食べる・飲む・乗るドイツ

フランス生活を終え,何故かベルリンに来てしまった日本人の防備録.

鍵盤の皇帝

2007-12-31 21:30:48 | 聴く・弾く
本日のメニュー:友人宅で夕食のため,未定.

もう大晦日ですか.今年はいろいろありましたぁ.というわけで,総括です.

<嬉しかったこと>
・引っ越ししたこと.おかげで日曜大工が苦にならなくなりました.
・オペラ・ガルニエでの歌舞伎を観たこと.
・アメリカの学会に参加したこと.
・その際,カナダはトロントに寄り道してAさんとSちゃんに会えたこと.
・オランジュの古代劇場でオペラを観たこと.
・遂に!クルマを買ったこと.
・某ドラマのおかげですっかりクラシックファン.
・母と弟が遊びに来てくれたこと.
・何はともあれ,Eちゃん誕生!

<残念だったこと>
・引っ越しが大変だったこと.
・Chさんのご両親が遊びに来られなかったこと.
・Luciano Pavarotti の死.こっちにいれば1度くらいは聴きに行く機会があるかなぁと思っていましたが,残念です.
・Oscar Peterson の死.

Oscar Peterson はボクにとってアイドルの1人です.初めて聴いたのはCDではなく,BSで放映されたビデオでした.60年代のBBCでのライヴ録画ですので,「The Trio」全盛の頃でしょう.
いやー,すごかった.「You're my heart's delight」という本来はムーディな曲なんですが,超ハイテンポ,すごい音数,あんな怒濤のピアノはそれまで聞いたことがありませんでした.あのテンポについていける Ed Thigpen(ds)とRay Brown(b)にも驚かされるばかり.その後いくつかCDを買って聴きましたが,上記の映像を越えるものを見つけることができませんでした.あるとき叔父さんとジャズの話になって「日本公演を聴きに行った」と聞かされ,本当に羨ましかったものです.

ということで,Oscar Peterson はCDで聴くより映像つきで聴いた方がいいでしょう.DVDもいくつか発売されています(Jazz 625のものもあります)ので,興味のある方は是非どうぞ.

イタリア米は江戸っ子

2007-12-30 21:29:25 | 食べる
本日のメニュー:豚の角煮.

昨日は中華系スーパーで今年最後の買い出し.

普段はパリ13区にある Tang Frères に行くのですが,今回はクルマだったので郊外にある支店に行ってみました.初めて行ったのですが,駐車場にはサクッと入れたし,お客さんの数もパリの店に比べると圧倒的に少なくて買い物しやすかった.今後はこっちの常連になりそうです.

中華スーパーに行くと必ず買うのが,米.しかも今回はクルマで行ったことをいいことに,普段買う1kgパックではなく,どどーんと10kgパックを買ってみました.
写真がそれです.その名も「日の出」という米です.日本米のようで実はイタリア米です.

しかしなんでまたこんなパッケージにしたんでしょうか.蔵作りの建物を背景に立つちょんまげの人.穏和な顔つきや着こなしが庄屋さんっぽいなぁと思ったら,腰には刀を差しています.侍だったのね.
でも一番面白いのは Shinode の文字.「日の出」を江戸訛りで読むとは粋ですなぁ.「こちとら江戸っ子ヨォ!」という感じでしょうか.

ちなみにこのお米,あまり美味しくはないです.日本食材店に行けば日本米やカリフォルニア米も買えるのですが,高くて手が出ません.「日光」という米(やはりイタリア産?)の方が美味しい上に値段も「日の出」並みとSさんから教えていただきましたが,Tang Frères には置いてないんですよね.

さて,10kgパックを買ったはいいが,部屋に戻ってから置くところがないことに気づきました.んー,どうすっか...米櫃代わりにポリバケツでも用意するかな.

子供も香りのおしゃれを

2007-12-25 06:50:36 | フランス
本日のメニュー:生牡蠣,鴨の胸肉のロティ・マーマレードソース.手作りプリン.

