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ラブライブ!サンシャイン!! 第13話 (最終話)
早いもので、3ヶ月に渡り紡がれてきた『ラブライブ!サンシャイン!!』の物語も先日ついに一旦の幕を閉じました。それぞれ思うところはあるでしょう。感想は自由であっていいのです。かくいう自分も第13話の内容に関して、その全てを手放しで称賛出来る程に成熟できているわけではありません。
でも、第13話を観た人ならわかるとおり、彼女たちの夢――彼女たちの輝きはここでは終わらない。いえ、彼女たちの物語はやっと始まりだしたのです。「μ's」の後追いをしていた「Aqours」が1クールをかけて、他の誰のものでもない自分たち自身の輝きを追い求めるまでの軌跡。全13話をもって描かれた『ラブライブ!サンシャイン!!』という物語は「輝き」に憧れた少女たちがずっと探し続けていた「ユメノトビラ」を開くに至るまでの壮大な序章――青春のプロローグでした。
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私たち、輝きたい!――今、振り返る彼女たちの軌跡(奇跡)
輝きたい!――たったひとりの少女の願いから、『ラブライブ!サンシャイン!!』は産声を上げました。高海千歌はやりたい事も夢中になれる夢も何も持たない普通の少女でした。幼少期からピアノに没頭してきた桜内梨子とも運動神経に優れスポーツにおいて注目の的であった幼馴染の渡辺曜とも違い、ただひたすら転機を待ち続ける普通の女の子だったのです。何もない(と思っていた)田舎町で単調な日々を過ごしてきた少女が、スクールアイドルμ'sという「輝き」に出会います。
普通の高校生であるはずの彼女たちが、同じ夢に向かって仲間たちと手を取り合い、全力で真っ直ぐに「今」を駆け抜ける。その姿に、その在り方に憧れた。だからこそ、第11話「友情ヨーソロー」で語られたとおり、高海千歌にとって輝くということは自分ひとりではなく、誰かと手を取り合い、みんなと一緒に輝くことであったのだし、Aqoursの活動を通して、かけがえのない仲間を始め、自分を取り巻く周囲の環境――浦の星女学院の生徒や内浦の人々のあたたかさに気付いていく。この町には何もなくなんてない――第6話「PVを作ろう」で彼女たちが歌った「夢で夜空を照らしたい」 は、まさにその想いが生みだした曲でした。
『ラブライブ!サンシャイン!!』を数多いる「μ's」に憧れた少女たちの物語から「Aqoursの物語」へと変える転機となったのは奇しくも2度の東京遠征でした。
1度目に突きつけられたのは「0」という現実。高海千歌は初め「μ's」のようになることを夢見ていました。広い世界――現実を知らないままに。そう、「輝き」に魅せられて、夢を追いかける少女たちは自分たちだけではなかった。その現実に向き合い本気で『ラブライブ!』を目指すSaint Snowにとって、あの頃のAqoursは幼い夢物語を描く遊びの域を越えない存在に映ったのでしょう。
その現実に直面した千歌が「悔しい…やっぱり私、悔しいんだよ」と涙ながらに己の心情を吐露し、夢を夢のまま終わらせたくなくいと、「0」を「1」にしたいと、強く願った。あの瞬間こそが、本当の意味で「輝き」への第一歩を踏み出した瞬間だった。
そして、2度目の東京遠征で千歌たちはついに自分たちだけの答えへと至ります。誰よりも彼女たちの輝きに焦がれ、追いかけてきたからこそ、「μ's」の輝きは「μ's」だけのものであって、「Aqours」の目指すべき輝きは「Aqours」がこれから歩いていく道にしかないという答えに。誰かの夢、誰かの輝き、誰かの景色。それを追いかけてもきっと意味はない。自分たちが「0」から作り上げたものを「1」にする。それこそが自分たちだけの輝きなのだと。この答えに辿り着いた時、「Aqours」はようやく「Aqoursとしての物語」を歩み始めました。
そうした、背景を踏まえて今回の13話です。重ね重ね言いますが、賛否はあって然るべき。クラスメイトと共にステージに立とうという発案に関しては確かに些か以上の不安を抱いた人もいたかもしれません。でも、千歌が「みんな一緒に輝こう」と会場にいる観客に手を伸ばすシーンからも読み取れるとおり、高海千歌にとって輝くことは仲間たちと一緒に輝くことを前提としているし、その根底にあるのは、誰の胸の中にも輝きがあり、普通の自分でも――たとえ誰であっても輝けるのだという想いの表れでもあるのです。だから、みんなで輝きたい。それは「MIRAI TICKET」という曲を通じて、彼女たちが僕たちに伝えようとしたことでもあるのでしょう。
最終的には「歌うことが出来るのは事前にエントリーしたメンバーに限る」というルールによって、この発案は達成されませんでしたが、千歌の強い想いを示すという意図が見える演出としては理解できるし、自分たちの軌跡を寸劇という形で披露したことも、PV数が増えても入学希望者が「0」であったことから、「Aqours」という存在だけでなく、「Aqours」が生まれた土地である内浦の素晴らしさを知ってもらいたいという想いが込められているのがわかります。
「μ's」からの卒業を経て、千歌たちが全力で「Aqours」として走り続ける姿が、浦の星女学院の生徒たちを動かし、みんなと一つになって作り上げたステージで「0」から「1」へと至る。最終話において、描きたかったことがここに集約されているのだと思いました。
会場の中央で輝くAqoursを観客席から応援するクラスメイトたちの姿は、高飛び込みで注目を浴びる曜をプールサイドから離れた場所で見つめていた頃の千歌と重なるし、だからこそ千歌が一緒に輝こう!と観客席にいるみんなへ手を伸ばし、みんながステージ(=輝きの中心)に向かっていくシーンには大きな意味があるのです。これを踏まえても、この演出は素晴らしいと思えるものでした。
全13話を振り返って、『ラブライブ!サンシャイン!!』 は本当に良く出来たアニメだったと思います。冒頭でも触れたけれど、彼女たちの物語はこれからやっと始まるんです。「Aqours」が「Aqours」として、輝きに向かって走り続ける物語が再び描かれる日が楽しみでしょうがない。そんな未来への期待を抱かせる最高の物語だったと胸を張ってそう思える作品でした。彼女たちの軌跡が奇跡へと至るその物語をこの目で見たいのです。
クラスメイトたちと一緒にステージに立とうとしたことも含めこれがみんなで輝くことを意図した演出なのは理解できるのだが、その意図を描くにあたりもう少し巧いやり方があったのではないかと。「10!」コールも人によってはやり過ぎだと思うだろう
気持ちはわからんでもないけど、言うは易く行うは難しなんだよなぁ。。。2期に繋がる良い最終回だと思ったけどね〜