傍観者の独り言

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池田信夫氏:次世代スパコン開発中止に肯定意見・・・見直しは不可欠(雑感)

2009-11-21 17:52:49 | 独り言

事業仕分けで「次世代スーパーコンピュータ開発中止」について、池田信夫氏は当然とし、開発実務者は開発続行を提起しており、ネットを賑わしていますね。
先端技術など疎い当方は、スパコンの要素技術を評価する知見など持ち合わせていないが、開発内容の精査は意味があると思いますね。

池田信夫氏は、ブログ「沈没した「スパコンの戦艦大和」で反対理由は、予定した性能の実現を疑問視しており、開発担当の「理研」はハードウェアメーカーでなく、学問研究であり、場違いという指摘であり、調達に談合の疑いがあるとし、「日の丸技術」の開発はビジネスに貢献しないとスパコン開発中止は肯定意見ですね。

その後、西和彦氏が池田信夫氏のスパコンについて、意見交換で、持論をブログ「池田信夫 対 西和彦」で、池田信夫氏の反対理由に、持論を展開し、技術可能性、開発の意義を書いていますね。

そして、池田信夫氏は、ブログ「スパコン保護政策がIT業界をだめにする」で、「西さんと私は論争したわけではなく、基本的な意見は一致しました。私がブログ記事で問題にしたのは、スパコン自体の是非ではなく、その調達方法です」と「無知な官僚に業者が食い込み、随意契約で暴利をむさぼるITゼネコン構造が政官業の癒着を生み、結果的には佐々木さんもいうように、日本のITの国際競争力をだめにしたのです」と官公庁における情報システム分野のITゼネコンの功罪を論評しています。
要は、「国産品調達」とか「日の丸技術育成」などの裁量的なターゲティング政策はやめるべきだという意見で、何か、スパコン開発の技術的な問題というより、調達方法に異議を唱え、論点のすり替えの印象をもちますね。

更に、池田信夫氏は、ブログ『「国営ベンチャー」はなぜ失敗するのか』の書評で、自前主義がイノベーションの最大の敵だ、というのが本書と紹介し、「今回のスパコンについての科学者の声明にあらわれている「日の丸技術」志向は、失敗のもとである」と論じています。
そして、「基礎科学を政府が支援することは重要であり、科学的真理の探究に必ずしも実用的な成果は必要ない。しかしスパコンは研究の手段にすぎないのだから、費用対効果だけが問題だ。バカ高いハードウェアを買う予算をソフト開発(研究)に回したほうが合理的であり、調達先が国産メーカーである必要もない」と調達方法を問題視しています。

池田信夫氏のスパコン開発中止の肯定意見は、純粋な技術論ではなく、メーカーでない「理研」という組織が相応しくないとし、調達方法が胡散臭く、「日の丸技術育成」という政策は競争力を損なうということですね。

当方は、スパコン開発の要素技術の論評に興味がありましたが、池田信夫氏は技術論は憶測の範囲であり、西和彦氏の意見には興味がありましたね。
次世代スパコンの開発の是非は、世界一の性能を陳腐な要素技術でなく、先進性技術での開発であることが肝要であり、性能もしかり、想定コスト面も現実的でビジネスになりえるのか?が最大の検討問題と思っています。
スパコンの応用用途や有用性は常識的にわかりますが、問題は開発すべきスパコンが革新的技術で先進性の取り組みで、現実的なのかどうかでしょうね。

池田信夫氏の論調は、調達が従来のITゼネコンの弊害というのは一般論であり、技術論でないことが寂しいですね。
確かに、現在の「理研」を頂上にした開発体制は、ITゼネコンおよび研究者の産学協同という政治的な産物という印象をもち、次世代スパコン開発については、精査は必要不可欠と思いますね。
国策での独自技術の育成には、革新性、先進性などの技術かどうかを見極める慧眼が必要でしょうね。

ITゼネコンの功罪は、外資系企業に対抗するために、「国産品調達」、「日の丸技術育成」を国策とし、国内企業を育成してきたが、それが官公庁分野は国内特定企業という競争世界から治外法権的な世界を醸成してきたのは周知の事実です。
マアー、治外法権的の世界を作ることがメーカー営業の使命ですから。

また、国策での育成後も問題であり、独自性に拘りしすぎるとクローズな世界にとどまり、グローバルビジネスに発展できなかったことです。
JPpressの「技術立国日本のトップ企業目に見えないが必要不可欠」で、「日本の中堅電子企業には、ハイテク産業の多くの分野で支配的な立場を獲得している会社が多い。彼らは今後もその地位を保てるだろうか?」とオープン指向を問題提起しています。

事例として、キヤノンニコンが、半導体製造装置の1つであるステッパーの分野でオランダのASMLに敗れたのが、経緯である。
キヤノンとニコンが全て内作に拘っているが、弱小のASMLは製品をモジュール式に設計し直し、各モジュールを専門企業に外注し、顧客に問題点を見せ、その解決法を公開するオープン性が顧客に安心感と与え、今ではASMLが65%のシェアを握っていると書いています。

「日の丸技術育成」による独自性も大事であるが、一方、世の中、閉鎖性の独自技術製品より、オープン性がビジネスで勝利しているのも事実ですね。
技術の価値判断は至難の技であり、独自性は競争力を発揮できるが、オープン性が顧客の安心感を与える事も事実であり、次世代スパコンの開発の是非は、天才か、異才に、判断してもらいたいテーマですね。



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