる景色に、一度に涼が訪れる。(高橋正子)

★あかあかと大暑の夕陽海に落つ/柳原美知子
一日を燃やした大暑の太陽は沈む時が来て、名残を惜しむかのように、あかあかと静かに燃えて海に落ちる。大暑のなかの美しい光景だ。(高橋正子)

★田が暮れて彼方にともる灯の涼し/多田有花(正子添削)
原句は、「田も」となっていたが、添削した。俳句は「今」を切り取り、「今」をここに止めるもの。田がくろぐろと暮れると、彼方にともる灯が涼しく感じられる。「田が」とすることで、イメージがはっきりする。(高橋正子)

【入選Ⅰ/15句】
★黍の穂の揃い青空遠くなり/渋谷洋介
黍の穂が揃い、収穫にはまだ間があるにしても、重い実に頭を垂れる頃となったのでしょう。激しい夏の光に充ちた青空も、少しずつ遠く、深く広がるようになった気がします。(小西宏)

★潮騒に傾き咲ける浜万年青/池田多津子
潮騒を間近に聞く浜辺いっぱいに、浜木綿が並び咲いていることでしょう。茎と葉とのバランスの関係でしょうか、あるいは風のせいでしょうか、いくぶん傾き加減に咲くもののあることを、広やかな心で捉えておられます。(小西宏)

★かき氷崩す向うにひかる海/志賀泰次
あるいは海水浴の合間に、葦簀に囲われた椅子に座ってかき氷を食べているのかもしれません。少しずつ崩れていく氷に集中する目に、大きく光る海が映り込んできます。(小西宏)

★蓮咲く真上の空の遠きこと/竹内小代美
背高の蓮の群れに花が開き、葉から顔を覗かせるようにして咲く花のすぐ上には、遠く青い空がどこまでも続いています。清らかな花の色と、青い空の広がりとに、心が安らぎます。(小西宏)

★夕焼けて富士黒々と立ちあがる/尾 弦
夕焼けを背にしてなだらかな冨士の影がくっきりと映し出される。「黒々と立ちあがる」とはなんと雄雄しく、また清らかな表現でしょうか。(小西宏)

★一穴とおのれ残して蝉果てる/古田敬二
成虫として地上に生まれ、数日の生活を終え果てた蝉。蝉の一生の無常観は漂うものの、この世に生きた証しをしっかりと残し、一夏を生きた蝉の、大きな存在感を感じます。(藤田洋子)

★篝火の闇に紛れし鵜の哀れ/河野啓一
鵜船に灯す篝火の情緒豊かな鵜飼ですが、やや哀れさを誘う鵜の光景でもあります。闇に紛れる鵜の姿が、いっそう感傷的な風光として感じられます。(藤田洋子)

★蝉しぐれふと立ち止まる木陰かな/吉川豊子
沛然と驟雨が至ったように蝉声の降り注ぐ大きな木なのでしょう。蝉しぐれと木陰の出会いが、夏の強い日差しの中にもふと感じられる、嬉しい涼やかさです。(藤田洋子)

★羅臼湖の青光らせていととんぼ/丸山美知子
北海道、知床の美しく豊かに育まれた自然を思います。湖面の青も爽やかに、繊細ないととんぼが軽やかで眩しいかぎりです。(藤田洋子)

★飛び来ては風に留まる初とんぼ/桑本栄太郎
初々しいとんぼの姿に、吹く風も清々しく涼しげに感じます。目に映る初めてのとんぼに、明るい季節の喜びがあふれます。(藤田洋子)

★青田へと水路きらきら急き清し/甲斐ひさこ
夏の日のもとを勢いよく流れる水は、澱んだ川の水とは違う生きている水です。水も自分の役割を知っている、そんな実感が伝わってきます。(藤田荘二)

★打水の済みて家々灯の点る/大山正子
とても懐かしいほっとする光景です。昼から夕、外から内、付合いから団欒、打水という行為の意味まで考えさせられました。「灯の点る」が時間の穏やかな変化を言い表していると思いました。(藤田荘二)

★黒潮を望む岬や朝の凪/篠木 睦
夏の朝の風の止む瞬間、しかし沖からは黒潮の浪が押し寄せる。黒潮の流れに突き出た岬から太平洋に臨む大きな景色が目にうかびます。(藤田荘二)

