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#2 雨の音
「みんな色々個性があるんだなぁ」とは、1期5話における千歌の言葉です。そしてそれは、「それぞれ特徴があって魅力的」なものなのだと。
今回はまさにその、"個性が集まって生まれるもの"を主題に物語が描かれていました。
新しい目標
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最後の最後まで自分たちができることをやると誓った千歌たちは、再び鞠莉さんの父親に自分たちの意志を伝えます。そして、そんな彼女たちに提示された学校存続のための条件は、年末までに入学希望者を最低100人にすること。
具体的な達成目標が明確になったことは前進ですが、現状で3学年合わせて74人しかいない浦の星女学院に、およそ3ヶ月程の期間で、100人の入学希望者を集めるという条件は、常識的に考えれば事実上、諦めろという宣告と似たようなものでしょう。
それは千歌たちが痛いほど理解していることです。たくさん悔しい想いを経験して、「0」を「1」にした千歌たちにとって、「100」という数字が意味する大きさはあまりにも重く彼女たちにのしかかってくる。
でも、いまの彼女たちにとって、それが可能か不可能かを考えることに意味はないのです。そこにあるのは、やるかやらないかという選択だけ。そして、たとえそれがほんとうにわずかな可能性であっても、可能性があるかぎり、自分たちのできることを最後までやりきることこそが、Aqoursが選んだ「未来」なのですから。
Aqoursの個性
これまでのAqoursの活動はどうしても発起人である2年生3人組が屋台骨となって成立していたことは否めません。普通であるがゆえに人一倍秘めた思いの強い千歌が作詞をして、ピアノをやっている梨子が曲を作り、制服好きの曜が衣装を手掛ける。
その2年生3人を1年・3年生6人が支えることで、これまでのAqoursは成り立っていました。もちろんこれも「個性」を生かした役割分担ですよね。ゆえに、Aqoursらしい曲が自然と出来ていたのかもしれません。
しかし、ラブライブ!という大会で披露する曲が「未発表の曲」に限られるというルールがある以上、学校説明会も控えているAqoursにとって、この役割分担では限界があります。
よって、学校説明会用の楽曲を2年生が作り、ラブライブ!用の楽曲を1年生・3年生が作ることに決まりますが、事はそう簡単に上手く運ぶものではありません。
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詞のコンセプトについて話し合えば、「無」の概念について揚々と語る花丸ちゃんとそれに迎合する善子に3年生が難色を示し、鞠莉さんが以前から温めていたインダストリアルメタルでハッピーな曲を披露すれば、そのノリに全くついていけない1年生。
「新たなチャレンジ」、「お琴」、「無の境地」。集まった個性はそれぞれがバラバラな音を奏でるように、お互いを否定し、全く噛みあう様子はありません。そして、親睦を深めるために提案された「ドッジボール」や「読書」もお互いの個性の違いをより浮き彫りにするものでした。アウトドア派の3年生とインドア派の1年生では、得手不得手も趣味嗜好もまるで違っていたのです。
寄り集まった個性を束ねることは確かに容易ではありません。それが真逆の性質を持っているのであればなおさらです。そもそも、個性とは他の人とは違うその人のパーソナリティーですから、誰かの個性に合わせるという手法がことごとく失敗していくのは仕方がないことでもあるでしょう。
それでは、バラバラの個性を「ひとつ」の音にするにはどうすればいいのでしょうか...?その答えは「雨」の中にありました。
雨に宿る音
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『ラブライブ!』に限らず、あらゆる作品で用いられるメジャーな手法ですが、「雨」は逆境や涙のメタファーとして用いられます。
お風呂まで入った6人ですが、長風呂好きの1年生とは対照的にゆっくり湯船に浸かることを退屈に感じる3年生という構図は変わらず、彼女たちもそれぞれ性格の違いが大きいことを痛感します。
だからでしょう。あらゆる手を尽くして、それでも万策が尽きたという彼女たちの心情を見事に表現するように「雨」が降り始めてきました。そして、彼女たちは「雨宿り」を始めます。
曲作りが難航するように、強く降りつける「雨」。そんなとき、彼女たちの心を映し出すように、天井から「雨」が降り注ぐのです。