クリスマスの季節になりました.昨日・今日とちょっと買い物に出かけてみましたが,なかなかの人手ではあるものの,いまいち活気がないような気もしました.ラジオを聞いていると,消費者の購買力が落ちており,それが小売店などの売り上げに表れていると言っているので,ボクが受けた印象もあながち間違ってはいないのかもしれません.

ところで,Eちゃんが生まれて約3ヶ月が経ちました.早いものです.先月の市内報にEちゃんの名前が載っていたのが嬉しかったですが,数日前には今度は市役所からプレゼントをいただきました.

興味深いのがその中身.なんと香水です.「ぞうのババール」が描かれた綺麗な化粧箱に収められています.赤ちゃんの誕生プレゼントに贈るものとしては,日本では絶対あり得ない選択だと思いませんか.いやー,実にフランスらしい.
香りもふんわりとしたなかなかのもの.まぁすぐには使わないかもしれませんが,今度外出する機会にでもEちゃんにつけてあげようかと思います.

さて,ボクの母ももうすっかり「おばあちゃん」になっています.目尻もたれっぱなし.Eちゃんもおばあちゃんの腕の中では機嫌がいいので,相思相愛でよかったよかった.

テロワールとは

2007-12-23 21:52:55 | 食べる
本日のメニュー:ミラノ風カツレツ・トマトソース(今日は仔牛).

ウチの母と弟が来ているのに旨いものを食べさせないわけにはいかない,というわけで,サン・マロとモン・サン・ミシェルは観光以上に食い物紀行でした.

まずはサン・マロでお昼に入ったのがそば粉のクレープ屋さん.以前来たときに入って美味しかったお店です.
相変わらず魚介類の入ったクレープが美味しかった.同じくこの地方特産のシードルも大変美味.パリのスーパーで買える大量生産のシードルとは味が全く異なります.
もうちょっと食べようということで,デザートクレープの前にちょっと気になるクレープを頼んでみました.なんと塩とバターしか入っていない,いわば「素のクレープ」.これが衝撃的! ありゃおそらくゲランド産の塩ですね,そばの香りが引き立って,クレープ本来の味が口の中でドカーンと広がります.クレープの味によほどの自信がないとメニューに載せられないんじゃないかと思います.いやー,びっくりした.

夕食はモン・サン・ミシェルから車で10分ほどの小さな田舎村にぽつんとあるお店.でも内装は大変清潔で美しく,居心地のいいお店でした.食事もなかなか.季節がら魚介類が中心で,特に1人前で1ダース配膳される生牡蠣にウチの母は度肝を抜かれていました.弟は当日の狩りで獲れた鳩(!).これもまた日本では食べられないお皿ですのでよかったです.

ところで,この旅の一番の目的は実は子羊だったのです.モン・サン・ミシェル近くの沿岸で飼育される Agneau pré-salé ですね.でも上記のレストランのメニューになかったのでダメ元で聞いてみたら,「季節じゃないですよ」と一蹴されました.子羊の生まれるのが年明けで,ある程度育って市場に出回るのは春先なんだそうです.自然のものだもの,当然といえば当然.

でもやっぱり諦めきれず,宿泊先のご夫婦にどこかで買えないか聞いたところ,「町の中にあるお肉屋さんが今日開いているはず」と教えてくれたので,チェックアウトしてから早速行ってみました.そうしたら,あった! 店の奥にある冷凍庫から出してきてくれました.それを包んでもらって,モン・サン・ミシェルを観光したのち,自宅に戻ってから弟の調理でロティにして夕食に供しました.やっぱり旨い! 羊独特の臭みが全然ない.結構大きな固まりを買ったのですが,あっという間に平らげましたとさ.

それぞれの地方にはその地方独特の味覚がある.このテロワールの豊かさこそフランス一番の魅力と言ってしまっても過言ではないと思います.パリでは絶対味わえない味がそこにはあります.

モン・サン・ミシェルは日没がいい

2007-12-17 19:06:19 | フランス
本日のメニュー:鍋の予定.

金曜日から母Kと弟Tが日本から遊びに来ています.