★日焼の子集う空き地の紙芝居/國武光雄
肉声で語られる紙芝居はテレビやゲームとは違う独特の魅力を持っています。木陰で始まる紙芝居を楽しみに子どもたちが集まってきました。期待にわくわくしている子どもたちの姿が目に浮かぶようです。(多田有花)

★朝日差す木より蝉声溢れ出す/藤田洋子
朝日がじりじりと照りつける。すると蝉がと木から溢れるようにわんわんと鳴く。瀬戸内では、朝から照りつける太陽と蝉声に、熱闘野球ほどの暑さを知らされる。(高橋正子)

【入選Ⅱ/17句】
★青萱の道弓なりに曲がりけり/大西博
夏の暑さの中でも青萱の緑の葉が風にそよぎ涼しげで、その道はずっと続いて弓なりに曲がっている。スケールの大きい光景が目に浮かびました。 (井上治代)

★布袋草朝戸をくれば槽に花/祝恵子
清々しいけれど、しかし一日しか咲かない花を朝見つけた喜び、朝と布袋草が響きあってさわやかさを感じました。(藤田荘二)

★夕暮れの空に映えたる合歓の花/大給圭江子
合歓の花は昼の青い空だけでなく、夏の夕暮れの暑さ一入の風の無い空にも映えること、あらためて認識しました。花の色も夕暮れの空と響きあっているようです。(藤田荘二)

★音だけの花火ふたりの夕餉かな/小西 宏
遠くの空には色とりどりの花火が上がっているけれど、ふたりだけの夕餉にはその花火の音だけが聞こえてきて、静かで幸せな夜が更けていきます。 (井上治代)

★降りたちて初蝉仰ぐ妙法寺/川名ますみ
初蝉の鳴き声にひかれて寺に入り上を仰ぐと、今が自分の我が世とばかりに蝉が鳴いている。作者には、自分の命を精一杯生きている蝉の姿が愛おしく思えたのではないでしょうか。また、妙法寺という固有名詞がこの句にぴったり合っていると思いました。 (井上治代)

★水打ちてそこここ人の暮らしあり/前川音次
暑い夏を少しでも涼しく過ごそうと打ち水をします。あの家でもこの家でも、簾をしたり、風鈴をつるしたり、冷奴を食べたりして涼をとるための工夫をして生きています。人情味のある句だと思いました。 (井上治代)

★清流やおとりの鮎の泳がされ/奥田 稔
さらさらと流れている清らかな川に鮎が泳いでいる。鮎はおとりのために泳がされているとは知らず無心である。無心であることの美しさが心に響いてきました。 (井上治代)

★一山の雨をあやぶみ百合咲けり/小口泰與
やっと花開いたうつくしい百合の花に、山の雨の気配が迫ります。「あやぶみ」に、雨を受ける百合の花を気の毒に思う作者の気持ちを感じます。(臼井愛代)

★黄カンナの茜に燃えて暮れなずむ/堀佐夜子
暮れそうで暮れない夕暮れの、カンナの燃えるような茜色は、暑かった夏の一日を、さらに鮮やかに印象付けるかのようです。(臼井愛代)

★星空へ花火の煙溶けて行く/高橋秀之
花火の煙が星空に溶けていくという余韻のある情景が、花火の後に感じる一抹のさびしさを思い起こさせ、共感させられます。(臼井愛代)

★くみおきて水に木の香や冷奴/小河原宏子
汲み置かれた場所の木の香りの移った水から上げられた冷奴が、夏の食卓に涼味を添えてさわやかです。(臼井愛代)

★西空は水色朝の月涼し/井上治代
まだ月が残る夏の早朝の空の色を水色と詠まれ、その色のイメージからも、静かでひんやりとした空気が伝わってきます。(臼井愛代)

★ひんやりと日陰の風吹く長廊下/飯島治朗
学校の校舎でしょうか。意外に風通しがよく涼しいのです。夏休みで子どもたちの姿はなく、ひっそりとした校舎の中を風が抜けていきます。窓の外では蝉の声がさかんです。(多田有花)