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そして、天井から降り注ぐ「雨の音」を聴いて、彼女たちは答えに気付きます。桶にお皿にお茶碗とそれぞれ違う受け皿にしたたる雨はそれぞれに違う音色を奏でていました。テンポも音色も大きさも違うその雨たちは「ひとつ」「ひとつ」確かな音を奏でながらも、確かに調和して、「ひとつ」の曲を作っている。
それぞれ違っていても良いのです。学年も趣味も性格も違う彼女たちに必要だったのは、お互いの個性を否定することでも無理に合わせることでもなく、よく知ることだった。大切なことはそれぞれが奏でる「音」をきちんと知ることなんです。「ひとつ」「ひとつ」に音があって、色があって、それぞれ違うということを理解して、初めて「ひとつ」の曲の良さがわかる。
それは、高海千歌と桜内梨子の関係を見ても顕著でした。彼女たちは生まれ育った環境はもちろん、歌詞の催促を巡るやり取りの数々からも、性格の違いが如実に描かれています。千歌の個性(=音)と梨子の個性(=音)は確かに違う。
それでも、千歌の作る詞と梨子の作る曲は確かな調和をもって、「ひとつ」の曲になるのです。それは、冒頭でも示したように千歌が「ひとつ」「ひとつ」の個性を肯定し、魅力的だと捉えているからなんですよね。そして、その千歌の想いを聞いた梨子も「やっぱり ヘンな人ね...」と微笑んでいました。
ゆえに、今回この課題に2年生組が加わることはありません。それは、2年生組を交えることなく、6人だけで答えに気付くことに大きな意味があるはずだから。
教えてくれたのは「雨に宿る」音でした。「雨」はただその後に訪れる「晴れ」を描くためだけのものではありません。「雨」が降らなければ生み出せないものがある。
彼女たちの個性が生み出したもの。それは、様々な色に彩られた「虹」色の輝きだったのです。
今回も楽しく読ませてもらいました。
1話とは変わって全般ギャグ、最後にちょっとホッコリという、非常にラブライブ!っぽいなと感じる回でしたね。
とても私好みのお話でした。
1期の時から、1年生と3年生の持つ強すぎる個性は気になっていたのですが、今回はそれを上手く逆手に取ったお話だな、というのが感想でした。
面白いなと思ったのは、散々水と油のように描かれた1年生と3年生の個性ですが、千歌はどちらとも上手に付き合っているな、という点でした。アウトドアの果南とも、インドアの花丸や善子とも、千歌は相手に合わせて上手に付き合えている印象なんです。
普通である、ということは無個性にも思われがちなんですが、考え方を変えればいろんな音に合わせられるってことなのかもしれません。
穂乃果は強烈な個性で引っ張るリーダーで、千歌は相手に寄り添えるリーダー、というのは1期の頃から言われてましたが、その一面を感じられた気がしました。本人あまり登場しなかったのにw
今回でまた一つ絆が深まったAqoursが魅せてくれる次のライブがとても楽しみです。
また次回の感想も楽しみにお待ちしてます。
確かに、衝撃のあった1話と比べて、より彼女たちの日常的な描写が多かったこともあり、コメディ的なシーンも見受けられましたね。千歌ちゃんの歌詞ノートのくだりは思わず笑ってしまう一幕でした。
ご指摘どおり、Aqoursのメンバーは個性的だなと思う一面がそれぞれにあって、特に1年生と3年生は際立っていますよね。
それでも、Aqoursが同じ方向を向いてこれまで歩いてくることが出来たのは、千歌ちゃんが彼女たちと同じ歩幅で歩くことが出来るリーダーだからということを感じずにはいられませんよね。
中心にいた2年生組が一度、離れて行動することでよりそのことを実感できた気がします。
9人の個性がどんな音を生むのか、改めて次週が楽しみになりましたね!
一連の雨による解釈にはすごく納得させられました。こういう見方も出来るんだと読みながら驚きつつさすがだなと。
2年生たちが今回の1.3年生が抱えた問題にあまり関与しなかった理由をメタ的にではなく、物語の文脈からロジカルに考察されていてとても納得がいきますね。
次週はついにライブ回でしょうか。3話楽しみですね。
感想もたのしみにしております。
またまた骨太な内容に舌を巻いております笑。
雨による負のメタファーを受け入れるという手法はラブライブ!における「雨やめー!」の対比の位置付けと捉えて良さそうですね。奇跡の力を持って雨を止ませる穂乃果と雨の中から自分たちの音を見つけるAqoursという構造はなるほどおもしろいです。結果的に晴れ間が見えても彼女たちの歩んでる道は違うんですね。
千歌と梨子の関係の答えを6人の答えに結びつけて読み解かれていられたところは非常に感嘆しました。
雨という、本来は負のメタファーとして使われる要素を
自分たちの輝きに繋げるAqoursの強さを感じましたよね。
3話も楽しみです!
たしかにμ'sとの対比をここで見ることも出来ますよね。雨を受け入れることで虹を作る彼女たちの道が果たしてどこに繋がるのか。3話でそのひとつの入り口が見えるかもしれません。楽しみですね。