早速この週末にドライブに行きました.目的地はサン・マロを経由して,モン・サン・ミシェル.
宿泊先はモン・サン・ミシェルのすぐ近くに手配.それで,日没直前に一度寄って写真に収め,それから夕食に出かけてその帰りにまた寄って夜のモン・サン・ミシェルを見て,翌朝早くに再度出かけていって中を散策と,都合3回行きました.

かなり寒いので普通は冬に行くところではないですが,天候に恵まれたこともあり,却って観光客が少なくてゆっくり散歩できてよかったです.

特に,路線バスが終わってしまう日没後のモン・サン・ミシェルを見たことがある人は案外少ないのではないでしょうか.海の真ん中に幻想的に立ち上がる姿はなかなか感動的です.日帰りツアーもありますが,ここは1泊して行くのが吉と理解しました.パリからだとクルマで4時間近くかかるので結構大変ですが,レンヌ辺りまで電車で行ってそこからレンタカーを借りるのがベストかもしれません.

結婚は体力

2007-12-10 07:12:47 | フランス
本日のメニュー:カサゴの煮付け.

土曜日にJJとMさんの結婚式に参加してきました.

凛々しいJJと着物姿のMさんの晴れやかな笑顔が印象的でした.ここで改めてお2人の門出を祝したいと思います.

ところで,フランスの結婚式というのは日本のものと比べるとだいぶ手順が異なります.多少のバリエーションはありましょうが,以下にその一例を記したいと思います.

まず向かうは市役所.ここで婚姻届を出すわけです(le mariage civil といいます)が,日本の場合と違って親類や友人も同席します.何故かというと市長が直接本人の前で婚姻を証明し,その際ちょっとしたセレモニーがあるからです.完全な事務処理である日本の婚姻届とは全く異なります.

それから,新郎新婦がクリスチャンの場合は教会に行きます.そこで神父に結婚することを認めてもらうわけです.これを le mariage religieux と呼びます.
フランスでは敬虔なクリスチャンは少なくなってきてはいるようですが,それでも自分がクリスチャンの場合は結婚相手もクリスチャンでなければならないと考える家族は今も多いようです.それで,結婚を機に洗礼を受ける人もいるみたいです.しかし成人の場合は洗礼を受けて終わりというわけではなく,教会で勉強会みたいなものに参加しなければならないんだそうです.仕事場の同僚にそういう人がいて,教会に行くための時間のやりくりが大変だとぼやいていました.
ちなみにJJとMさんの場合は教会でのセレモニーはなし.

それから披露宴ですね.日本の場合はお昼から夕方にかけて披露宴があって,夜は友人だけで場所をかえて2次会・3次会をするということが多いと思いますが,フランスでは夜7~8時くらいの夕食から始まって,同じ披露宴会場で親類も友人も一緒に翌朝まで踊り明かすのが普通です.

ということで,フランスでの結婚は市役所・教会・披露宴と全部を丸1日でこなすことになります.結構体力勝負ですね.

ちなみにボクとChさんはEちゃんがいるということで途中でお暇したので,朝まではいませんでした.JJが踊っているところを見そびれたなぁ.(^^)

懐古趣味かマーケティング崩れか

2007-12-08 06:16:05 | 乗る
本日のメニュー:鶏の唐揚げ.

今年は日本およびRJCカー・オブ・ザ・イヤーに小型車が選ばれましたが,欧州カー・オブ・ザ・イヤーにも小型車が選ばれました.以下は今年のランキングです:

1.Fiat 500(385点)
2.Mazda 2(325点)
3.Ford Mondeo(202点)
4.Kia Cee'd(166点)
5.Nissan Qashqai(147点)
6.Mercedes C-Klasse(128点)
7.Peugeot 308(97点)


しかし,ボクは Fiat 500 が選ばれたことに素直に納得できないでいます.

Fiat 500 が魅力的なクルマであることは否定しません.何度か走っているところや駐車されているのを見かけましたが,このクルマの周りだけぱっと華やいだ感じがあるのが分かります.このように見るだけでも楽しいクルマの登場は久々のことではないでしょうか.

