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子宮蓄膿症について

2014年01月05日 | 診療科目

今回は避妊手術をしていない女の子の病気の一つについてお話しします。

子宮蓄膿症とは?

 子宮蓄膿症は名前からも分かるかもしれませんがメスに特有の犬や猫で起こる病気で、簡単にいうと子宮の中に膿が大量に溜まり、お腹が膨らみ、急性では亡くなってしまうこともある怖い病気です。子宮が膨らむため妊娠してると勘違いされることもあります。

症状としてはお腹が急に膨れ、元気、食欲はなくなるが、水はたくさん飲んで尿も多くなる(多飲多尿)となります。

原因は生理後(発情後)に卵巣から分泌される性ホルモンの一つ(黄体ホルモン)が過剰に分泌されることで、子宮壁が障害を受け、そこに細菌感染が起こることで膿が溜まるとされています。傾向としては比較的長期間にわたって妊娠していない中~高齢の犬や猫で発生することが多いです。

 

今回紹介するのは五歳のミニチュア・シュナウザーの女の子 ヴィヴィちゃんです。

 この子は最初一ヶ月近く生理が続いている(膣から出血している)という症状で来院されました。食欲も少し減っているとのことでした。

そこで子宮疾患や泌尿器系の疾患も考慮し、血液検査、レントゲン検査、超音波検査など精査を進めました。

 

  ↑ 超音波検査による左側の子宮の断面図です(画像の右上)。超音波検査では液体は黒く抜けるのでこれにより子宮に液体が貯留し、直径3cm弱まで拡張しているのがわかります。

また血液検査では白血球が検査機械の測定限界値以上の高値を示しました。

 

これらの結果から比較的ゆっくり進行している子宮蓄膿症と診断し、卵巣・子宮摘出術を行いました。

↑ これが実際に取り出した卵巣・子宮です。左端に卵巣、右端が膣部で、その間の管が子宮です。

子宮が大きく膨れており、中には血液が混ざった膿が溜まっていました。

 

ヴィヴィちゃんはその後、術後経過もよく、順調に退院し、今は元気に過ごしています。

 

今回は持続的な膣からの排膿があったために急激な症状を伴わずに治療することができました。

 

しかし、子宮蓄膿症は急性で起こることが多く、細菌感染が重度の場合や感染細菌が強い菌であった場合はショック症状によって亡くなることや、膣からの排膿がない場合は、子宮に溜まった膿が排泄されないため子宮が急激にふくらみ、2~3日で亡くなることもあります。

そういった場合の治療は緊急手術により、卵巣・子宮摘出を行います。もちろん高齢で状態が悪い動物たちに緊急手術をすることは麻酔によるリスクも大幅に上昇します。

 

そこでこの病気の一番の対策としてはやはり麻酔のリスクも少ない若く健康な時に避妊手術を行うことだと考えられます。また、避妊手術をされていない子はこの様な病気もあるので生理後(発情後)の体調管理は気を付けてください。

この病気のほかにも避妊手術をすることでリスクが大幅に下がる病気もありますので、子供を作る予定がない女の子には早めの避妊手術をお勧めします。

 

不妊手術・避妊手術・去勢手術

 


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