★雨上がりひときわ高し蝉の声/上島祥子
夕立がいってしまったあと、さっそく蝉が鳴き始めました。一雨受けて涼しくなった大気に再び夏の活気が戻ります。蝉にとっては一刻もおしい夏の一日なのかもしれません。(多田有花)

★潮風に吹かれて望む夏岬/小川和子
岬の夏です。涼しげです。水平線が見え、寄せてくる波が見え、沖にたちあがる入道雲も見えます。景色の広がりが句から伝わってきます。(多田有花)

★炎天というも風の通る道/岩本康子
炎天に出る。暑さは極まっているが、風が吹き過ぎてゆく。炎暑のなかの風の心地よさは、暑に耐える人間に救いである。(高橋正子)

★外出日いま炎天下の人である/矢野文彦
外出日と決めた日程を、暑いからといって崩すわけにはいかない。炎天へ潔く出て、今は炎天下の人となった。「である」で止めた言い方に、強さがある。(高橋正子)
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入賞発表/7月13日(日)~7月19日(土)

2008-07-20 00:20:09 | 入賞発表
■7月13日(日)~7月19日(土)
□高橋正子選

【最優秀】
★宵山の祇園ぎおんへ阪急線/桑本栄太郎
祇園祭は、一度は訪ねてみたい日本の代表的な祭りである。宵山には、本祭りの山鉾もすっかり建てられて駒形提灯に灯が入れられ、コンチキチンの祇園囃子に浮き立つ。阪急線に乗り込んで来る人は、大勢の浴衣姿もあって、みんな祇園へと流れていく。「阪急線」をためらわず使って新鮮。「宵山の祇園ぎおんへ」に工夫があって、艶が出た。(高橋正子)

【特選/5句】
★彫り深き雲来て風鈴鳴らしたり/藤田荘二(信之添削)
「彫り深き」が作者の主情であって、「雲来て」に続き、「風鈴鳴らしたり」となれば、さらに作者の主情が明らかとなる。「雲」と「風鈴」とのイメージが鮮明なので、写生を超えての、作者の思いを読み取ることが出来る。新鮮な句だ。(高橋信之)

★梅雨雲を拓きつつ入る甲斐盆地/川名ますみ
甲斐盆地は高い山の連なる中の盆地である。低く垂れ込める梅雨の雲を、それこそ「拓きつつ」青嶺に囲まれた盆地へと入って行く。リアルな実景を見せてもらった。(高橋正子)

★朝顔の今朝の一番青開く/篠木 睦
朝顔の開くのが、毎朝の楽しみである。今日一番に開いたのは、すずしい青。朝のすずしさが実感できる。(高橋正子)

★河出合い青葦の水響きあう/大西 博
二つの河、具体的には、一級河川の重信川と道後の山奥から流れてくる石手川の出合いを詠んだもの。川の出合うところに、葦が青々と育ち、快いすずしい水音がする。「響きあう」でこの句が活きた。(高橋正子)

★風蘭を吊るすや風のきたりけり/小河原宏子
細く白い糸様の花が可憐な風蘭。軒先や木の下枝に吊るすと、その風情に涼が生まれる。また、涼風が吹いてくる。朝顔もそうだが、夏の暑さを涼しく感じさせてくれる日本のいい生活文化。(高橋正子)

【入選Ⅰ/15句】
★朝露を零しゴーヤの初生りを/古田敬二
朝露が置いた初生りのゴーヤ。「零し」に朝露の「みずみずしさ」、「すずしさ」が読める。自分で育てたものならいっそうのこと、すずやかな思いだろう。(高橋正子)

★水切りの音の涼しき今朝の供花/黒谷光子
お供えの花の水切りをしてすがすがしい朝を迎えます。毎日のおつとめご苦労さまです。水の音、鋏の音が涼しそうです。(池田多津子)

★空映る水を離るる蜻蛉かな/竹内小代美
やごを育んだ水底、空を映す水面、透く羽を風にのせ飛び立つ蜻蛉。全てが澄明な小景に、天地の恵み、命や季節の動きが見えます。(川名ますみ)

★かなぶんの緑一閃遠く去る/網本紘子
かなぶんの動きがシンプルに詠まれて清清しいと思いました。(竹内小代美)

