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『ガールズ&パンツァー 劇場版』 感想、戦車に通れない道はありません。

2015-11-23 23:10:00 | レビュー
ガールズ&パンツァー 劇場版 感想

 以下、ネタバレを含むのでまだ観ていない方はお気を付けください。



ガルパン 映画


『ガールズ&パンツァー 劇場版』が11/21に公開された。三連休だったこともあり、水戸の映画館で映画を観た後にそのまま土日を利用して大洗の街を散歩することに。

 

シネプレックス水戸






シネプレックス水戸では主要キャラのパネルが並べられていた。映画のシーンを切り取ったパネルも数多く飾られており、さすがに大洗の近くにある映画館だなぁと思いましたよ。西住殿がかわいい。



さて、以下実際に視聴した感想になります。




大興奮

 めちゃくちゃおもしろかった!

もうね、期待以上。観終わった後しばらくは壊れたラジオよろしく、『ガルパン』最高だった・・・。としかつぶやけなくなってしまったほどに大興奮させられてしまった。ただただ神アニメだ・・・!!と言わざるを得ない。諸手を挙げて称賛したい。


臨場感を味わえるカメラワーク




良かった点を挙げたらキリがないが、まずはカメラワークの凄さ。映画の大まかな流れとしては「大洗女子&知波単学園vs聖グロリアーナ&プラウダのエキシビションマッチ→廃校の危機再び→大学選抜との決闘」という流れで、120分のうち6,7割は戦車戦が繰り広げられていたんじゃないかと思うくらいの内容だった。

で、その戦車戦が凄い。普通なら観戦者として戦車戦を観ているわけだけど、巧みにカメラワークを切り替えることによって自分が操縦しているかのような錯覚に浸れるようになっているのが巧いと思った。TVシリーズの時からこういう工夫はなされていたけど、背景作画の綺麗さや音響のリアルさと掛け合わされるとより一層臨場感を感じるのよね。

激しい攻防が繰り広げられる戦車戦を観ているとまさに手に汗握ってしまう。バトルもののアニメーションにおいて、『ガルパン』以上に視聴者が視聴者としての視点だけではなく臨場感を持ってキャラクター達の視点で自分が戦闘を繰り広げているかのように感じれる作品を僕は知らない。そういう意味でも今回の映画はバトルアニメの歴史に残るレベルのクオリティだったとさえ思う。



その関係は信頼?それとも崇拝?




各高校に見せ場があった点。これも良かった。再び廃校の危機に晒され、社会人チームにも勝利したという大学生選抜チームと戦うことになった大洗女子学園の元に、かつてはしのぎを削ったライバルたちが集まる。王道でありながらこれほど見たかった!と思わせる展開もない。


しかも、各高校に焦点を当てながらもTVシリーズでは深く掘り下げることのできなかった西住姉妹の物語にも触れていたのにはbravoと言いたい。『リトルアーミー』を読んでいる人からすると、映画で描かれた幼少期の西住姉妹の姿には感動を禁じ得ない。西住姉妹の仲の良さ、西住まほがいかに妹想いの姉であるのかがわかるシナリオ、そしてラスト。西住姉妹が共闘し、天才少女島田愛里寿に挑む構成。この流れが完璧だった。


戦いの中で西住まほがカチューシャに言い放った「信頼と崇拝は違う」という言葉。これもまた凄くずっしりと響くセリフだった。自分の想い・考えに依らず、「白いものも黒いと、黒いものも白い」と思考を相手に依存するのが「崇拝」で、自分の自立した考えを持った上で相手を頼ることを「信頼」と呼ぶのだと思う。
 

それを踏まえたうえで、クラーラを始めとしてプラウダの選手たち、そしてノンナが身を挺してカチューシャを守ったプラウダ高校の一幕。ノンナたちはカチューシャの命令を無視して敬愛する隊長を助ける。そこにあったのは「崇拝」の関係ではなく、確かに「信頼」の念が込められていただろう。カチューシャの人望の厚さとカチューシャとノンナの絆の深さがうかがえる物語だっただけに目頭が熱くなった。ノンナは本当に良い子...。


そして、ラストのシーンで島田愛里寿を倒した西住姉妹の間にも確かに「信頼」の関係が結ばれていた。まほはみほのやり方を信じている。でも、西住流とは違う形で成長したみほのやり方を「信頼」してはいても「崇拝」は決してしていない。みほのやり方は西住流でも他のどんな流派でもなく、大切な人たちとの出会いの中でみほ自身が見つけた戦車道だ。西住まほが指揮する戦車道とは違う。だからこそ、そこにあるのは「崇拝」ではなく「信頼」なのだろう。



