傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

東日本大震災:津波防災教育の素直な感受性が最大の防災!

2011-05-12 11:15:47 | 社会

11日のTBSの『みのもんた朝ズバ』で、”【津波から子供守った釜石市の”防災教育”】”タイトルで、釜石市内の中学生が震災直後、自発的に集団で避難し、全員助かったことは、日頃の津波防災教育の賜物と取り上げていました。
一方、日本一の防潮堤を整備した宮古市田老区では、巨大な堤防に過信・慢心が被害を拡大させた報道されています。
大人になるほど、素直な感受性が硬直化し、マンネリ化とともに打算的になり、慢心が防災の障害となるのでしょうね。

『みのもんた朝ズバ』では、釜石の某中学を取り上げ、地震発生ととに、校庭に逃げ、自主的に集団で駆け足で避難所に向い、途中にある小学生に声を掛け、最初に指定された避難所についたが、崖崩れを見て、より高台にある避難所に向い、途中、非難中の幼稚園児や高齢者を支援し、高台の避難所に避難し、小中学生全員が助かったという内容でした。

番組では、津波防災教育を指導していた大学教授が、教育のポイントとして、
① 防災ハザードマップを信じるな!
防災ハザードマップは、想定の産物であり、自ら判断しろ
② 慌てて逃げろ!
慌てる姿をみれば、周辺の人間に、「逃げなければ」という焦燥させる
と話しをしていました。
また、中学校の先生の話では、この地域は共稼ぎ世帯が多く、日中は、中学生が地域の大人の役割を担うことになっており、子供・高齢者の世話は中学生の役割と。

『みのもんた朝ズバ』で取り上げた事柄は、『WEDGE Infinity』に、群馬大学大学院教授・広域首都圏防災研究センター長の片田敏孝氏の『小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない 「想定外」を生き抜く力』で取り上げていました。

片田敏孝氏は、
”「2003年に、私は三陸地方の住民の防災意識を調査した。全国的に見ればこのエリアの住民の津波に対する防災意識は高いとはいえ、私は危うさを感じた。それは、行政による災害対策や堤防などの社会資本が充実してくるほど、人間の意識が減退するという矛盾をはらんでいたからだった

 住民はいつの間にか、津波警報が発令されても、結果として「到来した津波は数十センチ」という繰り返しに慣れてしまい、「本当に津波が来たときには、指示された避難所に行けばよい」と思う人が多くなり、さらには「それでも、堤防があるから大丈夫」という油断が生まれていた
。」”
と書き、地域住民の防災意識に不安になり、防災教育の必要性の啓蒙に応じたのは、釜石市であったが、当初は、当該関係者は冷ややかな反応であり、釜石市教育長の計らいで、防災教育を現場に導入したと。

そして、片田敏孝氏は、”「どれだけハードを整備しても、その想定を超える災害は起きうる。最後に頼れるのは、一人ひとりが持つ社会対応力であり、それは教育によって高めることができる」”と結んでいます。

週刊朝日」(5/6・13号)に、吉岡忍氏の「津波防災の町」岩手県宮古市田老区の被災現場のルポ『人間が支配したつもりの自然=津波が町をのみこんだ』で、「万里の長城」と呼ばれ、信頼されていた日本一の防潮堤を備えた宮古市田老区では、津波に対する絶対的な過信が被害を拡大させたと書いています。

ただ、吉岡忍氏のルポを読み、田老区の先人が津波対策に築いた大堤防がチリ津波には守ったが、その後、大堤防の外側(海側)に、新たな防潮堤を築いたことが被害を拡大したと。
要は、先人が築いた大堤防(防浪提)は、「クの字」の逆字形で、津波のエネルギーを左右に分散する役割で、外海に新たなコンクリート壁の防潮堤は、「クの字」で、上から見れば、「Xの字」の形になる。
新たに築かれた防潮堤は、津波を「食い止める」考えで、津波を抱き込んで真正面から受け止めるとする形と。

一方、先人が築いた大堤防(防浪提)は、津波を完璧に食い止める考えでなく、津波がきたときには、人間は家も家財も捨てて、とにかく逃げるしかないという考えで、人間のできることは、津波のエネルギーを左右に分散させ減じさせる大堤防を築き、非難しやすい町づくりだったと
大堤防の効用は、時間稼ぎと「引き波」の力を弱め大堤防の内側にいた住民は、「引き波」での被害がすくなかったと。

当方は、本ブログ「北地方太平洋沖地震:天災は人間を強くすると信じたい」で、
”「田老町は津波の被災の経験より、高さ10メートルの巨大な防潮堤を築きチリ沖地震には効果的だったが、この度は非力だったということでです。」”
と、”「天災には安全値がない」”と書きましたが、先人の智恵は安全値の指針ですね。

先人の智恵の賜物の「大堤防」に、浅智恵の新たな「防潮堤」を築き、人間は過信・慢心になり、津波警報を軽んじることになったのでしょうね。


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