おっさんノングラータ

魚は頭から腐るらしいよ。( 'ω`)

写楽 閉じた国の幻(★★★★)

2010年08月18日 | 読書2009-
後書きで著者自身が書いているけど、いろいろ投げっ放しなのが残念だけれど、非常に満足した一冊。写楽の正体って、そういうことかもしれない。

この本をくれた人は、「島田荘司は女によっぽどひどい目に遭わされたのかね」と言っていたけど、ううむ、女ってあんなものじゃないの? もっとひどい例を知っているし(笑)。

それよりも、「閉じた国」は島田荘司作品の共通テーマだと実感した。確かに、恨みや妬みが日本人のベースになっているんだなあと、何かあるごとに痛感させられる。続編が出れば、前述した広げっぱなしの風呂敷を畳んでくれるとともに、日本人の嫌なところをさらに抉り出してくれることだろう。

ミレニアム2 火と戯れる女

2010年01月30日 | 読書2009-
       :____:
     :/_ノ  ー、\:
   :/( ●) (●)。\:   イケメンでヤリチン主人公(笑)
  :/:::::: r(__人__) 、::::\:  どんだけ守備範囲広いんだw
  :|    { l/⌒ヽ    |:  読んでるほうが恥ずかしくなるおw
  :\   /   /   /:


       :____:
     :/_ノ  ー、\:
   :/( ●) (●)。\:   スーパーハッカー(笑)
  :/:::::: r(__人__) 、::::\:  レズビアンw
  :|    { l/⌒ヽ    |:  スウェーデンは開放的すぐるw
  :\   /   /   /:



    /::::::─三三─\             
  /:::::::: ( ○)三(○)\          GRU?
  |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |  _____ リアルボクサー登場?
   \:::::::::   |r┬-|  ,/ .| |        『キル・ビル2』!?
   ノ::::::::   `ー'´  \ | |        



                     _____  
           r⌒ヽ、   .  / ー  ー\
          / \  \. / ( ●) ( ●)  
         _/ / ヽ   /     (__人__) \  
        〈__/  . |  |       ` ⌒´   | 敷島シネポップ行ってくる*
             /  .\     i⌒\   / 
            ./   / ⌒ヽ, _.ヽ  .\/
        .__   r  /     |/ー、\   \ 
       ."ヽ |  i,        ノ   .\^   i
         .| ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
         .i /  //  ./   
         .ヽ、_./ ./  /    
             ./ /      
           .ノ.^/   ダッ
           |_/  
*大阪では映画『ミレニアム』は今日から公開です。

最初は何だかなあ、という出だしでしたが、下巻からハイテンションで一気に読みましたとも>『ミレニアム2』
このテンションのまま、映画も観てみたいと思います。
このへんの評価はダメダメでしたが、確かにあの情報量を2時間30分の映画に落とし込むのは大変なので、原作未読だと理解しにくいのかも。逆に原作既読なら、何をどう表現しているのかたいへん興味津々なわけで、それだけで劇場へ足を運ぶ動機にはなるわけです。トレイラーを見る限りでは、見事なまでにイメージ通り。

古書店で買った何冊かを読んでから、『ミレニアム3』を読みたいかと。

ちなみに映画はデンマーク人の監督。『~2』では、原作の雰囲気もがらりと変わりますが、監督も別の人が務めるそうです。

デンマークと言えば、ドイツ占領下の同国を舞台にした映画『誰がため』上映中で興味あるんですが、テアトル梅田へ行ってまで観たいとは思えないのです……。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(★★★)

2010年01月15日 | 読書2009-
『このミス』で話題になっていたので購入。

表紙に躍る「ミレニアム」「ドラゴン」「女」の文字、そしてあの装丁。てっきりスーパー・ヒロインが千年紀に活躍する海外ドラマのノベライズかと思ったら、スウェーデンで大人気を博したミステリだった。とある事件がきっかけで暇になったジャーナリストが、スウェーデンの企業グループ会長から、ごく私的な調査を依頼されるという話。調査を進めるうち、30数年間、誰も気づかなかったある視点に立つことで、事件の意外な真相に至る。

