傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

郵便不正事件:村木元局長の職場復帰に水をさすようだが?

2010-09-23 07:49:38 | 郵便不正事件

村木厚子元局長が無罪確定し、1年3ヶ月ぶり、元職場の同僚から拍手で迎えられ、厚生労働省への職場復帰の様子が報道される。
村木厚子元局長の実直な仕事が、検察が描いた構図ストリーを破綻させ、検察の不正義を白日に晒させたことには賞賛いたします。
ただ、村木元局長の職場復帰に水をさすようだが、当方には、どうしても村木元局長に聞きたいことがあります。
それは、厚生労働省には「政治家案件」が存在していたかどうかです。

当方は、昨年6月16日に、本ブログ「郵便不正事件:何故、厚労省官僚が不正行為したか不可解?」で、
”「厚労省の官僚が、何故、不正行為までして証明書を発行したのか?当方には、不可解です。
国会議員からの口利きがあろうが、実行者には、一銭の得にもならずに、不正行為する必然性が分からないですね。
」”
と書き、検察の不正義問題とは別にして、当初から、何故、官僚が不正行為まで証明書作成したかの不可解でした。

「文藝春秋」(2010.10)の村木厚子元局長の手記私は泣かない、屈さない」を読み、村木厚子女史の実直な仕事ぶりが検察の描いた構図ストリーを破綻の契機になったと思いましたね。
手記では、
”「私は自分のスケジュールを手帳で管理していて、国会議員の先生や自治体や様々な団体の方にお会いした時には、パソコンの業務日誌に相手の名前や用件を記録しています。こうした日誌は15年分くらい手元にありましたので調べてみましたが、「凛の会」や倉沢さんの名前はありませんでした。」”
と書いております。
また、口利きをしたと話題になった石井一議員も、議員になってから活動記録を詳細に手帳に記述しており、検察の描いた構図ストリーを破綻の契機になりましたね。
マアー、石井一議員については、当て馬だったが、検察の構図を破綻の契機は、村木厚子元局長の詳細の業務日誌であり、公判前整理手続きで上村勉元係長への指示した期日の矛盾(前田検事のFD偽造)が露見したのです。

当方が留意していた政治家案件については、手記では、
”「国井検事には、役所は議員案件に弱いという思い込みもありました。私が、「こういう証明書の類は、民間の人が訪ねて来ようが、議員さん経由で来ようが、やることは同じなんですよ」と説明しても、「そんなはずはない」って言い張るんです。「議員から頼まれたからやるんであって、そうでなければやるはずがない」と。法務省や検察庁では、そういう仕事のやり方をしているのでしょうか。
・・・・・・
押収された私の手帳や業務日誌には、議員からの依頼事項やそれをどう処理したか全部かいてあるのです。与党の大物議員から「ここに補助金をつけてくれ」と言われて断ったことなんかが、いっぱい書いてあります。なのに、野党の先生からのお願いを無理してやらなきゃならないはずがない。普通に考えれば分かりそうなものです。
」”
と、村木厚子元局長は政治家案件には公明正大に処理していた証でしょうね。

当方は、村木厚子元局長の手記でもそうであるが、会見でも、厚生労働省には「政治家案件」の存在については、否定はしていないが深入りを避けているという印象をもちますね。
特に、元上司の塩田幸雄・元障害保険福祉部長(元・(独)福祉医療機構理事、現・香川県小豆島町長)については、逮捕前に、「何か記憶がある?」との電話があったしか語っていませんね。

当方が拘っている新聞情報に、本ブログ「郵便不正問題:村木前局長らを起訴で終息?・・・官僚の悲哀ですね。」で紹介した昨年7月3日の産経新聞の記事「【郵便不正】「俺はフィクサー」元厚労省部長が政治家の窓口に」です。
再度、転載すると、

”「障害者団体向け割引郵便制度の悪用をめぐる虚偽有印公文書作成事件で、民主党国会議員から障害者団体証明書発行の依頼を受けたとされる厚生労働省障害保健福祉部の元部長(57)が、複数の国会議員から陳情を度々受けていたことが2日、関係者への取材で分かった。

 元部長が「政治案件」の窓口役だったことは職員の間で広く知られていたという。事件では、元雇用均等・児童家庭局長、村木厚子容疑者(53)が“政治力”を持つ上司の指示に応えようと偽造に至ったという構図が浮かび上がっている。

 「おれはフィクサーだから

 関係者によると、元部長は周囲にこう吹聴し、週の半分は議員会館に出入りしていた。
部下の職員らには「政治案件はきちんと処理しないといけない」「議員には貸しを作っておかないと」とよく口にしていたという。

 元部長は、平成18年、局長級の政策統括官を最後に退職したが、執務室には故郷・香川県の巨大な地図が掛けられ、「『退官したら知事選に出てほしい』と地元からよく頼まれるんだよ」とうれしそうに話していた。

関係者は「まるで政治家の総合受付窓口のようだった。元部長が抱いていた政界進出への野心を議員に利用されたのではないか」とみる。

 一方、厚労省関係者によると、当時、元部長の部下の課長職にいた村木容疑者は目的実現のために粘り強く仕事を進めていくタイプ。
法案を通すために裏工作をするような策略家ではないが
、上司に対しては「イエスマン」だったという。

