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第15回信州岩波講座2013大江健三郎氏「特別講演」

2013年10月28日 | 信州岩波講座
大江健三郎氏 万感の90分! 
次世代の人びとが生きていくために、いま私たちがすべきこと、
それは、「人間らしく生きること」である

10月26日、信州岩波講座15回記念特別講演が開催されました。講師はノーベル文学賞受賞者の大江健三郎さん。
会場のメセナホールには開演の2時間前から50人ほどの列が出来、開場を30分早めて受け入れをしました。
 大江さんは、約1000人の聴講者向かって「本の力」と題して熱っぽく、終始ユーモアたっぷりに話をされました。
 スタートは井上ひさしさんとのエピソートに触れ、
 「講演は与えられた時間よりも5分短く話すものだよ。最初の10分間に面白いことを話すこと。真面目に書いたものを反すのでは面白くないので仕掛けがが必要だ。自分がこういう原則に立って書いているということが必要。難しいことを優しく、優しいことを深く話す」ことを教えられ、ある時、井上さんの講演に出席を求められ、井上さんの後に話をした思い出を語った。
 また、3年前に出版した『水死』を井上さんに贈ったら、入院先のベッドで読まれ感想を2行書いてくださったことで、一つは、息子の圧倒的な存在、もう一つは、真に人間的なこと以外には和解しないということだった。
 大江さんの自分の現在を決定する事件が2つあり、一つは10歳で迎えた終戦で今までの「戦死するために育っている」とする考えから「民主主義、学びたい人には教育を受けるために国や地方公共団体が支援する」ことを学んだことで、国民学校6年で働くという時代から、中学校、そして大学にまでという道が開けた。
 もう一つは、昭和26年の岩波新書で近隣の書店で最後に残った1冊が『フランスルネサンス断章』(渡辺一夫著)だった。それを買った。そして、どうしてもその先生に教えていただきたくて大学に入った。その本には、人間は機械の一部になってはならない、人間は自由であり、人間らしさを中心に考えるべき。と書いてあった。
 本の力が私の生き方を作ってくれた。自分が9条の会に参加しているのは、次の世代が生きることを支えることであり、保って行こうではないかということで、人間らしく生きる、人間らしいモラルを持って生きる事、本質的・根本的モラルを守ろうということ。これが一番大切だ。
 ドイツでは倫理委員会が原発廃止を打ち出し,原発なしで電力をフランスに売っている。
人間を忠実に、人間らしく生きるか、を最初に出会った本に問いかけられた。大江さんは、講演の後サイン会が行われ約1時間大勢に笑顔でサインに応じられていました。