ふわふわな記憶

日々精進。

だから、僕らは未来をつかみにいくんだ。――ラブライブ!サンシャイン!! 2期1話 感想

2017-10-09 11:45:00 | ラブライブ!サンシャ...

#1 ネクストステップ





ついに、再び彼女たちの物語が始まる。

輝きに手を伸ばす「夢」を見ていた千歌が、1期の第1話を思い出させるように、遅刻に慌てるところからシーンは始まります。



Aqoursは全国大会には進めませんでした。惜しかったし、確かに残念ではあるけれど、誰ひとりとしてあの日のステージを悔いる様子はありません。

それもそのはず。彼女たちにとって、あのステージは「みんな一緒に輝こう」を体現できたから。そして、その輝きで「0から1へ」を確かに達成したステージだったからです。


そして、入学希望者も「1」が「10」になった。彼女たちにとって、より大切なものを得ることが出来たのです。Aqoursの9人にとっては、ただ全国大会という「結果」が付いてこなかっただけに過ぎない。


花丸ちゃんの言う通り、「過ぎたことを いつまで言ってても 仕方がない」程度のことでしかないのです。だから、「過去」を振り向く必要はありません。

自分たちのやり方で、自分たちが心からやりたいと思えることは、「これから」先にある。ゆえに問題はない。今までのように自分たちが信じた道をまっすぐ歩いていくことに全力でいられる。

 


しかし、鞠莉さんから伝えられた一言によってあまりにも大きすぎる問題が起きてしまったことを知ります。








説明会の中止と統廃合の決定。あまりにも突然もたらされた事実に千歌は言葉を失います。

0を1にして、10にまでなった。それでも、足りなかった。



小原鞠莉というおんなのこは、誰かのキラキラとした笑顔(シャイニー)を とても大切にする人です。落ち込んでいた曜を放っておけない優しさ、いつも明るくみんなを盛り上げてくれるそのふるまいは、たくさんの笑顔を生んできました。


みんなが知らないところで「理事長」として全力でこの学校を守ってきたのも彼女です。大好きな学校を失いたくない。みんなが笑顔でいられる場所を失くしたくない。だから、Aqoursという活動の裏側でも彼女はずっとひとりで闘ってきた。


そんな彼女だからでしょう。溢れ出る悔しさを押しとどめて「ごめんね...」とそう口にする姿を見てしまえば、まざまざと実感してしまう。あぁ、「統廃合」はもう決まってしまったんだと。

放っておいても人が集まる東京と駿河湾のかたすみにある内浦とでは、何もかもが違う。わかっていたはずの「現実」は、それでも彼女たちが考えていたよりもはるかに早く、そして深刻な状況になっていました。



検討されている「廃校」を阻止することと、決められた「統廃合」を覆すことは、その意味も難しさも全く別のものです。


よしみ・いつき・むつの3人も説明会のポスターを片付けながら「もしどうにかできるなら千歌たちがとっくに動いてるよ」とつぶやきます。


Aqoursは浦の星女学院にとっての希望であり星でした。そのAqoursが学校のために頑張ってくれたけれど、「統廃合」は決まってしまった。だからこそ、いま起こっている現実が自分たちの手ではどうすることも出来ないことだと、否応なく痛感させらてしまう。

 







そして、それは千歌自身が痛いほど理解していることでもあります。決まったことを覆すことはあまりにも難しいのだと。


だがら、彼女は初めて「過去」に目を向けます。「勝つこと」にこだわって、予選を突破して、本大会出場という「結果」が出せていれば、学校を救うことが出来たのか、と。

自分たちだけの「輝き」を探して、Saint Snowとも話をして、確かにそのやり方に違和感を覚えたはずなのに、別のやり方で自分たちの道を進んでいこうと思ったあの選択は正しかったのか、と。




そんな千歌の心の迷いを見抜いていたからでしょうか。梨子はあの浜辺で千歌に語り掛けます。








1期1話で自分の音を見失った梨子にスクールアイドルの想いを語ったのは千歌でした。だから、今度は梨子が自分の道を見失いかけている千歌に想いを語る。


梨子は言います。「私ね こうなったのはもちろん残念だけど ここまでがんばってこれてよかったって思ってる 東京とは違って こんな小さな海辺の町の私たちが ここまでよくやってこれたなって」と。