 証明書の偽造にかかわったとされる当時は、介護保険法改正案などの法案づくりの準備中だったが、関係者は「法案を通すためというより元部長の指示に忠実に従い、さらに部下の係長に指示しただけではないか」という。
この関係者は、「元部長がいたからこそ起きた事件だろう」と指摘している。・・・。
」”

と報道していました。

結果論では、元部長から村木元局長への指示はなく、村木元局長から上村勉元係長への指示もなかったが、元上司の塩田幸雄・元障害保険福祉部長(元・(独)福祉医療機構理事、現・香川県小豆島町長)が郵便不正事件の重要な位置づけにいると思わざるを得ないですね。
村木元局長は、”「目的実現のために粘り強く仕事を進めていくタイプ。法案を通すために裏工作をするような策略家ではない」”ことは事実であり、野心家の元上司は、実直な村木元局長を外して、「凛の会」の倉沢邦夫元会長の証明書発行の便宜の図ったのでしょうね。

また、昨年の6月15日の産経新聞の記事「【郵便不正事件】省庁のキャリアシステムが背景か」 では、

”「民主党国会議員の口利きがあり、厚労省内で「政治案件」として扱われた障害者団体「凛の会」の証明書発行。
今回の事件では、この“腫れ物”のような案件をめぐり、法案の処理などで政治家の口利きを断れないキャリア官僚と、キャリアに追い込まれるノンキャリア職員という構図も浮かび上がる。

 証明書発行に絡む省内の指示は、当時の厚労省障害保健福祉部長(57)から始まった。
「国会議員から電話がかかってきた。うまくやってくれ」

 平成16年2月、ほぼ丸投げされた同部企画課長だった村木厚子容疑者(53)は調整係長を担当者に指名。
その後、4月に同係長に着任したノンキャリア職員の上村勉容疑者(39)が前任者から引き継ぎ、最終的に偽造という不正な手段をとった。

 政治案件はそれほど絶対視されていたのか。

ある職員は政治家の口利きの存在を認めたうえで、「3日かかる手続きを1日で済ませたり、進展具合をこまめに報告したりと気配りを徹底するだけ。違法行為に手を染めるかどうかは別問題」と否定的だ。

 だが、別の職員は「政治案件は通常、対外的な交渉を担当する別の部署から伝えられる。しかし上司から直接指示があったとすれば、部下が『個人的に関係があるのでは』と勝手に思い込み、必要以上に気を使う可能性はある」と指摘する

上村容疑者は特捜部の調べに、「凛の会側から何度もせっつかれた」と話す一方、「仕事ができない奴だと思われたくなかった。自己保身のためにやった」とも供述した。

 同僚らが「仕事一筋でまじめな性格だった」と口をそろえる上村容疑者。
なぜそこまでして仕事を済ませたのか。
その背景に中央省庁のキャリアシステムを挙げる職員もいる。
厚労省の課長ポストはほとんどキャリアで占められ、職員の人事評価は各課長の仕事。
同僚らは「案件処理のスピードは評価の大きな要素になっていた。キャリアににらまれたくない一心だったと思う」と話す。

 一方、キャリアの村木容疑者はまったく違う立場にいた。
当時、障害者自立支援法の準備に追われ、国会議員とも調整を重ねていた。
ある職員は「法案は障害者団体から負担増になると反対の声が上がっていた。
野党の議員の口利きに過剰に反応し、部下の不正を軽く流してしまったのでは」と推し量った。
」”

と報道していました。

結果論では、村木元局長の手記では、障害者自立支援法の準備は時期的に不整合になり、ノンキャリア官僚の悲哀については、「ノンキャリア官僚に失礼」と否定し、検察の描いた構図ストリーは破綻したが、村木元局長の知らない所でノンキャリア官僚の上村勉元係長の悲哀はあったのでしょうね。
どうしても、不可解なのは、ノンキャリア官僚の上村勉元係長が一銭の得にならないのに、不正行為してまでも偽造証明書を発行した背景です。

公判で、本ブログ「郵便不正事件:公判で、主役の飯島勲氏の名前が出る・・・検察の組織防衛か?」で書きましたが、塩田幸雄・元障害保険福祉部長は、飯島勲氏の名前を出し、また、本ブログ「郵便不正事件:公判で、自民党議員の名前が出る・・・背景に政官の利権か?」で書きましたが、検察側は、元自民党議員(木村義男)から塩田幸雄・元障害保険福祉部長は金銭を授受を公にしており、実直な村木元局長の知らない世界が存在しているとしか思えないのです。

村木元局長が無罪となり職場復帰は喜ばしいことですが、厚生労働省には、村木元局長が知らないか話せないか、営々と築かれてきた政治家と官僚との利権構造が存在しているとしか思えず、ノンキャリア官僚の悲哀も存在しているとしか思えないのです。
上村勉元係長の公判で、当方の素朴な疑問を解決できればという思いですね。

余談になりますが、村木元局長の手記で、
”「裁判を戦うというのは、やってみるとすごく難しい。
気持ちが折れない、健康で体力が続く、いい弁護団に恵まれる、自分の生活と弁護費用をまかなえる経済力がある、家族の理解と協力が得られる、という五つの条件が揃う幸運に恵まれないと戦えないんです。
だから、やっぱり検察には間違わないで欲しい。
」”
と、検察にも優しい人柄ですね。
俗人の当方は、徹底的に検察の責任問題を追及・批判し、上村勉元係長には、何故、偽装行為したのか攻めますが。


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