★大皿に男の手料理夏野菜/吉川豊子
大皿に夏野菜が新鮮に大胆に盛られている。女性とは違う食材をそのまま生かした男性の料理が見事に詠まれていると思いました。(竹内小代美)

★山路きて靄の晴れ間の清しけり/大給圭江子
山は早発ちが原則です。朝靄が広がる中を出発し、しばらく歩いていくと靄が晴れて下界の風景が広がってきました。思わず深呼吸して、その景色を堪能すべく、しばし立ち止まります。清新な山歩きの喜びを詠われた句です。(多田有花)

★軒風鈴ちゃりんと降ろし日を仕舞う/甲斐ひさこ
盛夏の一日、涼風をとらえて軽やかな音を届けてくれた風鈴。一日の終りに感謝の思いを込めて軒からはずし、屋内にとりこみます。今日一日の日のしめくくり、丁寧に日々を送られているさまが伝わってきます。(多田有花)

★余白無き青き葉の間にはちすかな/小口泰與
池の面に葉を広げている蓮、水面が見えないほどそれらの葉がぴったりと寄り添って広がっている間にぽつぽつと顔を出している蓮の花たち、それらの様子がよくわかります。(多田有花)

★朝霧の顔にぶつかる奥津峡/宮本和美
奥津峡は岡山県、吉井川の上流の奥津川が花崗岩の峡谷を浸食してできた、変化に富んだ渓谷です。夏は新緑とカジカで名高く、ここの甌穴は、「東洋一の甌穴」として有名です。深い霧に包まれた奥津峡を訪れられたときの感動が「ぶつかる」で見事に表現されています。(多田有花)

★分去れの北国街道落とし文/大山正子
中山道追分宿のすぐ近くにある北国街道との分岐点が「追分の分去れ(おいわけのわかされ)」です。長旅の途中で親しくなった旅人同士が、別の行く先を前に別れを惜しみ、ともに袂を分けて旅を続けたといわれるのがその名の由来です。秘密の手紙を道端に落とし、他人に渡した「落とし文」に由来する名を持つオトシブミ、この二つの名前がよく響きあって句の世界を広げています。(多田有花)

★パン焼く匂い工房前は涼しかり/志賀泰次
パン工房前にこぼれてくるパンの香ばしい匂いは、一瞬、暑さを忘れさせるほどの強い印象で、通る人を惹き付けます。(臼井愛代)

★夏の夕水色となる残り空/小西 宏
暗くなる前のひととき、やわらかな水色の空を見せてくれる夏の夕暮れの優しさを思います。(臼井愛代)

★月涼しデモの漁師の住む村に/柳原美知子
昼間は、デモという抗議行動に参加した漁師さんたちの村も、夜には涼しげな月に照らされて安らかです。漁師さんたちの生活の安寧を願う作者の気持ちが伝わってきます。(臼井愛代)

★校庭に光残して夏休みへ/池田多津子
夏休みとなり、子供たちの居ない校庭には、夏の光だけが満ちて静かです。夏休みを過ごす子供たちの充実と安全を祈る気持ちが伝わってきます。(臼井愛代)

★ビルに添い峰雲白く湧き出づる/藤田裕子
ビルに添うように白い峰雲が湧いて、街を大きな夏の景色にしています。街の中で見上げる空にも確かな夏があることに気づかれた作者の感動があります。(臼井愛代)

【入選Ⅱ/15句】
★水拭きす床さっぱりと素足に添い/小川和子
水拭きしたばかりの床を歩く素足の感触、すがすがしさが伝わります。(黒谷光子)

★味噌だれのさらにおいしく夏野菜/丸山美知子
味噌ドレッシングやもろみなどを、生の野菜につけて頂くのはとてもおいしいですね。私も大好きです。(小河原宏子)

★夏の朝少女の号令流れくる/多田有花
なにか運動部の合宿でしょうか。リーダーの少女の凛とした号令が響き渡り、溌
剌とした夏の朝の情景が伝わってきます。(小西宏)

★ここ浄土今蓮の花の咲く処/飯島治朗
池に咲き競う蓮の花。その清らかさは、まるで極楽浄土を思わせるほどなので
しょう。(小西宏)