かつて千歌が「私は良かったと思うけどな 精一杯やったんだもん 努力してがんばって 東京に呼ばれたんだよ それだけですごいことだと思う」とそう口にしたように。


高海千歌はみんなを落ち込ませたくなくて少し強がってしまうリーダーでした。

ゆえにこれが梨子なりの励まし方なのでしょう。本心なわけがないのです。

だからこそ、千歌のいまの素直な気持ちを確かめるにはこれ以上ない言葉になる。

桜内梨子は高海千歌というおんなのこをそれほどまでに理解しているんです。



でも、どうしたらいいかわからない。説明会は中止になって、学校もなくなる。

学校が大好きだと、この場所の良いところをもっともっとたくさんの人に知ってもらいたい。そう気付いてからのAqoursの活動の意味は浦の星女学院そのものにもありました。

0が1になって、10になったのに。いま、まさになにもかもがなくなろうとしている。


でも、諦められないんです。諦められるわけがない。まだなにもできていないんです。

足掻いて、もがいて、最後の最後まで自分たちができることをやりたい。



だって、0という「現実」を嫌という程に突きつけられたあの日、高海千歌は涙とともにこの海の前で誓ったのです。0を0のままで終わらせないと。海のように広大に広がっている「未来」――先にあるものを自分の目できちんと見ていくんだと。


だからこそ、統廃合の決定を「過ぎたこと」には出来ない。本当に一瞬だけど「輝くこと」がどういうことなのかわかりかけてきたばかりなのに、ここで立ち止まるわけにはいかない。


立ち止まれば、浦の星女学院もAqoursもここで終わってしまう。このままではいられないんです。そこに「未来」はないから。




だから、彼女は再び走り出し、そして誓うのです。自分たちの「未来」をつかむために。「起こしてみせるキセキを絶対に それまで泣かない 泣くもんか」と。

もう、涙は流さない。「奇跡だよ!」と言っていた高海千歌はもういません。力いっぱいの逆上がりは、どんな逆境もひっくり返せるという強い意志。太陽が昇っていくように、彼女たちの物語はまたここから始まる。「夢」を「夢」のままで終わらせないために。


そう、奇跡のように舞い降りた羽根ではなく、自分たちの意志で前へと飛ばし、輝きに向かって飛んでいく、まるで紙飛行機のようなキセキを彼女たちは起こしにいくのです――。


12 コメント

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奇跡は待つのではなく起こすもの (たくみ)
2017-10-09 14:12:15
第1話の感想、お疲れ様でした。
ひとつひとつの場面を丁寧に振り返った読み応えのある記事でした。
普通怪獣りこっぴーのところは私も1期を思い出して感じ入るところがありましたね。お互いを支え合う千歌と梨子の関係は素晴らしいなと思います。

そして千歌の成長ぶり。
受身である「奇跡だよー!」から自分たちで「奇跡を――!」起こそうと決意する場面は、本当に素敵な流れでした。
この対比がとても彼女の心が成長していることが分かるシーンで、頼もしさすら覚えるほどでした。
りこっぴーもそうですが、明らかに1期の1話を意識した構成になっていて、多感な時期の少女たちが成長している姿を上手く魅せているな、と、この記事を読んでいて改めて思いました。

そんな千歌とAqoursのこれからの展開が楽しみです。
また2話以降の記事も楽しみにしています。
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Unknown (ふわふわ)
2017-10-09 14:33:58
たくみさん、コメントありがとうございます。
もう本当にその通りで、これまでの物語と対比をすることで彼女たちの成長をとても強く感じさせてくれる内容だったのが凄く良かったですね~。

これから始まる彼女たちの物語がどうなっていくのかさらに楽しみが増していきました。彼女たちの想いに寄り添っていけるような記事を書いていきたいと思っていますので、2話以降の感想もお読みいただけたら幸いです。
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Unknown (とおの)
2017-10-09 18:31:17
久しぶりに感想ブログを読んで涙しました。
言葉選びのセンスもさることながらキャラクターたちの視点で物事を捉えるロジカルな文章がとても読んでいて響くものを感じます。