映画化されていて、日本公開は16日から。大阪は30日から、敷島シネポップへ観に行こう。公式サイトはこちら

まあ、「スーパー・ヒロイン」ってのは当たり。スーパー・ハッカー(笑)だし。

それなりに楽しめたが、全3作、それぞれ上下分冊で各1,600円はお高いのでは? ストーリー、キャラクター、それらを使って描きたいことにはあまり関心を持てなかったが、スウェーデンの価値観と言うかそこで暮らしている人にしか書けないような皮膚感覚に訴えかけてくるような内容は新鮮だった。もちろん日本語で読んでいる以上は、訳者のフィルターを通して、ということになるのだが。

マレーの虎 ハリマオ伝説/中野不二男(★★)

2009年12月19日 | 読書2009-
古本で安かったため買ってみた。薄い内容で、書籍にまとめるほどのものかと思ったら、もともとは雑誌の連載だった。それに加筆修正したもの。ルポルタージュ風にまとめてあるのは、乏しい内容を補うためかと邪推してしまう。

1960年代に『怪傑ハリマオ』というテレビ・ドラマがあったが、その元ネタは1943年公開の『マライの虎』。マレー語で「虎」を意味する「ハリマオ」の異名を持ったのは、マレーシアで裕福な華僑を襲っていた日本人、谷豊。襲うと言ってもマレーシア人の仲間と金品を盗んで、「富の再配分」を行っていたらしい。

日本軍がマレーシアに侵攻すると、F機関の手先として橋梁や発電所の爆破/確保を命じられたがどれもうまくいかず、シンガポール陥落直後にマラリアで死亡。

もともと谷一家はマレーシア東部で理髪店を営んでおり、生活も裕福だったが、マレーシアでも華僑による排日運動が起こり、年端もいかぬ妹が斬殺されたそうだ。しかしその華僑は無罪放免(マレーシアの宗主国はイギリス)。一度は日本へ帰った豊だが、妹の恨みを晴らすために再びマレーシアへ。そして華僑を狙った泥棒を繰り返すようになり、現地の言葉に通じていたため(日本語は不自由だったらしい)F機関にスカウトされたらしい。

本書では、ハリマオがどんな活躍を見せたのか(戦前はこそ泥、戦中は戦果なし)、どうして日本軍に手を貸したのか(恨みを晴らすためか、愛国的な心情からか、これははっきりしなかった)について検証が行われている。

大雑把に言って、映画『マライの虎』が国策なら、「ハリマオ」を不必要に美化することも国策、あるいは危ういことではないかと感じる。

食通知ったかぶり/丸谷才一(★★★★)

2009年12月18日 | 読書2009-
古書店にて200円で購入。

著者が日本の方々を訪ねて、その土地の名物を地酒でいただくという趣向。四半世紀以上前の本なので、さすがに情報は古いが(大阪では「船場吉兆」が取り上げられている)、旨そうに描写している料理は、それを食べるためだけに旅行へ行きたくなる。

「方々」の選択基準も、文人その他の話を織り交ぜつつで、これも面白い。日本海側(当時のことだから「裏日本」なんて書かれている)は1県ごとに美人県がある、といった与太話。

与太話と言えばもちろん、著者の豊富な知識に基づく「ネタ」が、それこそ箸休めのようにちりばめられているので、それを読むだけでも楽しい。日本ネーミング大将と呼ばれる「サッポロラーメン(カタカナであるのが大事)」と「さぬきうどん(あの頃からブームだったとは)」の話や卓袱料理の由来と当時の日本の食文化、半年暮らさないと味わえない、本当に旨い金沢料理等々。

西国一の鮨屋が岡山にあるそうだが、今でも残っているのだろうか。

ツーダン満塁/矢作俊彦

2009年12月11日 | 読書2009-
久しぶりに読み返した。

諸々の雑誌に掲載されたコラムを集めたもので、タイトル通りの野球、それから車、旅行に関する内容。「在日」日本人として、様々な事象に怜悧な目を向けて書かれたエッセイは、含蓄に富み、発表後10年近く経つが、その内容は色あせることがない。

というのは当時も今も、日本人も、日本を取り巻く環境も、大して変わっていないということか。

民主主義とネットの関係性、メディアとしてのテレビの終焉などは、予想的中。「彼」がいなくなった後の野球の衰退もまた、予想通りであった。

養老天命反転地」をつくった荒川修作との、噛み合っているんだかいないんだかわからない対談も面白かった。そのうちまた、彼の地へ行ってみよう。天命が反転するかもしれない。