★夏の雨小鳥の鳴き声響く夜/高橋秀之
静かな夜の夏の雨。まだねぐらに帰らずにいるのでしょうか、小鳥の鳴き声がこ
とさらに深く響きます。閉じ込められた家内の静けさが際立って感じられます。
(小西宏)

★発掘の一番杭や梅雨あがる/前川音次
古代遺跡の発掘工事でしょうか。そうした作業の始まりに梅雨が止んだのだとい
います。時の流れをも感じさせる、みずみずしい響きです。(小西宏)

★朝茜の夏は真澄みの空深し/大西 博
朝焼けの、まだ涼しさが残る夏の清澄さが隅々にまで広がり、心が吸い込まれる
ようです。(小西宏)

★乾きたる空の青さよ梅雨明ける/河野啓一
梅雨独特の気配から一転夏の季節に、ごく短期間にうつるこの変化への感動が、そのまま伝わってくるようです。「よ」が空の青に響いている感じがします。(藤田荘二)

★竹の香の樋を跳ねゆく冷そうめん/國武光雄
流しそうめんの醍醐味は、豊富な冷たい水と青い竹の輝きと香です。「跳ねゆく」にそんな水の躍動と竹の新鮮さを感じました。(藤田荘二)

★夕暮れて蓮の花びら葉に散らす/祝 恵子
昼間に咲き誇っていた蓮の花が四日たったのでしょう、夕方には葉に散る。蓮の花の色と夕陽の色が重なって鮮やかな印象です。(藤田荘二)

★おとり屋の幟はためく鮎の川/奥田 稔
川沿いに友釣りの鮎を売る幟、鮎釣りをしなくても川にとっぷりと浸かっていたい季節。懐かしいこどもの頃の思いもともなってきます。「はためく」に夏の川風を感じました。(藤田荘二)

★夾竹桃赤白紅の真昼時/堀佐夜子
夾竹桃が咲くと真夏を感じる。夏の真昼時の暑さにも負けず、強く咲く花である。赤白紅の色がはっきりと目に映るが、はっきりと咲きながら、どこかにさみしさがある。(高橋正子)

★星涼し夫の歩幅の大きかり/臼井愛代
星の涼しい夜、夫と歩く。一緒に歩きながらも、ついつい遅れがちになる私。夫の「歩幅の大きかり」を実感する。ちょっと立ち止まってくれる夫との星の涼しい夜の幸せ。(高橋正子)

★夕暮れの風吹き抜けて青田波/井上治代
夕暮れの青田を風が吹きぬけると、青田がまるで海のように柔らかに波打つ。大洲平野を懐かしく思い出した。(高橋正子)

★揚羽蝶もつれもつれて青空へ/渋谷洋介
この句は、紋白蝶ではなく、揚羽蝶が詠まれている。大きな揚羽がもつれながら青空へと舞い上がる様子は、夏の小さな一景ながら、目に印象的で、涼しさをくれる。(高橋正子)
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入賞発表/7月6日(日)~7月12日(土)

2008-07-13 01:45:21 | 入賞発表
■7月6日(日)~7月12日(土)
□高橋正子選

【最優秀】
★緑陰や風がとんぼう連れてくる/丸山美知子(正子添削)
涼しい木陰に憩っておれば、とんぼかスイッと飛んできた。涼しい風がとんぼを連れてきてくれたのだ。透明感のある涼しげな句。(高橋正子)

【特選/5句】
★庭の紫蘇摘み来て妻の冷奴/古田敬二
庭に紫蘇など薬味になるものがあれば、便利。摘んだばかりの紫蘇の葉は、一層涼感がある。「妻の冷奴」であるから、慎ましい、いい家庭生活が覗える。(高橋正子)

★わたすげや梢ひそかに揺れており/小口泰與
高原に揺れる一面のわたすげ。木々の梢の、揺れるともなきひそやかな揺れ。ひそやかな高原の風のある風景が夢見るようだ。(高橋正子)

★背丈こすグラジオラスを切り束ね/祝恵子(正子添削)
グラジオラスは、筒状の花を花序正しく咲かせ、油絵にもしばしば描かれる。意外にも丈夫な茎で丈が高い。華やかながら、逞しい。出荷のためだろうか、切り束ねられる。グラジオラスの現実の一面。(高橋正子)

