吉村明美さんの『幸福な時間』歌集が届いた。
帯状疱疹を長引かせ体調のよくない私にとって、歌集を読むことは少し苦痛である。
とくに知っている人からの歌集は気が重い。前向きでない自分が責められているようで、、。
十日ほど開けずにいたが、今朝は気分が良かったので、思い切って読むことにした。
タイトルの『幸福な時間』といい、可愛らしい豚の親子の装丁といい誰もががしあわせな
作者像を思い浮かべる。けれど目にした帯文に衝撃的であった。
癌告知受けてこの世の面白さかけがえなくて我よく笑う
朝まであったちちふさそのあたり焦土ヶ原の痛みを抱う
---- 著者は只今闘病中である。癌を患ってよく笑うようになったと言う。
また人生よく味わおうと思っていると言う。
生きよ!吉村明美さん ---- 青木昭子
、、、、、、、、、、、、、、
棘々はアイデンティティー いくにちを金平糖はただ尖りおり
人間の心読みうるかなしみに己が尻尾を咬むわが犬の
子を持たぬ哀しみなどは言い飽きた哀しみのネタすでに干からぶ
ひとつづつ袋掛けられひめやかにその実太らす文月の桃
おばあさんになれるだろうか立ち止まり冬の木漏れ日手に平に受く
『幸福な時間』より
歌人協会でごいっしょし、時には「歌評」で互いの意見を交わした私より人回りも若い歌人、、。
癌を患ってよく笑うようになったと言う。
読み手の方が元気をいただけるそんな優しい歌集でした。
繊細で才能ある吉村明美さんはこのさき、癌を克服しておばあさんになってもきっと
歌詠っていると信じている。
ご回復をお祈りする。
ありさ・ささきのりこ
HP「萌黄の鳥」
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ブログ 萌黄の鳥 パート1
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