黒澤明という時代(小林信彦)

2009年11月27日 | 読書2009-
社員旅行で行った北海道で読了。ハードカバーは持ち歩きたくなかったけれど、読み始めたら止まらなかったのだ。

黒澤作品の解説、批評としても面白く読めるが、タイトル通り、その作品が上映された「時代」を感じることもできる。いつでも見られるDVDと、製作された、あるいは上映された時代と一体化している劇場公開の映画とは、根本的に別物なのだと感じた。黒澤作品をライブで観られた人が羨ましい。

と嘆いていても仕方がないので、これからは観たい作品は無理してでも映画館で観ることにしよう。ということで、『イングロリアス・バスターズ』を観た。

もちろん、観ないよりは観たほうが幸せなのは事実なので、年末は黒澤作品をじっくり観たいと思う。

さまよう刃

2009年11月20日 | 読書2009-
読了。

内容はベタだったが、ミステリ・パートで読み手の関心を引き続けるとともに、別の視点からの問題提起を盛り込んでいて、陳腐な話になっていないのはさすが。映画ではこの点で改悪しているらしいけど、原作がミスリードする流れを正解とするなら、薄っぺらな印象になるのではないか、と思ったり。テレビ放映されたら見てみよう。

久しぶりに読んだが、手堅く面白いな、東野圭吾。

明日から社内旅行で北海道へ。雪とかで、レンタルバイクを申し込まなくて正解。しかし、三連休が潰されるのは痛い。

タジン鍋

2009年11月16日 | 読書2009-
逡巡した揚げ句、タジン鍋を買った。2980円なり。一人用の鍋なのに、結構する。

このシーズンに10回以上使うだろうとの目算で、早速使ってみた。もやし、キャベツ、豚肉を重ねて蒸し蒸し。ポン酢で食べる。キャベツが美味い。材料切って、火にかけるだけなので、仕事で遅くなった平日にも重宝しそうだ。

『赫眼』(三津田信三)を読む。無関係な話かと思えば、メタ構造が入っていて、ぞっとさせられるホラー短編集。『首無し~』の後に読んだのが今ひとつだったので敬遠していたけど、読むのを再開しようか。

『さまよう刃』を勧められて読み始めたところ。映画評は微妙なものが多かったけれど、原作はどうなんだろう。貸してくれた男には娘がいるが、どういう心境で読んだのか、今度聞いてみよう。

今晩はポトフだ。

乃木希典

2009年04月08日 | 読書2009-
近所のTSUTAYAで購入。

『坂の上の雲』以来、乃木希典=無能な軍人という評価が定着してしまった。と言うよりも、それ以外の評価基準が認められなくなった。いやいや、それは後知恵の基準で測るからそうなのであろうなあ。

もちろん、乃木=無能というレッテルは当時から貼られており、映画『二百三高地』でえらく印象に残っているのだが、自宅に投石もあった。が、これも投石に至る当時の社会的背景を知らないと理解しにくいこと。その辺り、著者の福田和也はわかりやすく書いてくれている。社会保障の体制が整備されていない当時、働き手を戦争で失うということは、その一家の死活問題であったのだ。なるほど。

当時先端の技術を盛り込んで防備を固めた旅順要塞=列強の象徴とすると、資源も何も持たない日本が肉弾戦でこれに挑んだというのは、何とも感慨深いものではある。旅順要塞への正面突撃は非難されるところだが、あの洗礼を受けなければ近代国家の仲間入りができなかったのかもしれない。

クリミア戦争におけるセヴァストポリ要塞攻撃に比して損害が決して多くはなかった、また第一次大戦以降の主立った攻城戦でも、結局は肉弾戦に持ち込まなければ要塞を攻略できなかったと、解説(兵藤二十八)を読んでその思いを強くした。

福田が描く乃木のような人間は、今の日本に存在しないかもしれない。が、だからこそ、乃木希典の再評価は意味のあることだと言える。懸念するのは、NHKがつくる『坂の上の雲』。司馬史観に準じるのだろうか。