★青空の色鮮やかに夏木立/高橋秀之
青空の色を、ことさらに「色鮮やか」と言われれば、そうだと頷く。真青な空と緑深い夏木立。この二つで、夏がさっぱりとなるのだ。(高橋正子)

★どこよりも青き梅雨晴れ骨納む/藤田荘二
「どこよりも青き」に作者の思いがある。親しい人の骨を納める日、その人に、どこよりも素晴らしい空であってほしい。どこよりも青い空であってほしいとの思い。(高橋正子)

【入選Ⅰ/15句】
★白シャツのぱりっと干さる学生寮/池田多津子
梅雨の晴れ間に干された白いシャツ。学生寮の窓か洗濯物干し場か。若い学生たちの生活の一こまが見えて清清しい。学生寮時代を思い出します。(古田敬二)

★朝顔の今日に一花の青ひらく/小川和子
早朝に花を咲かせる朝顔のさわやかさ、青い朝顔は一層涼しげに、気持ちを和らげてくれます。(大山正子)

★かき氷食ぶ日焼けせし少年ら/多田有花
夏休みに海山で遊び回って日焼けをしたランニングシャツ姿の子供たちが駄菓子屋にたむろしてかき氷をむさぼり食べている景が目に浮かぶようです。(國武光雄)

★莢豌豆朝餉の汁の香ぐわしく/大給圭江子
採りたての香りゆたかに莢豌豆が朝餉の汁の具となった。爽やか夏の朝の始まりを感じます。句の飾りのない素直さが心地よく響きます、好きな句です。(志賀泰次)

★校庭に映画を見し夜天の川/宮本和美
そうですね!今の若い人には信じられないかも知れませんが、夏休みになると学校の体育館、あるいは校庭に白幕を立てて映画を見ました。校庭では風が吹くと画面が揺れ、鞍馬天狗の顔がゆがんで困りました。幕の合間にアイスキャンデー売りの鐘が鳴らされ、10円玉を握って走りました。遠くて懐かしい田舎の夏の風物をご紹介頂き、有難うございます。(桑本栄太郎)

★烏賊釣りの灯し煌めき船帰る/河野啓一
夜の暗闇の海に眩しく光る烏賊釣の灯。大漁だったのであろうかわからないが、ともかく無事に船が帰って来る。夏盛んな烏賊釣り漁の景の一コマを見た思いです。(飯島治朗)

★夏の夜児の百までの数風呂に/飯島治朗
夏は特に、子供は湯船に浸かりたがらないようです。それをなんとか宥めて百まで数をかぞえさせる。ほほえましい家族風呂の風景です。(小西 宏)

★夕立やさしかけらるる傘の音/吉川豊子
にわかに起こる夕立の雨にも、さしかけられる傘の優しさにふれて、どこか嬉しい、夏の夕立の明るい情感を感じさせてくれます。 (藤田洋子)

★塩もみの胡瓜一本の朝餉かな/篠木 睦
塩もみの胡瓜が、鮮やかに朝の食卓を彩ってくれます。一本なれば、ことさら清々しく涼やかな夏の朝餉を感じます。 (藤田洋子)

★朝採れの野菜の籠に露草も/竹内小代美
朝採れの野菜のみずみずしさに加えて、露草の清涼感。籠の中に、季節の朝の嬉しさがあふれているようです。(藤田洋子)

★西日差す稲のみどりの隙間なき/桑本栄太郎
田植えあと、著しい稲の伸びに、一面に緑の繁茂する田。強い西日の中で、「隙間なきみどり」が、逞しい稲の生長を見る喜びです。(藤田洋子)

★石垣に朱(あけ)登らすや凌霄花/小河原宏子
石垣と凌霄花の朱色の鮮やかな対比も美しく、石垣をも咲き登る姿に、盛夏の花らしい力強さを感じます。(藤田洋子)

★すらすらと風入る麻のワンピース/川名ますみ
爽やかな風を存分に迎え入れる麻のワンピースの着心地のよさを思います。暑い日だからこそ実感できるうれしい感覚ですね。(臼井愛代)

