たすくの空中散歩

千葉県我孫子「石臼と麦」店主、相澤たすくの農作業や工作や
日々の一喜一憂を記録していきます。

2か月振りの脱穀~麦栽培の過去と未来

2020年08月15日 17時23分25秒 | 一喜一憂

6月頭に梅雨入りギリギリセーフで収穫した小麦ですが、その後あきれるくらい毎日雨が降り続け、一向に乾燥されないまま、2か月経ってようやく梅雨明け、「ゆきちから」と「ナンブコムギ」の脱穀ができました。その間仮ハウスにおだがけしっぱなしです。


↑陰干しではどんなに干してもパリパリにはならないことがわかりました。
穂だけ切って干しなおしです。


その後網の上で手作業で脱穀…。し、しんどい…。
(陽のあたるハウスでおだがけしていた「ゆきちから」の方は、そのまま脱穀機で脱穀できました。)

脱穀は、穂がしっかり乾燥してパリパリになっていないと、うまくいかないのです。
ちょうど「しけた煎餅」を思い浮かべていただくとイメージしやすいかと思います。
普通だと「バリバリ」って歯切れよく食べれるせんべいも、しけてしまうと、別もの?!ってくらい固くなって歯が立たなくなりますよね。
同じように、麦の穂もしけた状態だと、「ねばり」みたいのが出てしまって脱穀もその後の調整作業も全部効率が悪くなって、収量も落ちてしまうのです。

なので、脱穀には少なくとも2日間は連続でカラっと晴れてくれないと、なかなかきびしいのですが、それがなかったわけです…。
で、やってみてわかったのですが、2か月も干せない(=水分12%以下にできない)でいると、陽の当たるハウスでおだがけしていても虫(蛾)は湧きました。ひとたび虫食いができると、これまた選別作業の労力が何倍にもなってしまうのです…トホホ。

乾燥機なしにはなんとも「どうしようもない」状況です。
かといって市販の乾燥機のような、大型で高額で現役の農家さんたちが「次壊れたらもう更新できない」って言ってるようなものを導入するつもりはまるでありません。

なんとか昔ながらの方法で、どうにかならないものか…。

問題は乾燥のことだけでなく、昨今の異常気象のいろいろを踏まえて、来年以降の小麦栽培をどうするのか、大丈夫なのか?ということです。
うちはたまたまギリギリ収穫セーフでしたが、農家さんによっては、麦がカビてしまい、出荷できなかったという話も耳にしました。
振り返ってみて、あの年は最悪だったなーで済めばよいのですが、「観測史上初」を乱発してくるこのご時世。もし、来年の収穫が全損だった場合「想定外」では済まされません。

麦の収穫と梅雨が重なる日本で、乾燥機もビニールハウスもなかったころの、昔の農家さんたちはどうしてきたんだろう?

そうして探していると、「農業全書」なるものにたどり着きました。


江戸時代の初期(元禄十年=1688年)に書かれたものなのだそうですが、にも関わらず、江戸後期、どころか、明治時代にまで版を重ね、読み継がれてきた農業指南書の大ベストセラーなのだそうです。(岩波文庫版は、初版が昭和11年で、私のは昭和52年発行の第七刷でした。)

早速、読んでみると…う、う~ん、読めない…。

今は使わない漢字や言い回しだらけで、同じ日本語なのに、何が書いてあるかよくわからないのです。まいりました…。
これは腰を落ち着けて、古文書の読み方の勉強からはじめて解読していかねばならなそうです。

ただ、おおまかにはわかるので、麦の項目について読んでみると…。

どうやら、昔は「麦」というと「大麦」のことで、「小麦」はそれに次ぐポジションだったようなのです(そもそも大麦の「大」は、メインのとかの意味だそう)。
んで、調べてみると、それは世界的にもそうだったようで、今となっては信じられませんが、ヨーロッパでも、もともと主食のポジションには大麦がいて、それを補うような形での小麦だったようです。
粉にしなくてはうまく食べられない小麦、粒のままで食べられる大麦。
察するに小麦の普及と地位の向上には、人類の製粉技術の改良・発達が共にあったのではないかと思われます。

これを知って、自分の中ではとても腑に落ちるところがありました。
一つに、大麦は、「種まき→収穫」のサイクルが小麦より半月以上早いのです。
だから、日本においても、迫りくる梅雨におびえるほどの思いはしなくなるのではないかと思われます。

そして、大麦の方が小麦より野生に近いというか、雑草っぽいというか、とにかく生命力が強く、育ちやすいのです。

というわけで、なんとなくですが、今後は少しずつですが、大麦の食事への取り込み方、活用方法も研究していこうかなーと思っている次第です。
さて、どうなることやら。

つづく…?



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