咲-Saki- 第153局 「一閃」 感想

咲-Saki- 第153局

以下、咲-Saki-本編最新話の感想になりますので未読の方はネタバレにお気を付けください。
（前回の感想はこちら→咲-Saki- 第152局 「一片」 感想)


　混迷を極めた大将戦。遂に本領を発揮した咲さんに流れが傾いたかに思えた後半戦だったが、ラスト3局、他を寄せ付けない圧倒的な力を見せたネリーの怒涛の連続和了によって大将戦は幕を閉じた。まさに圧巻だった。3着からトップへと一気に「飛翔」し、立ち上がって同卓者を悠然と見下ろす姿は強者の風格を感じさせるね。

清澄・・・敗退してたよ

　ツモ　ドラ

　悔しいけれど、ぐうの音も出ないなぁ。ネリーの最後の和了手はメンタンピン三色一盃口ツモドラ1赤2裏1で11飜の三倍満。ネリーにとっては仮に1飜下がって倍満ツモでもチームは余裕でトップ通過だった。だが、咲さんは違う。ネリーの三倍満ツモによって、オーラス親番であった末原さんが12000点を親被りしたからこそ、咲さんは100点差で2位通過することが出来た。あれだけの点差があったのだから、やりようによってはいくらでも和了手を安くすることがネリーには出来ただろう。故にこのセリフは暗に清澄が勝ち抜けできるかどうかは自分のさじ加減ひとつだったと格付けを示す意図が込められている。

　「ネリーの運が良くて助かったね？」なんて最大級の皮肉を織り交ぜてくるヒールっぷりがたまらない。ネリーは末原さんを勝ち上がらせることも可能だった。つまりはネリーにとって宮永咲は脅威ではないと言っているようなもの。決勝で再び相まみえようとも絶対に自分が勝利するという自負があるのだろうね。

よかったよ 末原が上家でさ・・・・・・・・・

　また、末原さんも4巡目に2副露で聴牌をしていた。何を和了っても勝ち抜けだった末原さんからすればこの仕掛けは当然だが、ネリーのツモ番が増えてしまったのは痛かったね。席順が違っていたら・・・なんてたらればをもらしたらキリがないけれど、敗者にかけるセリフとしてはキツイな...。そういえば、前半戦もネリーの上家は末原さんだったね。

　末原さんもかなり健闘したと思うけど、やはり「世界」を知っている相手は強かった。勝者の影に敗者あり。勝負の世界という厳しい現実が演出する対照的な人間模様もまた『咲-Saki-』の魅力の一つ。三年生の2人が敗北し、一年生の2人が勝ち上がった大将戦はより一層、勝負の厳しさが感じられた。姫松・有珠山ファンの読者は控え室描写がどう描かれるのかソワソワものだよね。



　大将戦終了後、ネリーは爽がまだ何か力を隠していることを見抜いていた。なぜ使わなかったのかとネリーが問うと、爽の隠し玉は相手の肉体に直接働きかけるものであり、麻雀で使うべきものではないという理由からだった。　

パウチカムイ

　だが、当のネリーは興味津々。爽の助言を無視し、「いいからやってよ やれって」と爽に命令するネリーが妙に面白かった。会話だけを聞いていると一年生が三年生に対して言っているセリフとは思えない。(笑)

“パウチカムイ は、アイヌ民話に伝わる淫欲を司るカムイ。…（中略）…普段はカムイの世界にあるススランペッ川の畔に居り、男も女も皆全裸で踊りながら過ごしているという。…（中略）…彼らは時々人間界にも現れて踊り人間たちも誘う。そしてその誘惑に乗った者は騒がしく淫乱な性格になり、全裸で走るなどの奇行を行うという。”

パウチカムイ

　ふんふむ。

ふひやっ

　パウチカムイ恐るべし...！！！！！よもや、あれだけのドヤ顔ヒールっぷりを醸し出したネリーにこんな表情をさせるとはね。いかがわしさの化身である。はやりんが「絶対 公式戦で戦いたくない.........」と言っているのも頷ける。試合中にこんなカムイ使われたら、全国放送で見ているカムイとか一切見えない一般の視聴者に「あの子 いきなりどうしたの？」とか思われちゃう。完全に放送事故...(笑)

　戒能プロも似たようなものをいくつか出せると言っているけど、ソロモン72柱の魔神の1柱にして『色欲』を司る「アスモデウス」あたりを召喚できるのだろうか。知らんけど。


　さて、準決勝第二試合を観戦していた白糸台とは対照的に特訓を続けていた阿知賀女子の面々が登場。

予感...

　突如として、大将戦終了を直感する穏乃。いや、時間なんてある程度の目安はあれど局の進行でいくらでもズレるんだから普通わからないッス。

　そして、穏乃が放つオーラに何かを感じ取る咲さんたち。あのすこやんでさえも穏乃のオーラに思わず声を出すほどとは、決勝の穏乃には否が応でも期待がかかる。ネリーへのリベンジ、姉が率いる白糸台高校との邂逅。決勝大将戦の見どころは数多いけれど、殊麻雀に関しては宮永咲と高鴨穏乃が相対した時、その勝負の行方がどちらに転ぶのかは『咲-Saki-』におけるターニングポイントだ。

“深山幽谷の化身――そのしずの相手にして 嶺の上で花は咲くのか”

『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 』 最終局 「軌跡」

　準決勝第一試合を観戦していた衣が咲さんに告げた決勝戦を占うセリフ。咲さんと穏乃は一度として会話を交わしたことはない。でも、この二人が決勝で闘うのはあまりにも運命的であると言わざるを得ない。

“森林限界を超えた高い山の上 そこに花が咲くこともある おまえもその花のように―― 強く――”

『咲-Saki-』 第1局 「対立」

　咲さんにとっての麻雀の原点はどうしたってこの照のセリフにある。咲さんの原点が嶺上開花である以上、山の支配者との対決は必然。そして、決勝大将戦の行く末を見つめる照の瞳には咲さんはどう映るのか。楽しみでしょうがない。



　大将戦に限らず、それぞれの闘いがどうなるのかも楽しみなところだ。準決勝の反省と対戦相手の変更で、また一味違う対局が見れるでしょう。次回は2/5発売号で掲載予定。いよいよ、インターハイも大詰めだね！