傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

湯之上 隆氏の「技術流出は防止できるか?」を読んで(雑感)

2013-02-19 22:49:06 | ビジネス

湯之上 隆氏が「JBpress」へ寄稿の『技術流出は防止できるか?NHKのドラマ「メイドインジャパン」を見て』で、自分の体験を踏まえサムソン電子の日本メーカーに対する技術収集は徹底していたとし、それをサポートする集団が存在したと論じ、”「技術流出を止める万能薬はないが、技術および技術者が大事にされる風潮なり、文化があれば、少しは流出に歯止めがかかるのではないかと思う。」”と結んでいます。

湯之上 隆氏のコラム『技術流出は防止できるか?NHKのドラマ「メイドインジャパン」を見て』は、技術流出を取り上げたNHKドラマ「メイドインジャパン」を取り上げ、頭脳(技術)流出について、自分の論文が業界誌に無断で記載された体験から、技術流出には、それを支援する組織が存在したと推察し、サムソン電子の躍進には、その組織が貢献したと論じ、”「技術流出を止める万能薬はないが、技術および技術者が大事にされる風潮なり、文化があれば、少しは流出に歯止めがかかるのではないかと思う。」”と結んでいます。

当方もドラマ「メイドインジャパン」を視聴し、冒頭部の某技術者が中国で自己実現は納得したが、結論は「このようなハッピィーエンドは現実離れ」と思いましたね。
本ブログ「家電の苦境は経営者の責任ではあるが?(雑感)(追記))」で、昨年10月27日、28日放送のNHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」(第1回 岐路に立つ"日の丸家電"第2回 復活への新戦略)を視聴し、2005年から5年間 サムソンが日本の優れた技術の発掘に注力し、日本の技術をサムソンに紹介を従事した日本サムソンの元顧問の石田賢氏の話を取り上げ、自分の経験として、

”「当方が現役時代の10年前に、知人からサムソンがビジネスパートナーを探していると紹介され渋谷にあったサムソンの事務所を訪問し、サムソンからプレゼンを受け資料を本社の企画部門に提供した事があります。
当方からの報告に、本社からは、韓国でのビジネスで苦い経験をしており、けんもほろほろに聞く耳など持たないと拒絶されましたね。
当時は、韓国製品には日本製品の不正コピー商品が多く、半導体分野は躍進していたが国内でのサムソン白物家電製品は皆無で、日本の大企業は韓国企業とは生理的に距離を置いていた雰囲気で、本社の拒絶は納得できましたね
。」”

と書きましたが、当時は、週末、大手メーカーの技術者が韓国行くことはメディアでも取り上げられるほど周知の事実であり、湯之上 隆氏が推察した韓国への技術流出を支援する組織の存在は既成事実だったのです。
営業部門に従事した当方でさえ、サムソンの組織的な日本の技術収集力に脅威を感じ、本社に報告したのです。

また、某映像技術に関する民間企業の団体に、サムソンだけが海外メーカーとして参画しており、数年前、団体の世話役で、自社内では冷遇されていた関西の大手メーカーの技術者が、2年間契約で、サムソンへの転職したが、培ってきた技術をサムソンで結実が動機と聞き、「いいんじゃないですか」と答えたことを思い出しました。

前述の日本サムソンの元顧問の石田賢氏の略歴は、ネット情報では、

1972年3月 慶應義塾大学 商学部卒
1972年4月~90年3月 三菱総合研究所勤務 産業分析、日本企業のアジア戦略担当
1990年4月~05年2月 日本総合研究所勤務 日本企業のアジア戦略、国際分業論担当
2003年9月~05年2月 関西大学社会学部・非常勤講師(講座:国際産業関係論)
2002年9月~08年12月 韓国漢陽大学校国際学大学院・兼任教授(講座:日韓産業関係論)
2005年3月~10年3月 日本サムスン株式会社 顧問
【現在】
2003年3月~  東アジア経済経営学会・理事
2004年4月~  日韓ビジネス協議会・副会長(神奈川県) 2006年6月~  財団法人 日韓産業技術協力財団・評議員
2006年10月~  計画・技術研究学会・会員
2006年12月~  特定非営利活動法人 日本シンクタンクアカデミー・理事
2010年3月~  アジア・国際経営戦略学会・評議員
2010年4月~  川崎国際ビジネス交流推進協議会・委員
2010年7月~  アジア経営学会・会員

とあり、物づくりにはグローバル人材の育成が不可欠とセミナーの講師をしていますね。
石田 賢氏は、サムソンに日本技術を紹介の労を技術流出と責めることは酷であり、国内の大手メーカーが韓国勢を疎んじた慢心があり、経営判断ミスと思っています。

当方は、韓国への技術流出と経営ミスは、LEDテレビが典型的と思いましたね。
日本では、大型テレビは、液晶とプラズマの商品分類し、液晶のバッグライトがCCFL(蛍光管)からLED(発光ダイオード)に替わった液晶テレビをシャープ、ソニーが先行したのに、液晶テレビのジャンルのままで販促したのに対し、韓国勢はLEDテレビと液晶テレビと差別化のグローバル展開で飛躍したのです。
国内家電メーカーの過去延長線上の経営判断ミスだったのです。

また、「現代ビジネス」サイトで、「週刊現代」の記事『パナソニック、シャープだけではありません「追い出し部屋」』を掲載しており、現役世代には経営不振のリストラ大嵐が吹き荒れている厳しい環境下にあり、御用組合は無用・不要・有害の存在であり、年金生活者の団塊世代には同情しかできませんね。
技術者であれば、NHKのドラマではないが、海外で自己実現の道もあり、雑誌「WEDGE」の記事『白物家電に本格参入 アイリスオーヤマ  プラスチック加工技術とスピード開発で勝ち取ったLEDシェア1位』ではないが国内の受け皿はありそうだが限定的であり、自分の看板と個人人脈をもつことがサラリーマンの処世術なのでしょうね。

とはいえ、やはり、湯之上 隆氏が言う”「技術流出を止める万能薬はないが、技術および技術者が大事にされる風潮なり、文化があれば、少しは流出に歯止めがかかるのではないかと思う。」”が正論ですね。




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