ラブライブ!2期の1話と比較してもとても楽しめる話だったのが良いですね。絶望にも近い状況に立たされながらも希望を捨てずに挑んでいく。ラブライブ!の1話らしい1話になっているのが凄いなと感心させられました。
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千歌の涙 (レノ)
2017-10-10 12:47:13
ブログを閲覧させてもらいました。
一応ライターの端くれをやっておりますので
日々文章とにらめっこしておりますが、ブログ管理人様の言葉の使い方見習わなければいけないと思った箇所が多々ございました。

1期第8話の涙のシーンと照らし合せて今回のストーリーを読み解かれていたところはずっと頷いておりましたし文頭の夢と文末の夢に繋げていらっしゃるところも文章に味が出ていて凄く良いですね。続く物語の感想も楽しみにしております。
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Unknown (Unknown)
2017-10-10 19:50:16
素敵な感想ありがとうございます。
あの浜辺での千歌と梨子のやり取りは秀逸でしたね。あの一幕だけでもこの2人の相性の良さがとても良く表現されていて凄いなと感じた次第です。
9人のキセキを楽しみにしていきましょう!
2話の感想も心待ちにしてます!
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夢は消えない (はまの)
2017-10-11 00:03:21
感想読みましたー!
ラブライブ!サンシャイン!!がいっぱい詰まった1話だったので胸熱でしたね。

”夢を夢のまま終わらせないために”

本当にこれだなぁと。EDの「夢は消えない」ともかかっていて非常に納得させられました。記事を読んでから再度視聴してみるとOPの千歌ちゃんたちも「未来をつかみにいく」ような振りがあってさすがによく見ているなーと。これから楽しみすぎます!(^^)!
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Unknown (ゆさ)
2017-10-11 09:57:26
泣きっぱなしの1話でした。
また0から始まるんですね9人の物語は。
ブログを拝見して1期8話の千歌ちゃんの涙のシーンを思い出して感慨深くなりました。

P.S.
ひとつよろしければお伺いしたいのですが
奇跡とキセキの表記を分けていらっしゃるのは
どのようなお考えからでしょうか。
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Re:Unknown (ふわふわ)
2017-10-12 11:07:46
とおのさん、コメントありがとうございます。
とても楽しい1話でしたよね。現実の厳しさに直面して、だからこそこれからの彼女たちの歩みに期待がかかるという演出になっていたのは本当に1話らしい1話といえるかもしれません。彼女たちがどんなキセキを起こしていくのか3ヶ月見守っていきましょう!
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Re:Unknown (ふわふわ)
2017-10-12 11:19:52
レノさん、閲覧頂きありがとうございます。
ライターの方にそうおっしゃって頂けると大変恐縮ながら嬉しい気持ちです。励みにさせて頂きます。


今までの物語と過去の物語を照らし合わせて、物語に深みを生み出していくのはラブライブ!の特徴のひとつですが、何よりもそれは時間の流れを強く意識して脚本を作られているからなんですよね。あのときの経験から彼女たちが今この瞬間なにを想うのか、その結果どう行動するのか、それを丁寧に考えられているからこそそのときの彼女たちに感情移入ができる。

だからこそ、1年間という時間の中で彼女たちがどう成長していくのかという過程に僕たちはこれほど惹きつけられるのだと思います。2話以降も楽しんでいきましょう!
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Re:Unknown (ふわふわ)
2017-10-12 11:26:21
はまのさん、コメントありがとうございます。
タイトルを初めに考えるとき、OPの千歌ちゃんが手を広げるシーンがとても印象に残っていて、そのときの千歌ちゃんのワンシーンに合うタイトルはなにかを考えたらこうなりました、、、笑。

EDの夢は消えないの部分が凄く好きで、
「現実」(統廃合)と「夢」(キセキ)の対比を書いていきたいなと思ったのがきっかけです!

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