しかし,技術的視点で見れば,パッケージングは二の次ですし,シャシやドライブトレーンはパンダからの流用なので特筆すべき点は見あたりません.
そしてなにより,50年前の Nuova 500 のデザインをそっくりコピーしたような形が一番賛成できません.あまりに安易にすぎるのではないでしょうか?

この「過去の銘車」のデザイン・ヴォキャブラリーを現代風にアレンジして取り入れるという手法は VW のニュービートルあたりから始まったと理解しています.しかしニュービートルの場合,元祖ビートルの雰囲気を持ちつつも,いかにもコンピュータでデザインしましたという感じをあえて隠そうとしなかったという点で評価できます.それから BMW ミニも同じ流れを汲むと言えますが,ニュービートルよりずっと懐古趣味にボクの目には映るという意味で Fiat 500 に近い.

温故知新とはよく言ったもので,過去の遺産を継承しつつ,近い将来に対する何らかの提案をすることこそエンジニアやデザイナーの腕の見せ所ではないかと思うのです.ただのコピーではなく,そこに自分なりの新しい解釈を滑り込ませる.そうして初めて新たな魅力がにじみ出てくる.

一方で,マーケティングの結果として生まれてくるクルマも世の中にはたくさんあるわけで,こうしたクルマが面白いものになることはほとんどないことも,現代自動車史が証明してくれているようにも思います.

例えば,今年は Fiat 500 のよきライバルとも言える Renault Twingo がようやくフルモデルチェンジを果たしましたが,はっきり言って初代と比べて魅力は確実に劣ると思います.その証拠に欧州カー・オブ・ザ・イヤーではノミネートはされているものの,ランキングは圏外もいいところです.
初代はコンパクトなのに伸びやかなプロポーションがフランス車らしく,それでいてかわいらしくて,しかも乗ると窓が広くて明るく,パッケージングも秀逸で実用車としても高得点.少なくともフランス本国では大成功を収めたクルマでした(それでなかなかモデルチェンジできなかったんでしょうね).
しかし2代目は,「んー,衝突安全性能は上げねばならんな.全長のばすか.ヘッドクリアランスも増やさないと.んじゃ全高も上げるべ」ってんで,クルマのディメンジョンを変えていったら,初代の面影はすっかり消え去って,むしろシトロエン C2 にそっくりになっちゃった...てなことなんではないかとボクは勘ぐっています.しかも Fiat 500 と比べるとだいぶ安っぽく見えるのもかなり損をしています.初代は実際安かったけれども,それが欠点になっていなかった.

先の議論でいえば,Renault Twingo こそ初代の遺産を受け継ぐべきだったのです.かようにクルマ作りというのは一筋縄ではいかないものなのですね.特に成功作の後継車開発というのは,周りの期待も大きいだけに,骨の折れる作業だとは思います.

ようやく全面解決

2007-12-01 19:36:18 | フランス
本日のメニュー:ブリトー.

以前にも書きましたが,ウチのトイレはどうやら鬼門のようで,再びトラブルに見舞われました.

トイレのボタンがとても重くなり,水が流れづらくなってしまったのです.それでも相応の力でボタン押下を何度か繰り返せば流れることは流れるので,騙し騙し使っていたのですが,最後には水が流れたあと止まらなくなってしまいました.

漏水の不安があるので自分で水回りに手を入れるのは躊躇していたのですが,今回は意を決して,日曜大工の店で貯水タンク内部の部品を買って取り替えてみることにしました.

例によって説明書は最小限のことしか書かれておらず,多少手間取りましたが,無事設置完了.早速水を流してみると...おー,ボタンがえらい軽くなった! 水もさっと流れてさっと止まる! しかも流量が2段階の2ボタン式を選んだので節水もできる(←日本じゃ当たり前だけれどねぇ).

こんなに快適になるならもっと早く直せばよかったとちょっと後悔しています.というか,どうしてフランスのものってトイレも含めてこう信頼性が低いんでしょう.日本でトイレ修繕を自分でするなんて考えたこともなかったなぁと,感慨に耽ってしまいます.