当方は、日本の将来に不安を感じており、経済エコノミストや有識者の成長戦略第一の論調には懐疑的で、国家破綻の危険性を感じており、縮小した経済規模で、福祉国家型の国家として再生しかないのではないかという思うこの頃です。
リーマンショック後の「世界の同時不況」は戦後の資本主義の歪で、虚像の世界の破綻という印象をもっており、日本経済も脆弱な基盤で形成されていたという思いで、実業による実体経済を重視した社会変革すべきという考えになりました。
税収が40兆円で歳出が90兆~100兆円超で、税収不足が50兆~60兆円という財政収支の構造は不健全であり、財政危機であり、国家破綻の危険性を孕んでおり、経済規模が縮小した現在は、自助努力(自己抑制?)で耐乏しながら、国家の形を変容しかないのでないかという思いです。
当方が脅威を感じているのは、財政危機は何時までもつかということと、国家破綻の契機は何かですね。
また、それを回避するなり、軽減できる策は何かといことですね。
OECDから日本はデフレ状況といわれ、菅副総理もデフレを容認し、欧米はリーマンショック後の世界不況を財政出動で金融システムの安定化に注力しているが二番底の回避に精一杯であり、アメリカは景気回復が長期化の気配であり、世界各国は保護主義が台頭し、中国次第でドル暴落の危険性があり、食料危機もあり、国内事情より、海外要因が国家破綻の引き金になる状況下ではないかと思いますね。
後藤道夫氏(都留文科大学教授)の日経BPサイトへの寄稿『勤労世帯に広がる貧困の実態』を読み、日本の社会保障制度の貧弱さの国情を再認識し、本格的な福祉国家への転換の提言に興味をもちましたね。
後藤道夫氏は、『勤労世帯に広がる貧困の実態』で、
・失業者の5人に1人しか保障を受け取っていない貧困
・フルタイムで働く非正規雇用、低所得の正規雇用が増加した貧困
・「貧困」問題への対応が遅れた日本
・社会サービスへの公的支出が少なすぎる
「公的社会支出」概念:社会保障というよりは生活の社会的支援全般を含んでおり、社会サービスと所得保障両方を含んでいる。
日本の場合「自己責任」に任されている生活領域が非常に大きいということになる。
・国民皆保険の理想と程遠い医療サービスの基盤
日本社会は、「自分で稼いで自分でサービスを買いなさい」という原理が生活領域のすべてにわたっている。
・選択の余地がない基礎的社会サービスは無料とせよ
日本は社会サービスを金で買うという原理をあまりにも野放図に持ち込みすぎた。
もっと普遍主義的に供給して財源は税金で取らないと、社会的に崩壊してしまう。
重層的な所得保障のシステムの必要性
・グローバリゼーションに立ち向かうには、生活基盤の安定が必要
(日本は)、逆にグローバリゼーションに対応して、規制を撤廃して小さな政府を指向するという方面だけに突っ込むことになってしまった。他の国は保障を分厚く積み上げてきた後にそれをやった。
その積み上げなしにやってしまったから、今の日本は非常に脆弱な社会構造になっている。
と論じております。
標題にあるように、勤労世帯を主対象として論じていますが、自営業でも同じではないかと思いましたね。
後藤道夫氏は、結語を読むと民主党の親派かなと推察でき、民主党に「本格的な福祉国家としてのものの考え方に取り組み、思い切った方向に踏み出してほしいものだ。」と投げかけています。
世界不安があり、貧困国に陥った日本は、社会保障を充実させる本格的な福祉国家への転換は、当方に納得できる内容です。
当方には、後藤道夫氏は未知なる人物ですが、当方が、再三、本ブログで書いた「国家の計」は、
”「国民が安心・安全で暮らせる社会は、まずは、第一次産業が国の基幹と思っております。温暖化で環境破壊が進行しても、石油が枯渇するエネルギー問題が深刻化しても、食糧危機が最悪の事態になろうとも、自給自足で最低の生活ができることことが第一で、第二は、社会保障制度の充実での安心さで、その上での自由競争社会という国造りが必要で、人材育成が肝要と思っております。」”
で、後藤道夫氏の寄稿論文を読み、社会保障制度の充実が不可欠という思いを強くしましたね。
やはり、自給自足できる社会が国難の際の安全弁となり、社会保障制度の充実での安心さがグローバル社会での競争力を発揮できる基盤ですね。
鳩山首相の掲げる「コンクリートより人へ」の「生活第一」の政治姿勢は、福祉国家を目指しているのでしょうから、賛同しますね。
[付記]
① 桐原涼氏のブログ「国家破綻の恐怖」
「政府がひたすら大きな政府に向かい、経済が小さな経済に向かっているのは、まぎれもない事実です。現在の情勢を客観的に見るならば、将来の国家破綻は免れないと考えられます。」
② NHK「ニュース」米報告書 中国の為替政策批判
アメリカ議会の議員が超党派でつくる委員会は中国との関係に関する年次報告書を発表し、この中で中国の為替政策を批判したうえで中国からの輸入品に報復関税をかけるなど対抗措置を講じるよう求めました。
アメリカ上下両院の議員が超党派でつくる「米中経済・安全保障調査委員会」は19日、中国に関する年次報告書を発表しました。
それによりますと、「中国は自国の輸出産業を守るために去年7月以来、通貨・人民元の切り上げを止め意図的にドルによる外貨準備を増やし、米中間の緊張を高めている」として、中国の為替政策を批判しています。
そのうえで、アメリカ政府は中国に対し、より柔軟な為替政策をとるよう求めるべきだとしたうえで、こうした中国の為替政策に対し、中国からの輸入品に報復関税をかけるなど対抗措置を講じるよう求めています。
一方、ガイトナー財務長官は、この日、議会の上下両院経済合同委員会に出席し、「中国は、より柔軟な為替制度へ移行することが必要だということを十分に認識している。中国が今後輸出依存から脱却して内需拡大に向けて行動することを確信している」と述べ、中国の今後の動きを見守るべきだという考えを示しました。