チャーリーとテロリスト工場
予告編では「70点」くらいの映画を期待していたが、外してしまった。わずか101分の映画が長いこと、長いこと。
タイトルのチャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)とはテキサス州出身の下院議員で、予告では女好きのボンクラ議員の印象を与えようとしていたが、映画では掴み所のないキャラクター。冒頭、ストリッパーと一緒にジャグジーに入っていた時、ソ連軍のアフガニスタン侵攻のニュースを見てアフガン支援予算を2倍にするよう委員会に働きかけたが、その動機は不明。当時、大多数のアメリカ人が無関心だったにもかかわらず(国名をわざと間違える描写が繰り返される)、何故チャーリーだけがアフガンに肩入れしたのかよくわからない。
選挙区で6番目の大富豪であるジュリア・ロバーツがチャーリーにアフガン支援を要請するのはその後。物心ともにサポートを受けている彼女に頭が上がらないから、あるいは性的欲望のためにアフガンを支援し始め、難民キャンプの窮状を視察して本気になる、というシークエンスなら感情移入しやすいが、最初から中途半端にいい奴なのが面白くない。
面白い存在なのは、バリバリの反共主義者でギリシア系のフィリップ・シーモア・ホフマン。トム・ハンクスとジュリア・ロバーツの退屈な演技で眠気が最高潮に達した時、文字通りガツンとやってくれて、急に映画に対する興味が高まった。しかしそれも束の間、再びトム・ハンクスにスポットが当たると、たちまち退屈な展開となる。
それは恐らく、史実の結末を観ている側が知っているからで、ゲリラ相手の戦闘に利することが少ないと悟ったソ連軍が撤退するのは周知の事実。だとすれば、何だかよくわからない理由で予算を増やしたというのではなく、チャーリーの努力とやらを見所として描いて欲しかった。「だからヘリを撃墜すれば勝てるって言ったろ」みたいな一言で済ませてしまうのではなくて。
あるいは、9.11以降に訪れる歴史の皮肉を描いて欲しかった。アメリカ軍はアフガンを空爆し、再び難民キャンプが生まれたのである。チャーリー・ウィルソンほど、この皮肉を語れる人物はいないのに、トム・ハンクスは一人涙するだけで終わる。もったいない。
イスラム国家とイスラエルの会談など笑えるシーンもあるが、肝心の主題がぼんやりしているのは残念。
【余談】
字幕に関してエントリーを投稿したが、本作でも字幕作成には苦労の跡がうかがえた。
チャーリーが機内で思い出話をするシーン、「ディケンズの小説の登場人物のような」が「イギリスの小説に出てきそうな」とわかりやすく訳されていた。
もう一つ、アフガニスタンのゲリラが「西部開拓時代の銃で戦っている」とチャーリーが力説する台詞は、「デイビー・クロケットが使った銃」。デイビー・クロケットとはアラモ砦の戦いの英雄で、ジョアンナ(ジュリア・ロバーツ)の大叔父(だったか)もアラモ砦で戦ったらしいから、それに因んだ表現だったのかも知れない。
『大いなる陰謀』もアフガン関連の映画。チャーリー・ウィルソンが贈ったエリコン機銃にヘリが撃たれるわけですね。
| サイト | 点数 | 備考 |
| IMDb | 7.5 | |
| goo映画 | 69点 | |
| 超映画批評 | 70点 | 今週のオススメ |
予告編では「70点」くらいの映画を期待していたが、外してしまった。わずか101分の映画が長いこと、長いこと。
タイトルのチャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)とはテキサス州出身の下院議員で、予告では女好きのボンクラ議員の印象を与えようとしていたが、映画では掴み所のないキャラクター。冒頭、ストリッパーと一緒にジャグジーに入っていた時、ソ連軍のアフガニスタン侵攻のニュースを見てアフガン支援予算を2倍にするよう委員会に働きかけたが、その動機は不明。当時、大多数のアメリカ人が無関心だったにもかかわらず(国名をわざと間違える描写が繰り返される)、何故チャーリーだけがアフガンに肩入れしたのかよくわからない。
選挙区で6番目の大富豪であるジュリア・ロバーツがチャーリーにアフガン支援を要請するのはその後。物心ともにサポートを受けている彼女に頭が上がらないから、あるいは性的欲望のためにアフガンを支援し始め、難民キャンプの窮状を視察して本気になる、というシークエンスなら感情移入しやすいが、最初から中途半端にいい奴なのが面白くない。
面白い存在なのは、バリバリの反共主義者でギリシア系のフィリップ・シーモア・ホフマン。トム・ハンクスとジュリア・ロバーツの退屈な演技で眠気が最高潮に達した時、文字通りガツンとやってくれて、急に映画に対する興味が高まった。しかしそれも束の間、再びトム・ハンクスにスポットが当たると、たちまち退屈な展開となる。
それは恐らく、史実の結末を観ている側が知っているからで、ゲリラ相手の戦闘に利することが少ないと悟ったソ連軍が撤退するのは周知の事実。だとすれば、何だかよくわからない理由で予算を増やしたというのではなく、チャーリーの努力とやらを見所として描いて欲しかった。「だからヘリを撃墜すれば勝てるって言ったろ」みたいな一言で済ませてしまうのではなくて。
あるいは、9.11以降に訪れる歴史の皮肉を描いて欲しかった。アメリカ軍はアフガンを空爆し、再び難民キャンプが生まれたのである。チャーリー・ウィルソンほど、この皮肉を語れる人物はいないのに、トム・ハンクスは一人涙するだけで終わる。もったいない。
イスラム国家とイスラエルの会談など笑えるシーンもあるが、肝心の主題がぼんやりしているのは残念。
【余談】
字幕に関してエントリーを投稿したが、本作でも字幕作成には苦労の跡がうかがえた。
チャーリーが機内で思い出話をするシーン、「ディケンズの小説の登場人物のような」が「イギリスの小説に出てきそうな」とわかりやすく訳されていた。
もう一つ、アフガニスタンのゲリラが「西部開拓時代の銃で戦っている」とチャーリーが力説する台詞は、「デイビー・クロケットが使った銃」。デイビー・クロケットとはアラモ砦の戦いの英雄で、ジョアンナ(ジュリア・ロバーツ)の大叔父(だったか)もアラモ砦で戦ったらしいから、それに因んだ表現だったのかも知れない。
『大いなる陰謀』もアフガン関連の映画。チャーリー・ウィルソンが贈ったエリコン機銃にヘリが撃たれるわけですね。











>あるいは、9.11以降に訪れる歴史の皮肉を描いて欲しかった。
それを描くことがこの映画のテーマでした。ジュリアーニやマスード、ジョン・マーサなど911報道をきちんとおっていれば、だれもが知っているビッグネームをちりばめながら、最後にフィリップ・シーモア・ホフマンに「塞翁が馬」の故事を語らせるときにかぶさる大きな飛行機の音。
ワシントンDCの中央であれほど飛行機の音が聞こえるはずがないのに、わざわざかぶせた意味は明白です。
原作を総花的に映画化した印象を受けたため、テーマがぼんやりしたものに思えたのかも知れません。