やはり最も熱かったのが目まぐるしい攻防が繰り広げられた最後の決戦の中で見せた姉妹のコンビネーション。二対一でもなかなか崩せない島田流の強さ。クマの遊具が割って入ってこなければみほが撃墜されていたかもしれない描写を見れば、おそらくは共闘しなければ島田愛里寿を倒すことは出来なかっただろう。


でも二人でなら超えられる。これ以上ないくらいにベタな展開だが、これ以上ないくらいに盛り上がった。姉の手を引かれていた妹が姉に背中を押されて飛び出すラストアタック。そして、その時のまほの表情。もう至高だったね。何度見てもあのラストのシーンは感動できる。



本当に良い点を挙げたらキリがないのだけど、TVシリーズで描けなかった部分の肉付けが120%詰まった映画だったというのが率直な感想です。戦車道は人生そのものであるとTVシリーズでも何度も示唆されてきた。


「That's 戦車道! これは戦争じゃない。道を外れたら戦車が泣くでしょ?」「私たちの歩んだ道が戦車道になるんだよ!」「やっと見つけたよ、私の戦車道。」など数多くの名セリフがあるが、そもそも『ガールズ&パンツァー』は西住みほが自分の戦車道を――自分の進むべき道を見つける物語だった。

そして、TVシリーズを経て今回の劇場版でみほが言った「戦車に通れない道はありません。」という力強い言葉。第1話から凄く成長したなと感慨深くなった。みほを中心として様々なキャラクターたちの成長した部分が垣間見える劇場版になっているのではないかなと思う。



市街地戦舞台(ほんの一部抜粋して紹介)


まだ2回しか観ていないけど、あと何回か劇場で観たいなと思いました。映画を観た後、記憶を頼りに大洗の舞台を散策したのけど、市街地戦の戦闘の動線はわかるのに、数ヶ所しか一致する構図を覚えていなかったので、また今度リベンジしに行きたいですし。旧上岡小学校も行きたいな。


6 コメント

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感想、参考になります (kawa)
2015-11-25 03:49:48
素晴らしい感想ありがとうございます。姉妹の回想と最後の戦いの演出、みほの台詞。読ませていただいて、なるほど、と思いました。また観たくなりました。
私も絶賛です (kato_19)
2015-11-26 23:19:14
 初めまして。プラウダ高校の一幕はやっぱり目頭が熱くなりましたね。
バトル中に泣けるシーンがあると思わなかったので不意打ちを食らいました。
ベタといえばベタですが、やっぱり泣けますよね。
 あと、おっしゃる通りカメラワークも良かったですね。特にスコープを通した映像は大画面でも酔うことなく臨場感を高めていましたね。
TVシリーズを踏まえた感想参考になりました。私も感想書いたので良かったらどうぞ~。
http://kato19.blogspot.jp/2015/11/girls-and-panzer-movie.html
Unknown (rie)
2015-11-26 23:45:04
初めましていつも楽しく読ませてもらっています。よくぞ二周でこの考察を! 一度見たきりなので戦況の把握だけで戸惑いました。崇拝と信頼の考察、適格ですね。そう考えるとカチューシャが見せる表情に味がでてくるような気がして……ああこれはまた劇場で確かめねば!
Unknown (うえの)
2015-12-01 12:22:14
映画って凄いなって心の底から思った。音響も演出も作画も本気なんだっていうのが伝わるクオリティ。観た人の感想が「凄かった」になるのは納得だよ。
おもしろかった…でも (紅茶好き)
2015-12-12 02:44:22
迫力、感動、笑い盛りだくさんの面白い映画だったと思う。ただ…気になることも。
(1) 文科省の役人がなぜ口約束を反故にして、世間の悪評を買ってまで大洗女子を閉鎖したがったのかが明確に描かれていなくてモヤッとした。
(2) 戦車戦が迫力ありすぎてTV版とは格段にクオリティ上がってるせいで、時々うわ、これマジもんの戦争だよ、痛いよ、怖いよ、死んじゃうよってちょっと引いちゃいそうになった。
・・・でもちょっとだけね。
Unknown (今更ですが)
2020-06-05 00:06:13
聞いたことはあったのですが、初めて観ました。
うそーんていうくらい面白かったです。
絵が好みじゃないのでどうかなぁと思ったのですが、そんなのどうでもいいくらいストーリーが良かったです。
ちゃんと戦車の紹介もあるし、久しぶりにボーッと見ないアニメでした

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