★射干(ひおうぎ)の赤に風ある切なき日/矢野文彦
作者の胸に宿った切なさが、風に揺れる射干の赤い色と重なって、印象深く、読者に伝わってきます。(臼井愛代)

★瀬戸の海磯の香どっと梅雨明ける/藤田裕子
濃く匂いたつ潮の香に、作者が梅雨明けの日を強く実感された様子を思います。(臼井愛代)

【入選Ⅱ/15句】
★明かり消し昔語りの星祭/國武光雄
明かり消しに星をみる、昔語りを楽しむ行為が集約され、共感しました。(奥田 稔)

★それぞれに向きを違えてトマト咲く/上島祥子
我関せずといった風に咲くトマトの花を思い、その奔放さと逞しさに顔が緩んでしまいます。(小西 宏)

★戦争のなき国ダリア四千本/奥田 稔
ダリア園へゆかれたときの嘱目と思います。この六十年戦争のない国に感謝し、併せてさらなる平和を願っておられる作者のお気持ちがよくわかります。(河野啓一)

★毬栗の生れて小鳥の声頻り/渋谷洋介
小さくももう、青栗の毬が生まれているのですね。頻りに鳴きあう小鳥たちの声が、清新な夏を盛り立てています。(小西 宏)

★草むしる墓に明るさ午前四時/志賀泰次
朝早く墓の草むしりをする。網走は夏の四時ともなれば、ずいぶん明るさを増しているのでしょう。すっきりと刈られたご先祖さまのお墓にも明るさが広がります
(小西 宏)

★初咲きの梔子一輪大きかり/黒谷光子
濃い緑に、透き通るような白を広げて、おおきな梔子の花が一輪咲き初めました。「初咲きの」に清らかさが強調されて感じられます。(小西 宏)

★おおらかな夏日に明けし花木槿/大西 博
素朴な美しさの木槿の花を映し出しながら、ゆったりとのぼる夏の朝日の広がりが印象的です。(小西 宏)

★信貴連山隠し夏霧横走る/網本紘子
信貴山は奈良県と大阪府の境に位置し、奈良県側の中腹に朝護孫子寺があります。信貴山縁起絵巻でも知られ、こうした長い歴史の背景が、夏霧の流れる景色を荘厳なものに感じさせます。地名の持つ力ですね。(多田有花)

★茜差す空へよしきり啼き立てて/甲斐ひさこ
ヨシキリは夏鳥として日本に飛来し、葦原に巣をかけます。早朝、葦原の近くでヨシキリがギョギョシ、ギョギョシと鳴き続けます。明けていく空とヨシキリのさえずり、それを楽しんでおられる作者がいます。(多田有花)

★アパートの床踏み鳴らす梅雨の子よ/小西 宏
梅雨の長雨で外へ出られないのは子どもにとって残念なこと。思いきり走り回りたいというエネルギーの現れが「床踏み鳴らす」になっています。梅雨明けを待つ心境をうまく詠んでいらっしゃいます。(多田有花)

★目の前に青柿すとんと地に落つる/大山正子
道路に張り出していた柿の枝から、何の拍子かころりと柿が落ちてきました。思いがけず目の前に転がった青い柿を手にとってみられたのでしょうか。生活のなかの軽いハプニングを詠っておられます。 (多田有花)

★蒸し暑き午後の昼寝に雨を待つ/友田 修
蒸し暑い午後には一雨欲しいと思います。ほんのわずかな間の夕立でも地表を冷やし、心地よいものです。空が少しその気配を漂わせているのでしょうか。(多田有花)

★野菜採る朝の畑の露涼し/井上治代
まだ露を残した早朝の畑の、ひんやりとした空気が伝わってくるようです。その日の食卓に上るいろいろな野菜を収穫するよろこびがあります。(臼井愛代)

★北の空南の空に雲の峰/尾 弦
北にも南にも雄大な雲が湧いている空が詠まれ、その情景に、作者が夏を実感されている様子が伝わってきます。(臼井愛代)

★初蝉の声落ち泉澄みゆけり/柳原美知子
初蝉の声が泉のある静かな水辺に降ってきて、泉の水も、辺りの空気も澄ませていくようです。(臼井愛代)
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